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地元とヨソモノがタッグを組んで東京の西の端っこに新たな拠点を作った。築130年の古民家を再生させた“ヒト”と“マチ”のご縁をつくる「ごえん分校」

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新宿から電車で約1時間。五日市線の終着駅「武蔵五日市」駅から徒歩数分のところに、2016年8月、築130年の古民家をリノベーションした「五日市中宿壱番館」がオープンした。オープン当日に行われたセレモニーにはあきる野市長をはじめとする多くの来賓が訪れた。五日市の文化を体験できる茶屋とイベントスペースを併設した壱番館は、新たな街の拠点として、今後どのような展開を見せていくのだろうか。

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東京の西端でご縁をつなぐ「ごえん分校」

東京都の西端、あきる野市五日市。秋川渓谷には澄んだ清流が流れ、新宿駅から電車で約1時間ほどの距離でありながら「ここが東京都?」と思うほど自然があふれる街だ。1995年までは五日市町だったが、隣の秋川市と合併しあきる野市になった。江戸時代には薪や材木の供給基地として発展し、かつて渋谷がまだ村だったときに、五日市は町だったというくらい賑わいを見せていたという。今でも、週末にはキャンプやハイキング、サイクリングなど自然を楽しむ人たちが大勢訪れて賑わっている。

そんな五日市で「“ヒト”と“マチ”のご縁をつくる」をコンセプトに、五日市を「知ってもらう!来てもらう!楽しんでもらう!」という活動を行っている団体が「ごえん分校」だ。メンバーの半分は地元の人だが、残りの半分はヨソモノ。23区内や、はるばる湘南から通っている人、また「ごえん分校」に関わることをきっかけに、千葉県から引っ越してきた人もいるという。

ごえん分校の新たな拠点

全国で街づくり活動を行っている人を講師に呼んで勉強会を開いたり、野外上映会や廃校フェス、ワークショップ、ジオ部など様々な活動を行っている。

「ごえん分校」立ち上げの経緯についてはこちら

 

「街のシンボルを守りたい」という思いからできた新たな拠点

五日市中宿壱番館

これまで特定の拠点を持たずに活動してきた「ごえん分校」が、今回「五日市中宿壱番館」をオープンしたのも、街への思いがきっかけだったという。

あきる野市五日市一番地。街の中心に五日市のシンボルともいえる築130年の古民家がある。明治時代、自由民権運動が広がる中、民衆の手で憲法を作ろうというブームがおこった際、五日市でも「五日市学芸講談会」により「五日市憲法草案」が作られた。この古民家は、その講談会の中心人物である土屋勘兵衛の邸宅だった。

歴史ある古民家をリノベーションした

時が経ち、この古民家が取り壊される危機にあるということが知られると、地元の人たち中に、街のシンボルでもあったこの建物を残したいという機運が広がり始める。「行政には頼れない、自分達の手で守るんだ!」という気持ちが集まり、「ごえん分校」でこの古民家を活用することになった。

しかしながら、古民家を維持管理するには費用が必要。メンバーはそれぞれ仕事をしているかたわら、「ごえん分校」の活動も行っているために、その費用を捻出するのは簡単ではない。そこでクラウドファンディングで賛同してくれる人に協力をあおぐことになった。

 

2016年6月、呼びかけが始まると順調に資金は集まり始め、最終的に目標の300万円を超える350万円が集まった。五日市のシンボルを残したいという思いが結実した瞬間だった。そして2016年8月21日「ごえん分校」による古民家再生プロジェクト「五日市中宿壱番館」がオープンした。

 

五日市の文化を体験できる茶屋とイベントスペースがオープン

体験茶屋

「五日市中宿壱番館」は築130年の趣きを残しつつ、五日市の文化や伝統を感じられる複合施設として生まれ変わった。1階は「五日市体験茶屋」。平日は茶屋として営業し、抹茶と和菓子でおもてなし。丁寧にいれた煎茶、ほうじ茶、五日市オリジナルのスイーツが用意されている。土間部の畳ベンチ、部屋のテーブル、カウンターには多摩産木材を使用。古民家の持ち味を生かし、落ち着いたくつろげる空間になっている。週末には着物の着付けや五日市の伝統的な泥染め「黒八丈」の体験、東京都無形文化財にも指定されている「軍道紙」の紙漉きや木工など、五日市の文化が体験できる場となる。オープン当日はスタッフも着付けを体験し、みんなが浴衣で参加した。

浴衣の着付け

「五日市体験茶屋」を運営するのは、日本の木を生かしたモノづくりテーマとした株式会社Tree to Green。多摩産材を使用する際に「ごえん分校」の関係者とご縁があり、今回の出店へと繋がった。

マネージャーの坂本司さんは「『ごえん分校』さんと協力してお茶屋と体験ものづくりというテーマでやらせて頂くことになりました。会社は23区内にあるんですが、こういった山のふもとでの活動には興味があったので、お話を頂いたときは即やりますと答えました」という。

