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2017年2月24日 岩手移住計画

盛岡の魅力、再発見!盛岡市のPRを担う人材を募集します

人口約30万人の中核市である盛岡市。首都圏では「盛岡冷麺」や「福田パン」でもおなじみの町ですが、東北のほかの都市と比較して知名度の低さが課題です。一方で、離れがたい魅力を持つ町でもあり、「盛岡愛」にあふれる人は出身者だけではありません。転勤族や学生など、一時期過ごしただけでも、また戻って住みたくなる町なのです。この盛岡の魅力を外からの視点で捉えなおし、内外に発信するPRの担い手を、盛岡市初の地域おこし協力隊として募集します。

転勤族や学生も多い盛岡。一言では言い尽くせない、不思議な魅力を持つ町

北上川に架かる開運橋と岩手山
▲北上川に架かる開運橋と岩手山

盛岡市は東京駅から東北新幹線に乗って2時間10分ほどで到着する、岩手県の県庁所在地です。市内の至る所から雄大な岩手山を臨むことができ、一級河川の北上川と、鮭が遡上する中津川が市内中心部を流れています。

平成4年(1992年)に旧都南村と、18年(2006年)には旧玉山村と合併し、現在の人口は約30万人。バイパス沿いには大手チェーン店が並ぶ地方都市ならではの風景を持ちながら、城下町の雰囲気漂う町並みも残っており、今でも生活用水として使える水場が中心部に3カ所あるのは全国的に見ても珍しく、ほどよい便利さと文化や自然が共存する街です。

大慈寺(だいじじ)のそばにある水場「青龍水」。今でも生活用水として使われている
▲大慈寺(だいじじ)のそばにある水場「青龍水」。今でも生活用水として使われている

北東北エリア(青森・秋田・岩手)においてはその立地から、盛岡市がビジネスの拠点となることも多く、また、岩手大学や専門学校も多数あるため、転勤族や学生が多いことも特徴のひとつです。この町には一度住むと忘れられない心地よさがあるようで、転勤や学生時代に盛岡で暮らしたことがある方の中には、そのまま盛岡に住むために(転勤のない職場に)転職する人や、大学を卒業して一度離れたもののUIターンで戻ってくる若者もいます。

盛岡市は東北の中でもその知名度は高くなく、観光地としても決してわかりやすい町ではありませんが、住むとわかるその良さとはいったいどこにあるのでしょうか。

左上から時計回りに、冷麺、じゃじゃ麺、わんこそば、福田パン
▲左上から時計回りに、冷麺、じゃじゃ麺、わんこそば、福田パン

実は、一言でその良さを言い表せないのが“盛岡らしい”ところでもあります。例えば食。対外的には「三大麺(わんこそば、盛岡冷麺、じゃじゃ麺)」、最近では「福田パン」で有名ですが、全国52市を対象にした家計調査では、外食で「中華そば」「飲酒代」にお金を使う都市として上位にランクインしています。

確かに見渡すと、三大麺のお店はもちろんラーメン店も多いという印象があります。ほかにも、チェーン店ではなく地元の方が運営する飲食店として、イタリアンやフレンチのレストラン、バーや居酒屋、喫茶店、菓子店、パン屋などがあり、それぞれのジャンルに地元住民に愛されるお店が複数あります。

周辺都市と比較するとさらによくわかりますが、例えば仙台なら牛タン、青森ならりんご、といったように「盛岡なら○○」と、誰もがパッと思いつく最大公約数を得るものが弱いということかもしれません。でもそれは裏を返せば、「○○」がさまざま存在し、それぞれが人を魅了しているとも言えます。

このように、食ひとつとってみても多様性のある盛岡市ですが、地域おこし協力隊(以下、協力隊)はどのような経緯を経て導入されることになったのでしょうか。その背景について、お話を聞きました。

 

岩手県立大学と盛岡市の共同研究から提言された地域おこし協力隊の導入

市長公室企画調整課の栗山裕介さん
▲市長公室企画調整課の栗山裕介さん

お話を伺ったのは、協力隊の採用窓口となる市長公室企画調整課の栗山さんです。

「平成20年度から岩手県立大学と盛岡市の共同研究がスタートしまして『盛岡市まちづくり研究所』という組織が設置されたのですが、市から毎年2名の職員が研究員として派遣されています。1つの研究テーマを2年かけて研究するのですが、平成27年度の研究テーマが『盛岡市における中山間地域の特性・魅力に関する研究』で、その成果のひとつとして、協力隊の導入という政策提言がありました。」

この調査研究は、平成29年2月に発表された第7回都市調査研究グランプリ(公益財団法人 日本都市センター主催)において「自治体実施調査研究部門 優秀賞」を受賞しています。

研究に取り組んだのは、現在、農林部農政課に所属する高橋さんです(写真下)。2年間の研究期間を経て、平成28年3月に、盛岡市の中山間地域における多様な活動団体の事例調査や、モデル集落の地域づくりの展開などを報告書にまとめました。

