盛岡市大ケ生(おおがゆう)地区で実践する「半農半X」の暮らし。盛岡市地域おこし協力隊を募集しています!

105

「大ケ生」と書いて「おおがゆう」と読むこの地域は盛岡市の東部に位置し、約150世帯、600人ほどが暮らす小さな山あいの集落です。古くは金山や炭鉱で栄え、剣舞に神楽、さんさ踊りなど4つの郷土芸能が継承されています。合併前の旧都南村時代から住民が抱いてきた地域の未来に対する危機感や、地域おこし協力隊を導入する背景、現状など、市職員や2人の町内会長にお話を伺ってきました。

美しい田園風景が広がる大ケ生地域。地域おこし協力隊導入の背景とは?

大ケ生地域の田園

盛岡市は1992年(平成4)年に旧都南村と、2006(平成18)年に旧玉山村と合併してできた人口約30万人の都市ですが、大ケ生は旧都南村に属していた山あいの集落です。上大ケ生(かみおおがゆう)と下大ケ生(しもおおがゆう)の2つの自治会があり、両方合わせても約150世帯ほど。その立地から、盛岡市中心部より隣接する矢巾町や紫波町のほうが近いため、その付近で会社勤めをしながら、先祖代々の土地で稲作やりんごなど、兼業で農業をしている住民が多いのが特徴です。

大ケ生のような中山間地域で地域おこし協力隊(以下、協力隊)制度を活用するのは珍しいことではありませんが、盛岡市の場合は、市職員による中山間地域を対象としたフィールドワークがきっかけでした。これを担当したのが高橋充(みつる)さん(写真下)です。現在は農林部農政課に所属していますが、2年前に「盛岡市まちづくり研究所」に籍を置いている間、2年間かけて中山間地域の住民の方にお話を聞いて回ったそうです。

まずは高橋さんに、客観的に見た大ケ生地区について紹介いただきました。

盛岡市農林部農政課 高橋さん▲盛岡市農林部農政課 高橋さん

「大ケ生は山あいの集落ということもあって、旧都南村時代から地域の将来に危機感を持った当時の若手住民の皆さんが、地域に人を呼ぶためにいろいろ取り組んできた地域です。周辺には縄文遺跡があり、金山や炭鉱で栄えた時代もあるので、『金山の里 縄文まつり』というイベントもやっていました。これは20年ほど続きましたが、昔からある行事ではなく“イベント”だったので、次世代に引き継ぐのが難しく、数年前に途絶えてしまいました。一方で郷土芸能は神楽や剣舞など4つもあって、この規模の集落の割には数が多くて非常に珍しいことなんです。」

高舘剣舞▲郷土芸能のひとつ、上大ケ生に伝わる「高舘剣舞」

高舘剣舞▲過去に金山であったことを示す看板。「おおがゆう」の漢字が旧字「大萱生」で表示されている

今回、協力隊を導入するにあたってどんな分野で活動してもらうべきか、高橋さんは大ケ生に足を運び、住民の皆さんと協議を重ねました。

「大ケ生には金山や炭鉱の歴史がありますし、岩手大学の美術専攻の学生が使うアトリエもあります。田園風景もきれいですし、夜には満天の星空が見えて、大ケ生ならではの自然の魅力もあります。いろいろな内容が活動テーマとして挙がったのですが、一番共感を集めたのは農業でした。大ケ生は兼業農家さんがほとんどなのですが、農業を守っていきたいという声が多かったんですね。賑わいづくりという観点での地域活性化よりむしろ、現状維持でもいいから、今現在の“農業のある暮らし”を守っていきたいと。皆さんの生活の根底に農業が根ざしていることを強く感じたので、これを踏まえた地域づくりが活動テーマとして最適だと考えました。」

 

先祖代々の土地を守っていきたい。大ケ生らしい半農半Xスタイルの確立に期待

りんご

次に、ふたりの町内会長に、大ケ生について紹介いただきながら、協力隊に期待することを伺いました。おふたりは地域で問題が起きたり、困りごとがあれば、解決に一役買う地域の取りまとめ役です。協力隊で<大ケ生エリア担当>になると、あらゆることでお世話になる方々です。

上大ケ生町内会長・渕向さん▲上大ケ生町内会長 渕向さん

上大ケ生の町内会長を務めるのは、渕向正範(ふちむかい まさのり)さん(写真上)です。会社員時代は単身赴任が長く、戻ってきてから町内会長を務めています。現在は3頭の牛を飼い、米、りんごの栽培も手掛けています。先祖代々の土地を守るため、また、自分たちの食べる米を自給するため、兼業でも農業を続けている住民が多いと話してくれました。

