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2016年1月8日 山田智子

手作りの温かみのあるまち米原を、全国へ、世界へと発信したい― 担い手となる「水源の里まいばら 民藝創生みらいつくり隊員」を募集!

まいばらの魅力を発見し、新たな民藝創生に挑戦しようという作り手、「水源の里まいばら 民藝創生みらいつくり隊員」を募集している滋賀県米原市。

「ものづくり職人を招きたい」その背景にはどのような想いがあるのだろうか?
米原市みらい創生課の川瀬直亜さん、米原市商工会(オリテ米原担当)の高木静江さん、オリテ米原アドバイザー立澤竜也さんに、米原市が目指す「みらい」についてお話を伺った。

米原市が目指す「みらい」

—3期目となる「みらいつくり隊」は「民藝創生」という新しいコンセプトで募集をされていますが、ものづくりをする方を迎えたいという意図を教えてください。

川瀬:米原市では平成21年に「水源の里まいばら 元気みらい条例」をつくり、過疎化や高齢化により寂しくなっている地域の元気づくりを行ってきました。しかし地域に暮らす皆さんが抱く想いをカタチにする人の存在は重要で、平成23年から2期にわたり、計8人の地域おこし協力隊の皆さんに全国から集まってもらって、彼らの力を借りながら活動してきました。実際に、8名のうち6名が今もこの地域に暮らしておられ、ご結婚されて、新たな命も生まれているということで、地域にとっても大きな元気につながったんじゃないかなと思っています。

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水源の里まいばらには、様々な資源、自然と向き合い暮らしてきた、この地域ならではの人々の知恵や文化があると思います。木彫りの上丹生、石臼の産地として有名な曲谷など、地域にある素材を活かしながら、ものづくりをし、全国に発信していました。また、かつては養蚕業も盛んで、近江真綿の一大産地としても知られて、一大産地と認められることが地域の誇りにもつながっていました。そうした産業が衰退していくことは、地域の元気をなくしていくことにもつながっています。

今回の民藝創生では、かつてあった伝統工芸、今も続く伝統工芸など、米原にあるたくさんの素材を活かしながら、新しい発想や視点でもの作りをしてみたいという人を招き入れ、その活動を応援していきたいと考えています。「orite米原」や商工会の力を借りて、全国へ、世界へと発信していくことで、「ものがいい」「職人の技がすごい」と評価が高まり、「米原の素材や文化はあたたかみがあってすてきね」という雰囲気をまちに作っていきたい。

さらに、今回の民藝創生だけでなく、継続的にものづくりの職人さんが集まっている町だということを発信して、ここに住みたいという方が増えてくれたら、米原の未来はさらに明るくなると思います。

 

「みんなで 楽しく 日本一」

—昨年オープンしたショッピングサイト「「orite(オリテ)米原」は、米原のものづくりを発信するために大きな役割を担っていくと思います。民藝創生の方にとっても強い味方となりますね。

高木:「orite米原」は昨年4月1日にオープンしました。現在は約250アイテムを扱っています。自分たちで取材をして、作り手さんの思いをページに反映できるように、写真や文章にもこだわっています。今は「ふるさと割(3割引き)」で購入できるということもあり、おかげさまで売り上げは好調です。

立澤:商品作られる方=売る力があるかというと難しいと思うので、いい商品をつくられたのであれば、パッケージや流通の部分で一緒にやっていけたらと思います。イベントに一緒に行って、自分のPRをしていただくなど、「orite」を活用していただければと思います。

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—それにしても、「オリテ」という名前はインパクトがありますね。

高木:交通の要所でありながら、通りすがりばかりなので、米原市に「降りて」もらいたいということで、シンプルに立澤さんがつけてくださいました。

立澤:元々は「米原ネットショップオンライン」とかそんな名前だったんですけど、これではちょっと浸透しないかなと思って。最初は怒られるかなと思ったんですけど、すぐに決まりました。Yahoo! ニュースにも取り上げてもらい、「オリテってそのままやん!」というコメントもありましたね(笑)。

市町村のネットショップは作ってしまえばOKみたいなところがあって、投資しているわりには月の売り上げが10万以下というところがほとんど。そうなってはやる意味がないので、「ネットショップにならないようにしよう」という目標を最初に掲げました。

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—「ネットショップにならないように」とはどういう意味ですか?

