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開催日:2016.7.9~7.10

地域の文化を外国人と体験&再発見!1泊2日の英語漬け「まるで留学キャンプ」レポート

このイベントは終了しました

地域に根付く”昔ながらのニッポン”を、日本人と外国人が一緒に体験することを通じて、日本文化とその地域の魅力を再発見しながら、日本人の国際力・異文化コミュニケーション力を高めることを目的とした団体「ゴー・グローカル」。長野県塩尻市を拠点に活動するゴー・グローカルが主催する「まるで留学キャンプ」が7月9日(土)・10日(日)に開催されました。どんな2日間だったのか、レポートします!

\ Day 2 /

2日目はゴー・グローカルの主旨でもある「日本文化と地域の魅力を再発見」というテーマに重点の置かれたスケジュールで、日本人でも触れる機会の少ない伝統文化をより深く体験できる1日です。

Mission 3:座禅と写仏体験を通じて、古くて新しい朝の過ごし方を知る!

2日目のプログラム開始は、なんと早朝6:30。長泉寺で座禅の意味ややり方の説明を聞いた後、まずは5分だけの座禅体験にチャレンンジすることに。「無心になることは難しいから、浮かんできた考えを追わずに手放すようにしてください。」という説明を実践してみます。

素人向けに痛くないように気を使っていただいたようでソフトな叩き方ではあるものの、憧れの「喝!!」を全員にしていただきました。5分間の座禅体験終了後、参加者の希望によりさらに15分の座禅に挑戦しました。心なしか、座禅終了後には参加者の顔がすっきりしていたようです。

その後、写仏体験へ。

可愛いお地蔵さまや複雑な観音様など数種類ある絵柄から、好きなものを1点ずつ選び、筆ペンで絵を上からなぞります。

性格やその時の心の状態が出るようで、同じ絵でも人によって雰囲気が違うものが出来上がっていました。繊細なもの、正確なもの、おおらかなものなど人それぞれです。

朝食は、塩尻で穫れたお米を使った玄米がゆとお漬物という、地元食材にこだわったメニュー。早起きしてお腹がペコペコという参加者が多く、優しいおかゆが身に染みました。

Mission 4:木曽の伝統工芸、曲げわっぱを学ぶ!

江戸時代から400年以上も漆器作りが受け継がれてきた木曽地域。かつては「木一本首一つ」と言われるほど、木曽五木は貴重なものとして大切にされていました。今回曲げわっぱについて教えてくださるのは、木曽五木を使用した伝統的な曲物作りを続けている「花野屋」さんです。

土川さんから、曲げわっぱの作り方を教えていただきます。ゴー・グローカルの千花さんによる逐次通訳で外国人参加者も一緒に学びます。

アメリカ出身のコートニーが、曲物にトライ!ちょっとしたコツと力加減が必要なようです。

ヒノキとサワラを使用して作られる曲物。継ぎ目は山桜の皮で編み込まれ美しい仕上がり。お弁当箱や柄杓、お櫃、蒸籠などが作られているのだそう。中でも参加者の人気の高かったのは、楕円タイプの曲げわっぱと、曲物の技術を生かして新しく製品化されたマグカップ。板をを曲げて作ったとは思えない曲線の美しさ、継ぎ目の滑らかさに感嘆の声が上がっていました。

工房隣の店舗に移動して、各自ショッピングを楽しみます。イギリス出身のジミーも「お弁当箱を見て美しいって思ったけど、作り方の説明を聞いた後だと単純に美しいだけじゃなくて、”宝物”だって思えるよね。」と興奮。

お昼は塩尻中心街に移動して、食堂で思い思いのごはんを食べました。一番人気は何と言っても、「山賊焼き」。山賊焼きというのは、大きな鶏もも肉をにんにくの効いたタレに漬け込み揚げた、塩尻のB級グルメ。あやみどりという緑大豆を使用した「あやみどり塩ソフトクリーム」も追加注文するおいしさでした。

Mission 4:蔵元でジャパニーズサケのおいしさの秘密を学ぶ!