「このあたりで収穫できるものはさまざまあります。きゅうり、みょうが、さつまいも、トマト、小麦、山菜、りんごなど。私のように畜産をやっている人も数軒います。兼業なのでそれぞれの規模は大きくはありませんが、野菜などはこれからも継続的に売っていけるような道筋をたててもらえたらありがたいです。やはり兼業というスタイルの農家が少しずつでも潤っていけば、それが大ケ生らしいのではないかと思います。生活面では、神楽や剣舞などの郷土芸能への参加は歓迎しますので、もし好きならやってみてほしいです。お祭りで奉納するほか、郷土芸能フェスティバルなど、発表する場もありますよ。」

下大ケ生町内会長 中虫壁さん▲下大ケ生町内会長・中虫壁さん

下大ケ生の町内会長を務めるのは中虫壁静夫(なかむしかべ しずお)さん(写真上)です。中虫壁さんも会社員生活が長く、農業と兼業していた時期もありましたが、自身の経験を踏まえ、大ケ生の農業の行く末を心配しています。

「ほとんどが兼業農家で、私も一時期はそうでした。ただ、今は会社勤めの環境が変わってきていますし、昔のように、人手を融通する結(ゆい)という制度もなくなったので、兼業といっても難しい状況にあるのではないでしょうか。協力隊の方が入ることで、何か風向きが変わればと期待しています。このあたりは人間関係が閉鎖的ということはないので、外からやってくる人にはオープンなほうです。上・下地区ともに、人が好い人が多いので、親しくなれば野菜をおすそ分けするとか、食べる物には困らないと思いますよ。」

大ケ生の地域づくりには、兼業農家を続けるための知恵とアイディアが求められています。協力隊の皆さんには、大ケ生を生活の拠点にしてもらいつつ、半分は農業、半分は違う収入源を持つという「半農半X」のライフスタイルを模索してもらうのがよいかもしれませんね。

 

地域おこし協力隊をサポートするサポート隊を結成!

町内会長

大ケ生の上・下地区は立地の関係もあり、参加する地域行事が異なったり、生活環境にも多少の違いがあるようですが、協力隊の受け入れには積極的で、両地区でしっかりと連携しています。協力隊として来られる方の希望に応じられるよう、一軒家や畑の貸し出しも検討しているそうです。公共交通機関が充実しているわけではないので生活には車が必須となりますが、もしご夫婦で来られるなら一軒家を借りてみるのもいいかもしれませんね。

さらに大ケ生の歓迎ぶりで驚いたのは、地域おこし協力隊をサポートする「サポート隊」が結成されたことです。上・下の地区から数名ずつを集め、協力隊で来られる方が慣れない暮らしで戸惑わないよう、その名のとおりサポートするメンバーです。渕向さんも、中虫壁さんも「今続けている仕事を辞めてわざわざ来られるのだから。」と、協力隊で来られる方への配慮が印象的で、長く暮らせるようにできる限りサポートしていきたいという思いやりにあふれていました。

大森山▲奥に大森山を望む風景

盛岡には「水抜き」という習慣があります。雪国で冬の暮らしを経験していない方には耳慣れない言葉ですが、氷点下の予報が出ると、夜の寒さで水が凍ったり、水道管が破裂したりしないように水道の栓を閉めることをいいます。こういった生活についてもサポート隊がいるのでとても心強いですよ!

大ケ生の住民が20年前に始めたイベントは残念ながら途絶えてしまいましたが、住民が危機感を持って主体的に続けてきた地域づくりの成果が、協力隊を迎え入れる体制づくりにもつながっているのではないでしょうか。

生活のすぐそばに農業のある暮らしに興味がある方はぜひご応募ください。美しい田園風景と満天の星空もあなたを待っています。

この記事をシェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加
岩手移住計画

岩手移住計画iwate-ijukeikaku

岩手移住計画は、岩手にUターン・Iターンした人たちの暮らしをもっと楽しくするお手伝いをし、定住につなげていくために活動している任意団体です。県内各地で、「岩手移住(IJU)者交流会」と題したイベントを開催しているほか、岩手県などが主催するUIターンイベントにメンバーが参加し、移住希望者の相談にも対応しています。首都圏と岩手をつなぐ活動にも力を入れています。

RELATED関連記事

POPULAR ARTICLE人気の記事