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開催日:2016.7.9~7.10

地域の文化を外国人と体験&再発見!1泊2日の英語漬け「まるで留学キャンプ」レポート

このイベントは終了しました

地域に根付く”昔ながらのニッポン”を、日本人と外国人が一緒に体験することを通じて、日本文化とその地域の魅力を再発見しながら、日本人の国際力・異文化コミュニケーション力を高めることを目的とした団体「ゴー・グローカル」。長野県塩尻市を拠点に活動するゴー・グローカルが主催する「まるで留学キャンプ」が7月9日(土)・10日(日)に開催されました。どんな2日間だったのか、レポートします!

\ Day 1 / 江戸時代の風情が残る、奈良井宿を拠点にキャンプスタート!

今回の拠点となったのは、かつて江戸と京の都を結ぶ重要な街道であった旧中山道の宿場町の一つ、奈良井宿。外国人でなくてもテンションの上がる、江戸情緒あふれる町並みです。

民宿に集合した参加者は、どこかそわそわ緊張した面持ち。ウェルカムドリンクの甘酒を飲みながらも、これから始まる英語漬けの2日間をどう乗り切ろうかと落ち着かない様子です。英語初心者でこれから勉強したいという方から、仕事で英語を使っている方、海外で生活されていた経験のある方まで、英語のレベルは様々です。

今回のプログラムは次の通り。
<1日目>
・オリエンテーション・自己紹介
・奈良井宿の散策ツアー
・日本食クッキング~夕食

<2日目>
・長泉寺にて座禅&写仏体験
・曲げわっぱ体験
・昼食(郷土料理が食べられる食堂)
・酒蔵見学&日本酒の試飲
・阿禮(あれい)神社例大祭について英語で勉強
・キャンプのまとめを英語でスピーチ

ゲーム形式の自己紹介で、身構えずに英語の世界へ!

まず最初に行われたのは、自分に関連するキーワードや数字をを英語で紙に書き、そのキーワードが何を表しているのかを他の参加者が当てるというゲーム。例えば、「25」という数字を見て、「Are you 25 years old?(25歳?)」「Have you been to 25 countries?(25カ国訪れたことがあるの?)」なんていう風に、当てていくのがルール。

中には、英語の綴りが分からないからとローマ字でキーワードを書く方もいて、それだって全然OKな雰囲気!英語が聞き取れなくても、他の参加者が助けてくれたり、たった数分間のゲームを通してあっという間に場が和み、笑顔があふれているから不思議。

Mission 1:奈良井宿の見所を英語で伝えよ!

参加者同士が打ち解けてきたところで、外へ出て重要伝統的建造物群保存地区である奈良井宿を散策します。

「奈良井」駅でガイドの堀田さんと合流。ここからは、堀田さんが説明してくれた奈良井宿の見所を、外国人参加者に英語で説明していくのがミッション。グループに分かれて移動です。

まず向かったのは、八幡神社。

周辺にあった地蔵を一ヶ所に集めたという「二百地蔵」では、「赤い服は、太陽や赤ちゃん、そこから転じて生命を表しています。」というガイドの堀田さんの説明を、外国人に伝えるのに四苦八苦。ゴー・グローカルスタッフの翻訳に耳を傾けて、「そんな風に言えばいいんだな。」なんて心の中でメモメモ。自分がしゃべっていないときでも、使えるフレーズや忘れていた単語を思い出したり、英語を学ぶチャンスが転がっています。

外国人参加者も、「一か所に集めるなんて面白いね。」と、興味津々で写真をパチリ。

降り出した雨に、あるグループではてるてる坊主の話題に。興味を示す外国人参加者に対して、ここでも悩む日本人参加者たち。「包むってなんていうんだろうね。」と相談しながら、ジェスチャーで伝えていました。

また、狛犬を見た外国人参加者から「あれは何?」「どうして口の中だけ赤く塗られているの?」なんて質問も飛び出します。「狛犬って・・・犬なのかな?獅子だから、ライオン?」と、普段どれだけ知ったつもりになっていて実は知らないことが多いか、気づかされます。当たり前の存在なのに、説明できないなんて悔しい!英語で伝える以前に、地域のこと日本のことを知らない自分に気付くことができるのも、いい機会です。

奈良井宿では、木曽名物の「朴葉(ほおば)巻き」が売っていました。朴葉巻きというのは、米粉の皮で餡を包み、朴の葉で包んで蒸しあげた餅菓子のこと。この朴葉、どんな植物の葉っぱなのかを説明するのが難しく、日本語を勉強中の参加者デイジーが持参の辞書で調べる場面も。その後「Magnoliaらしいよ~。」なんて、みんなで知識を共有していました。

Mission 2:日本食の作り方を英語で伝えて、一緒に調理せよ!

宿に戻ると、次のミッションが待っていました。それは、日本語のみで書かれた、写真のないレシピを見ながら外国人と一緒に1~2品の料理を作ること。渡されたレシピを見て、材料から作り方までひとつひとつ丁寧に英語で説明する必要があるんです。

ちなみに作る料理はこちら。
グループ1:親子丼
グループ2:お味噌汁と漬物
グループ3:冷奴
グループ4:ルバーブ入りフルーツサラダ
日本食と言っても、作るのは簡単な家庭料理ばかり。慣れ親しんだ料理にも関わらず、いざ説明しようとするとこれがなかなか難しいんです。

こちらは冷奴グループ。作業工程の少ない簡単なメニューだから、「え?冷奴作るだけでいいの?」なんて喜んだものの、そこには意外な落とし穴が。薬味の「わけぎ/しょうが/みょうが/かつおぶし」を説明するのに、時間がかかっていました。特にみょうがは、他のグループの外国人からも「Is this onion? shallot?(それって玉ねぎ?それともエシャロット?)」という質問が。

こちらはキャベツをどう英語で言ったらいいのか分からず、なんとか伝えようとがんばっていました。みんな真剣です。

「玉ねぎはイギリスでは洗わないよ。」という外国人の話に驚いたり。

「切った野菜を水にさらしてシャキッとさせたいんだけど…。」と悩む日本人参加者には、ゴー・グローカルのスタッフから助け船が。その後、ルバーブの皮を剥き続けていたアメリカ出身のデイジーから「My fingers are soggy!」という言葉が飛び出しました。これ、指が水分でふやけてしまったときに使う表現なんだそう。こういうちょっとしたことが言おうと思っても言えないんですよね。勉強になります。

途中で、アメリカ出身のコートニーが勧めてくれた「nutella」(ヘーゼルナッツペーストをベースにしたチョコレートスプレッド)をみんなで試食。お腹ぺこぺこの参加者たちは、甘いお菓子にホッと一息ついていました。

さて、夕食の準備が整いました!

みんな揃って「いただきまーす!」

深夜までおしゃべりが止まらずお酒を酌み交わす方もいたよう。 簡単なことが英語で説明できないもどかしさや、日本のこと地域のことを知らない残念な気持ちを感じつつも、それでも笑顔とジェスチャーで分かり合えることも実感した1日目。心地よい疲れとともに夜は更けていきました。

清水美由紀
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清水美由紀

清水美由紀フォトグラファー。自然豊かな松本で生まれ育ち、刻々と表情を変える光や季節の変化に魅せられる。物語を感じさせる情感ある写真のスタイルを得意とし、ライフスタイル系の媒体での撮影に加え、執筆やスタイリングも手がける。身近にあったクラフトに興味を持ち、全国の民芸を訪ねたzine「日日工芸」を制作。自分もまわりも環境にとっても齟齬のないヘルシーな暮らしを心がけている。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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