「これからも、ここで、変わらずに楽しんでる自分を想像できるんです」。
まずは小川さんのお話から。小川さんは東京都品川区出身。奥州市に移住する前は、東京都内のカフェで働いていました。これまでオーストラリアや台湾で生活していた経験を持つ小川さんは、「台湾向けコーディネーター」として活動しています。
「台湾にピンポイントでアプローチをする仕事が珍しいと思ったことと、プロジェクトの立ち上げに自分が一から関わることができるのがおもしろいなと思って、Walk on Soilに興味を持ちました。これまで学生時代にオーストラリアに1年。大学を卒業後にワーキングホリデーを利用して台湾に1年住んでいたことがあります。距離が離れている場所に行くとか、環境が変化することは楽しいなって感じるんです。新しい場所で、視野がぱっと広がって、新しい輪が広がっていく感覚があって。どこかに訪れる前は変に情報を得てイメージを固めないで、実際に訪れて初めて、その土地のことを体感していきます。自分が感じるものが一番だと思ってるのかな。興味があって、どうしてもやりたいことがあったら、とりあえず行ってみようとする体質なんです。それが奥州市に来たことにも通じると思います」。
小川さんが初めて奥州市に訪れたのはWalk on Soilの現地説明会がきっかけ。1泊2日で行われた現地説明会ではフィールドワークや地元の人達との交流会が行われました。
「そこで会う人、見る風景、どれも新鮮で、すごく嬉しいカルチャーショックを受けました。現地説明会に参加したことをきっかけにWalk on Soilへの考え方も変化しました。携わることでこのまちのことを知っていくことができて、それを海外にも発信できるのって素敵なことだなって。それからは、奥州市の人達と一緒に働きたいなと考えるようになりました」。
奥州市に実際に訪れて、地元の人達と出会ったことをきっかけに地域おこし協力隊として活動することを決意した小川さん。5月に着任してから、3ヶ月が経ちました。
「今はとても楽しめています。どれも新鮮だから楽しいっていうのも今は結構大きいのかな。どうなんだろう。でも、飽きちゃったとは思わなさそう。変わらずに楽しんでる自分を想像できます。楽しいことを続けられるのが一番いいですよね」。
地域おこし協力隊の任期は最高3年。小川さんは任期終了後のことも見据えながら活動しています。
「私はいずれ東京に戻ることができたらいいなと考えています。その時に奥州市のことを奥州市で発信するだけではなくて、東京でも発信できるベースを作ることができればと思っています。東京に訪れる海外の人と奥州市とを繋げるパイプ役というか。徐々に東京にベースをつくって、任期が終わってからも変わらずに、奥州市を発信する仕事を続けられるようにしていきたいです」。
比べるものでも、どっちが優れているでもない。奥州市の風土・地域性を伝えたい。
田名部さんは神奈川県横浜市出身。東京都内の大学を卒業した春、奥州市の地域おこし協力隊に着任しました。
「大学生の時に、農業に興味を持っていたこともあって、東北にはよく来ていたんです。そこで出会う人達は『会社に勤めて、8時間働いて』という生き方や働き方ではなくて。それを間近で見てきたから、自分もそういう生き方や働き方がいいなと思っていました。だから自分はスーツを着ないって決めて、ゆっくり自分の働く場所をふらふらと探していました」。
自分の興味のある場所を調べたり、実際に訪れたり。一般的な就活は行わなかった田名部さん。
Walk on Soilのことは、Facebookで知り合いがシェアしていた投稿で知りました。
東京で行われた説明会に参加した後で、「応募したいというよりも、まずこの地域がどんな場所なのか知ってみたいと思った」と、現地説明会に参加します。
「奥州市で様々な活動をしている人たちと出会って、可能性がある地域なんだなって思いました。ここで働くか、働かないかの前に、もし自分がここに住んだら楽しいんだろうなって。ただ、私は自分が手を動かすような仕事に興味を持っていたんです。観光のコーディネーターだと、広く浅く、いろんな職業の人達を紹介する仕事だなと思ったので、そこで揺れていたんですよね。自分が手を動かすような専門性のある職業に就くか、今おもしろいって感じてる方で選ぶのかっていうことに悩みました。たくさん考えて、考えて、いろんな人に相談をして。今目の前におもしろいって感じるものがあるから、悩む時間はいいかな、ここで挑戦してみようと決めました」。
田名部さんと小川さんは同じ日に着任。田名部さんの担当は「ツアーコーディネーター」です。現在は、小川さんとふたりで市内で開催されるイベントの運営に携わったり、奥州市の観光マップの作成に取り組んでいます。
「これから伝えていきたいのは、奥州市の風土や地域性。まずは私が、この気候で、この土壌で育つ作物のことをもっと知りたいです。地域毎に気候や土壌には違いがありますよね。だから、それぞれの土地でできる作物同士は比べるものじゃないと思ってて。どっちが優れているとかではなく、こういう場所で育った野菜だからこそ、こういう味わいがあるっていうように、それぞれの土地のものだからこその個性があると思うんです。その個性が感じられるような、奥州市の風土や地域性でできた作物を、私だけではなくて、地元の人や外の人に感じてもらえるような時間をつくれたらいいなと思っています」。
まずは田名部さん自身が知ること、感じることを大切に。田名部さんは、Walk on Soil の活動を通して、自分が理想とする生き方や働き方を実現させることも目標としています。
「私は個人的に、農業とか、ものづくりとか、昔からそこに住む人達が自分の手で行ってきたような、暮らしに近い、身近な事柄が好きです。だから奥州市のものづくりや農業のことを知りたいなと思っています。やっぱり自分もいずれは自分の手でつくれるようなものがほしいです。お金じゃないものでできる人間関係とか暮らしがいいなと思っていて。自分が提供できるものがあると、それを実現できるのかなと思っています。そういう自分の興味があることを奥州市でできたらいいですね」。
おふたりにお話を聞きながら、共通して出てきたキーワードは「訪れたからこそ感じられるものがある」ということ。その土地に訪れて、その土地の人やものと出会うことが奥州市で暮らし、働くことへ大きな影響を与えているようです。
現在奥州市では、新たな地域おこし協力隊員(食の黄金文化・奥州輝かせ隊員)を募集しています。この記事を読んで、少しでも奥州市や地域おこし協力隊に興味を持った方は、ぜひ募集の詳細をご覧ください。