午後最初のプログラムは、明治創業の蔵元「笑亀」さんでの、酒蔵見学です。国の登録有形文化財として登録されている歴史ある建物で、伝統的な手造りの酒造りを続ける蔵元です。笑亀酒造の丸山さんに建物の案内と笑亀さんでの日本酒作りについて教えていただきました。

建物に入ると、外の暑さから一転ひんやりとした空気。そして蔵独特の香りに包まれます。

笑亀さんには2つの杉玉が吊るされています。この杉玉を作るために、なんと軽トラック2台分の杉の葉が使われているのだそう!

さて、みんなが待ちに待った日本酒の試飲の時間です。

丸山さんにそれぞれの特徴を教えていただいたあと、さあ乾杯!

お酒好きのアメリカ出身のデイジー。日本酒も楽しんでいました。

日本酒をお土産用に購入する参加者に、おいしい飲み方などを丁寧に説明してくださいました。

そして、日本酒以外に人気だったのが、この甘酒。 米麹のみで作られた甘酒は、甘さ控えめでストレートでも飲みやすく、独特の香りの虜になる女性がたくさん。

Mission 4:阿禮神社例大祭について英語で学ぶ!

キャンプ当日は、旧中山道塩尻宿に位置する阿禮神社の例大祭の日。7地区からそれぞれ山車が出て、阿禮神社まで曳かれる山車を見学することができます。

お祭りの見学を前に、アメリカ出身のコートニーが英語でお祭りの見所などを英語で説明してくれました。コートニーが注目してほしいと強調していたのは、山車の飾りの繊細さと山車に乗っている氏子たちが歌っている歌。

山車を待つ間、道路沿いに貼られたしめ縄に、デイジーが興味を持った様子。特にしめ縄についている紙に興味があるようですが、質問された日本人参加者は名前を知らず…。検索すると「紙垂(しで)」という名前だと分かりました。

勇壮な山車を見学し、夏の訪れを肌で感じた時間でした。

Last mission:キャンプの総括を英語でスピーチせよ!

実は、英語のショートスピーチがあることを伝えられていた参加者たち。いつ来るかいつ来るかと内心ドキドキしていた人も多かった様子。ついに来てしまったこの時間、という雰囲気が立ち込めていましたが、皆さんとっても立派にスピーチされていました!

英語でのスピーチ

日本語と英語入り混じったスピーチをする人がいたり、流暢に話す人がいたり。ゴー・グローカルスタッフも2日間共に過ごして気が付いたことを、一言添えてくださったりも。外国人も日本人もみんな暖かい眼差しでそれぞれのスピーチに聴き入り、緊張はしていたけれど、とても暖かく素敵な時間になりました。「来年はガイドをしたい!」「友達ができて嬉しかった。」「知らなかった日本の文化に触れることができてよかった。」など、色々な感想を持てた2日間だったようです。

日本のこと、住んでいる地域のこと、意外に知らないことはたくさんあります。外国人と一緒に過ごし、質問を受け、彼らの視線を通して見える景色を垣間見ることで、これまでの自分とは何かが少しだけ変わる。モノを大切にしたくなったり、地域への愛が深くなったり、人とのコミュニケーションについて考えたり。

色々な刺激を受け少しだけ変わった自分を感じながら、さようならの時間がやってきました。暖かく穏やかな笑顔が広がる中、「まるで留学キャンプ」の2日間は幕を下ろしたのでした。

清水美由紀
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清水美由紀

清水美由紀フォトグラファー。自然豊かな松本で生まれ育ち、刻々と表情を変える光や季節の変化に魅せられる。物語を感じさせる情感ある写真のスタイルを得意とし、ライフスタイル系の媒体での撮影に加え、執筆やスタイリングも手がける。身近にあったクラフトに興味を持ち、全国の民芸を訪ねたzine「日日工芸」を制作。自分もまわりも環境にとっても齟齬のないヘルシーな暮らしを心がけている。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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