古家採取活生計画:第4回目「社会を変える空き家再生の実践方法」

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空き家再生に取り組んでいると、いろんな人と出会い、いろんなアイデアを提供してもらいます。そして、いくつもの空き家再生事例が話題になる度に、本当によくやったなあ、と感心するのです。

いろんな人が様々なアイデアを出してくれますが、誰が誰の予算でやるのか。お金持ちの空き家再生なら、それはラッキーです。多くの場合、投資するお金がないから空き家になっているのです。しかし、お金がないからできない、そんな社会にしたくありません。だって、お金のためなら戦争も環境破壊もアリ? そんな世の中でいいのでしょうか。

わたしたちの長屋群にも春の気配と共に新しいプロジェクトが胎動しています。ようやくマイナスがゼロになったばかりで、どうなるか分からないですが、だからこそ伝えてみます。

怒りを笑顔に。再生エネルギーで運営する多世代コミュニティー

「愛知県津島市で空き家再生プロジェクト?どんな活動?」と、興味を持って連絡をくれた人がいました。

60代前半の女性2人で、ひとりの方は足腰に支障がでてきて「いよいよ老い支度をしておきたい。70歳になってからでは遅いから、動くなら今が最期のチャンスだ。」と言いました。

彼女たちは「家族のなかではなく社会制度のなかで自立した社会人として、人生を全うしたい。」と言うのです。そして、「未来に可能性を示したい。いまの子供たちが将来、希望を持てる社会にしたい。原発の問題も反対するだけでなく、行動で示したい。」とも言いました。

古民家第4回0

彼女たちの声をうけ、関係者それぞれの想いを整理してみました。
【大家さん】物件を譲渡したい
【60代の女性たち】再生エネルギーでカフェを運営したい
【ぼくたち夫婦】空き家を再生したい

そして、それぞれの想いを叶えるため考えた空き家再生プロジェクトはこんな内容です。

1)部屋の空調管理には地面を掘り地中熱を、電気には太陽光発電を利用する
2)地中熱を利用するために掘った穴から水を汲み上げて、60代から70代がカフェを運営して生業とする
3)長屋群の部屋を、住居・セカンドハウス・オフィス・お店・アトリエとして若い世代に利用してもらい、高齢者から若者までが集まり、相互サポートし合う場所にする
4)建物の改修は、廃材をできるだけ利用。ワークショップ形式で改修を進めることで、予算をできる限り削減。ノウハウのシェアも兼ねる

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▲上図:地中熱について
地上から10~15mよりも深い地中は、真冬であっても真夏であっても温度変化がほとんどない。この地中熱を利用すれば省エネルギー済むため、CO2の排出量も抑えられ、ヒートアイランド現象が起きないことから現行エネルギーの代替候補として注目を集めている。

これらのプロジェクトをすべてやるには予算が幾らかかるのでしょうか。
考えてみたら当然のこと、この計画は行き詰まりました。

仮に改修するとしても誰が費用負担をするのか。壊れたら誰が修理するのか。また改修した家が役目を終える何十年後、巨大な産業廃棄物になったとき、誰が責任を取るのか。それぞれの想いとは裏腹に、多くの課題が壁のように立ちはだかりました。

 

ひとつの社会問題を解決する方法は、ひとりでも多くの人が当事者になること

ぼくたち夫婦は課題を前にして考えました。多くの人が当事者になる必要がある、ひとりで背負えば重い100の傷みも、100人で分担すれば、軽くすることができるのです。

そしてぼくたち夫婦は、大家さんから古家の譲渡を受け、改修、家の最期まで責任を持つことにしました。大家さんは、再生エネルギーのカフェが完成するまで協力することになり、60代の女性たちは、カフェ運営に責任を持ちます。解体に必要な費用は全員で分担して予め用意することにしました。

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これでようやく気持ちのうえで、マイナスをゼロにできました。

人と人が繋がって生まれた社会を変えるやり方をシェアしていけば、未来によいモノやコトを残していけます。この計画をそんな事例にしたいと考えています。

- エネルギー問題に取り組んだ成果を地域に広め、新たな課題解決につなげる -
- 高齢者が活躍できる場所を提供、サポートするとともに、若い世代が高齢者から学ぶ場とする -

そんな夢を抱えて、愛知県津島市で空き家再生をしています。この物語がどうなるか、ぼくにも分かりません。
彼女たちは言いました。「お金がないからで諦めたくない。もし、そうだったら、わたしたちは、もう何もできないから。」

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石渡ノリオ

石渡ノリオISHIWATA-norio

1974年生まれ。地球人、生活者、芸術家、ライター。妻と2人で、あちこちの古い家に暮らしながら、生活芸術を推進中。ぼくはここにいます。

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