「やるなら楽しく、恐れずに。」がモットー。
水田風景が広がる奥州市胆沢区。ここに佐々木さんの農場はあります。学生の頃は、農業に対して良いイメージが無かったという佐々木さん。しかし、地域農業の将来を考えて地元に残りました。
「朝から晩まで働いたのに給料が安いとか、悪いところばかりが目についてしまっていたんです。もちろん農業にも良い所はあるのですが、親の苦労している姿を見ると農業には良いところがないと思ってしまったんですね。それで農業が嫌いになりました。農業にどっぷり浸かっているこのまちも嫌いでしたね。」
と語ります。
「だから自分が働くなら外に出たいと思っていたんですが、もしも私がいなくなったらこの地域の農業はもっと大変になるんだろうなと思いました。そんなこんなで地元に残ることを決めたんですが、気付いたらもう長いこと農業をやっていますね!」
今、農業を語る佐々木さんは生き生きしていました。
奥州市の主力作物である米の栽培以外にも、小麦栽培やジャガイモの契約栽培をされている佐々木さん。
今年から本格的に菓子製造メーカーカルビーのお菓子の原材料となるジャガイモの栽培をスタートしました。
8月上旬はジャガイモの収穫の真只中。14haの畑で活躍するのはこのポテトハーベスタ。一度に6人程度がこのポテトハーベスタに乗り込み、収穫と同時に選別の作業を行います。アメリカンな空気すら感じるスケールの大きさが、この農場にはあります。
地元のお母さん達の生きがい産直「あじさい」
地場産品200品目以上を取り扱う胆沢区の産直「あじさい」の立ち上げにも関わった佐々木さん。平成11年から運営をはじめた産直は、現在約70名が運営に関わり地元のお母さんたちの生きがいとなっています。
農家女性が中心となり、直売所や加工施設・食堂の運営・学校給食や旅館への提供等、様々な取組を実現しています。
「検討段階から産直は女性に任せようと決めていました。当時、専業主婦の多かった地域で、お母さん達の収入源は多くありませんでしたから。自立した生活をするためにも、この産直が必要だと思っていました。組合員みずから出資することで責任感がでましたし、何よりお母さん達は出資した分を回収しようとやる気になってくれましたね。」
当時まだそれほど多くなかった産直の立ち上げに、多くの反対意見もありましたが、産直があって良かったと言う声が組織内からも聞こえるようになりました。
産直あじさいは、生産者や地域の方を繋げるコミュニティの場としても大切な役割を担っています。
人手が不足しているこの地域に必要な人材は?という質問に対しては、「私たちがその人に合わせる。」という答えが返ってきました。
「農業以外のスキルがある人に、いきなり農業をやれといっても大変ですから。私たちが働ける土台づくりをしますよ。」
この地域や農業という仕事を選択してくれた人ならどんな人でも活躍できるような環境づくりを目指し、雇用を増やしていくことが佐々木さんの目標なのだそうです。
今日もどこかで作戦会議。地域の仕掛け人、佐々木さんの夢は尽きない。