紙すき体験

「五日市体験茶屋」の隣には創業百年以上の手拭い屋「きれ屋」さんがお店を構えており、オリジナルデザインの手拭いが販売されている。

2階は教室やイベントなどを開けるレンタルスペースとして貸し出され、ホームページから予約できる。

2階のレンタルスペース

「地元だけじゃなく都心からでも、イベントなどで使っていただけたらと思います。また、場所貸しだけではなく、ごえん分校としての主催イベントもいろいろと企画していく予定です。」と、スタッフの一人、金久保誠さんはいう。

 

「次の世代へとつなげていきたい」地元の同級生3人組の思い

幅広い年代の人が集まり、交流をしているも、ごえん分校の特徴だ。その中でも中心となっている田中龍樹会長、中嶋博幸さん、南元宏さんの3名は地元の同級生。これまでも「自然人レース」を18年にわたり開催するなど街のために長く活動をしている。

同級生の三人

ヨソモノの若者を積極的に受け入れて、地元の活動を続ける3人にお話を聞いた。

田中龍樹会長
「これからは若い人の人材育成をやっていきたいですね。五日市は祭りや消防団の活動があるので縦の繋がりはあって、前後10代くらいは普通に顔が見えているんです。それって実はすごいことなんですが、ずっとこの辺にいると、自分達の良さがわからなくなってしまうんですよ。だから、ヨソモノの人達が評価してくれて、こんなものが魅力になるんだと再確認させてもらっています。そういう外の声を聴きながら、地元の若者も関わって一緒にやっていければいいなと思っています」。

中嶋博幸さん
「五日市は祭りが盛んでいろんな世代で繋がりはあるんですけど、町おこしにかかわる若者は少ないんです。僕らも地元だけにこだわらず、外から新しい空気を入れて、いろんな情報をもらいながらやっていこうかなと思っています。忍者もいるし、面白い人たちが集まっているので、ここがハブになって、情報発信していけるといいですね。みんな片手間の中でなんとかスタートを切ったところですけど、やはり、ビジネスとして成り立つようにしていきたいですね。こんなにいい場所が使えるようになったので、これを活用して、地域や商店街など、いろんなところに繋げていければいいなって希望は持っています」。

南元宏さん
「街に育てられた恩があるから、それを次の世代に繋いでいきたいという気持ちが強いですね。若い人達のエネルギーは必要なので、積極的に前に出て来てくれる若者やヨソモノは大歓迎なんですよ。若いうちは失敗してもいいんです。なにかあった時は俺達がサポートできるから。大事なのはチャレンジする気持ち。これからも元気のある若者が集まってくれと嬉しいですね」。

 

市長も参加したオープニングセレモニー。多世代が集う五日市らしい場が実現

2016年8月21日のオープニングセレモニーは、澤井敏和あきる野市長他、たくさんの来賓客や関係者が訪れての式典となった。

田中会長

田中龍樹会長はあいさつでこう語った。

「2年前に大きな野外フェスをやり、そこには200人以上のボランティアスタッフが集ってくれました。仲間たちと、このイベントだけで終わらせるのはもったいないねということで、それから月に1度、「ごえん分校」として活動するようになり、そのご縁で、壱番館と出会うことができました。ここを拠点に、地域の発展、人材育成を精一杯頑張っていきたいと思います」。

澤井市長

沢井敏和あきる野市長は「壱番館が五日市の発展、活性化に寄与するとともに、この地域でのふれあいを楽しみにしています。『ごえん分校』にはご縁があります。皆様がつながってご縁をつくることが、地域の活性化につながると思います。市としてもいろんな角度から皆様と一緒にやっていきたいですね」と祝いの言葉を述べた。

あいさつの後、中嶋博幸さんから今後の活動について説明が行われた。今後は音楽フェスの開催、壱番館2階の貸し出し、人材育成と勉強会の3つを軸に活動を行っていき、2016年10月23日には商店街でグランピングをテーマにした音楽フェスを開催。2017年には空き店舗を活用できるようなビジネスプランコンテストを予定しているとのこと。

懇親会の様子

セレモニーが終わると懇親会が開かれた。地元の飲食店によるケータリングやおやじバンドによるライブも行われ、にぎやかな交流の場となった。最後は夕暮れの涼やかさの中での盆踊り。若者から高齢者までみんなが輪になり、人と人との繋がりが感じられる、そんな五日市らしい場となった。

懇親会の様子2

地元の人とヨソモノが年代を問わず幅広く交流をしている「ごえん分校」。
壱番館がきっかけとなり、五日市の街に新たなご縁を繋いでいくことになりそうだ。

壱番館の前で

私が紹介しました!

伊藤 圭

伊藤圭Kei ITO

青森県北津軽郡、旧金木町出身。写真家。
日本写真芸術専門学校を卒業、新聞社を経てフリー。
東京都在住ではありますが、基本的に田舎者。都会を離れ自然豊かな青梅に住んでいる。
アウトドアが大好きで、各季節ごとのキャンプは欠かせない。
2児の父。ライフワークで津軽の写真を撮り続けている。

[WEB] http://itohkei.com

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