人と風土の
物語を編む
~ココロココリニューアルによせて~
「ココロココ」は、東日本大震災から1年が経った頃、
東北の人々を取材し始めたことがきっかけとなり、
2013年にスタートしました。
当時、震災によって建物が壊され、瓦礫・更地となった街の中で、
人と人とが助け合い、支え合うつながりを目の当たりにして、
街を構成するのは建物や道ではなく
「人」なのだということに気づかされました。
あらゆるモノやサービスに値段がつけられ、経済合理性が重視され過ぎている都市と、過疎化・高齢化が進む中でも、「お互い様」の精神で助け合い、支え合う価値観が残っている地方。
都市と地方をつなぐことで、新しい暮らしのあり方や、人と人、「ココロ」と「ココロ」の繋がりが生まれるのではないかと考え、「ココロココ」と名づけました。
あれから10年。
私たちがテーマとして扱ってきた「地方と都市の交流」「地方移住」「関係人口」といった言葉は、当時とはくらべものにならないほど一般的になりました。
特にコロナ禍以降は、リモートワークが浸透し、「会社員のまま移住」という新たなスタイルの移住者も増加。
もはや、「地方」と「都市」を区別した二元論で、交流や移住を語ることには意味がなくなってきたように感じます。
そんな中で、「ココロココ」として伝えたいこと、大切にしたい価値観は何なのか?
話し合った中で出てきたのが、「風土と人の物語を編む」というコンセプトです。
「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、文化・風習などの社会環境の両方の意味が含まれます。人々はその風土に根ざした生活を営み、それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。
過疎が進み、限界集落も増える中で、すべての風土を守り、残していくことは不可能であり、時とともに消えていく風土もあるでしょう。
その一方で、外から移住して新たに土地に根付き、風土を受け継いだり、新しい風土をつくっていくような動きもあります。
「ココロココ」では、このような風土と人々との関係性を探究し、その土地ならではの文化や歴史を理解し、土地に敬意を払いながら、風土を守る人、風土をつくる人の活動を紹介していきたいと考えています。