立澤:ネットショップができたのでそこで売ればいいでは、絶対に売れないんですよ。なので、直売にも力をいれつつ、少しずつサイトの知名度を上げていくことを目指しました。目立つビジュアルを作って、直売のイベントがあったら積極的に参加をして、商工会の方に販売してもらいながらPRしました。8月に渋谷のヒカリエでイベントをした頃から、皆さんの見る目が変わってきて、今ではお断りしないといけないくらいのイベントに呼んでいただけるようになりました。

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—他に掲げた目標はありますか?

立澤:「みんなで 楽しく 日本一」です。堅くなるのが嫌だったので、どうせやるなら楽しく、何かで日本一を目指しましょうと。楽しくないと続かないので。
PR用のカードを作った時も、「駅前、空き地」とか「米原は晩成型」とか、市長に絶対怒られると思ったんですが、意外にも何も言われず、「行け行け」と言ってくださいました。

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—今回取材を通じて、米原市は行政の方が”寛容”というか、一緒に作っていこうという意識が高いと感じました。

立澤:本当にそれは思います。民間の感覚に近い行政の方が多いですね。oriteは、行政の方、商工会の方、僕ら(委託業者)で週1回ミーティングをずっと続けているんですけど、丸投げ感が全くない。例えば、取材にも必ず商工会の方がついてきてくださいますし、イベントをやる時もみんなで同じポロシャツを着て行く。どこか一つが任せっきりになると、うまく回らなくなり、それにともなって売り上げも下がっていく。oriteはそれがなくて、みんなが上手くかみ合っている。ミーティングには担当じゃない人もきてくれて、そのおかげでふるさと納税との連携ができたりと、次々展開が生まれています。

 

—「orite米原」で今後やってみたいことはありますか?

高木:ナンガさんというメーカーと作ったオリジナルの寝袋があるのですが、オリジナル商品はまだこれだけなので、もっと増やしていきたいです。 12月には海外個人向けインターネット販売サイト「JAPANSQUARE(ジャパンスクエア)」さんと提携し、「orite米原」の商品を扱っていただくことになりました。海外の方にも発信できるようになっているので、ぜひ民藝創生の方とも一緒にやれたらいいなと思います。

立澤:元々のコンセプトでは売り上げの2〜3割くらいをオリジナルでと考えていました。
ありがたいことに、この地域に元々ある商品のポテンシャルが高く、それが売れて忙しくなってしまい、オリジナルに手を出せないまま1年が経ってしまったので、2年目はそこに力をいれて民藝のかたと一緒にオリジナルの商品を作れたらと思います。

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あとは、降りてからどうするかというところも課題ですね。先日買ってくださった方から、「商品がおもしろかったので、米原に行きたい」と連絡がありました。米原に「降りる」というところまでは、目標を達成したのですが、今は「米原で降りて、どうしましょう?」という状況なので、民藝マップやグルメマップがあって巡れるとか、“降りてからのおもてなし”ができるとおもしろいかなと思います。

山田智子
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山田智子

山田智子岐阜県出身。カメラマン兼編集・ライター。 岐阜→大阪→愛知→東京→岐阜。好きなまちは、岐阜と、以前住んでいた蔵前。 制作会社、スポーツ競技団体を経て、現在は「スポーツでまちを元気にする」ことをライフワークに地元岐阜で活動しています。岐阜のスポーツを紹介するWEBマガジン「STAR+(スタート)」も主催。 インタビューを通して、「スポーツ」「まちづくり」「ものづくり」の分野で挑戦する人たちの想いを、丁寧に伝えていきたいと思っています。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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