農林部農政課の高橋充さん
△農林部農政課の高橋充さん

その後盛岡市は、この研究内容を調査対象地域にお住まいの方々に報告する会を開き、協力隊の導入についても説明しました。そこで、意欲的で受け入れ準備の整った「大ケ生(おおがゆう)地区」や地域の交流施設に課題を抱える「玉山地域」に、協力隊が導入されることが決定しました。

この動きに続く形で導入が決まったのが、今回ご紹介する盛岡のPRを担う人材です。

盛岡市は平成18年に「盛岡ブランド宣言」を行い、暮らしの中から生まれた様々な盛岡の魅力を「盛岡ブランド」として市の内外に発信してきました。そのカテゴリは多岐にわたり、城下町ならではの歴史的建造物、まちなか景観、特産品、伝統芸能・映画・演劇など様々な文化の振興とそれを育む風土、おもてなしの心など、数多くあります。これらのPRをさらに一歩進め、シティプロモーションにもつなげていくため、協力隊が導入されることになりました。

 

活動フィールドは市内全域。あなたの視点で盛岡を発信してほしい!

都市戦略室の皆さん。左から渡邊智裕さん、佐藤篤室長、杉田一盛さん
▲都市戦略室の皆さん。左から渡邊智裕さん、佐藤篤室長、杉田一盛さん

盛岡のPRを担う人材として着任すると、都市戦略室に籍を置き、3名のメンバー(写真上)と日々コミュニケーションをとることになります。

都市戦略室 佐藤室長
▲都市戦略室 佐藤室長

どんな方がこの業務に適しているでしょうか。佐藤室長にお話を伺いました。

「盛岡という町に興味を持っていただければ、住んだことがなくてもかまいません。席は用意しておきますが、どんどん外に出かけていっていろいろな経験をしてほしいので、勤務スタイルは柔軟に対応するつもりです。そうやって経験したことを通じて、その人なりの視点で、盛岡の魅力を発信してほしい。必須とする経験やスキルは特にありませんが、行動力とネットワークづくりへの意欲は必要になってくると思います。」

佐藤室長は学生時代を首都圏で過ごしましたが、外から見た盛岡の印象について、気がついたことがあったそうです。

「東北地域がテレビニュースで話題になることがありますが、残念ながら“盛岡”という地名を耳にすることはほとんどありませんでした。これは(盛岡の)中にずっといると分からなかったことです。もっと首都圏での知名度をあげたいですし、交流人口も増やしたい。そのためには情報発信のあり方を工夫しないといけません。協力隊の方をパートナーとして、一緒に考えたいですね。」

佐藤室長をはじめ、都市戦略室全体で協力隊をバックアップしますので、内容次第では組織横断的な企画にもチャレンジできそうです。心強いですね!

 

皆さんが思う盛岡の魅力的なところを教えてください!

今回お話を伺ったそれぞれの職員の方に、盛岡の気に入っているところ、いいと思うところを挙げながら、応募者へのメッセージをいただきました。

市長公室企画調整課の栗山裕介さん
▲市長公室企画調整課の栗山裕介さん

盛岡市の協力隊に応募すると、採用過程で最もお世話になるのが栗山さん(写真上)です。栗山さんは盛岡市に隣接する滝沢市で高校卒業まで過ごし、その後仙台市(宮城県)の大学に進学。卒業後に岩手に戻って盛岡市役所に就職しました。趣味はスノーボードです。

「(盛岡の良さは)いろいろあると思いますが、スノーボードをやっている身としては、車で1時間もあれば、どの山(スキー場)にも行けるところが最大の魅力ですね。今の時期は土日のどっちかは必ず行っています。」

どんな方に応募してもらいたいでしょうか。期待するところも話していただきました。

「盛岡の良さは友人や同僚に教えてもらって気がつくことも多いんです。未だに知らないことも多くて新鮮です。協力隊でやってくる人も、ここに暮らしながら、外から見たいいところを教えてほしいです。そして、盛岡を好きになってもらいたいですね。」

続いて、都市戦略室の皆さんにもお話しいただきました。

都市戦略室 渡邊さん
▲都市戦略室 渡邊さん

現在、子育て真っ最中という渡邊さんには、子を持つ親という視点で盛岡の良さを挙げていただきました。

「盛岡市は子育てに関するサービス環境は比較的整っています。子どもと一緒に中津川で鮭や白鳥を探したり、産直で新鮮な野菜を選んだり、『おっきなお山だねぇ』と岩手山を眺めたりしているのですが、ここで子どもを育てることができてよかったな、と感じられる街です。都会的な面では子育てに必要なモノやサービスは手に入りやすいですし、子どもに自然を身近に感じさせながら育てられる環境はとても気に入っています。」

行政職員の渡邊さんが自身の経験を踏まえたうえで、「子育てがしやすい」環境と評価しているのは、長く暮らしていく町を選ぶときのポイントにもなりそうですね。

「(協力隊の)皆さんと一緒に『盛岡の新しい魅力』を探しに市内を歩くことを楽しみにしています。」

都市戦略室 杉田さん
▲都市戦略室 杉田さん

旧都南村出身の杉田さんは学生時代を東京で過ごしましたが、就職では暮らしやすさを優先し、岩手にUターンしてきました。盛岡の良さはひとつに絞り切れないと悩み、働く場所、生活する場所、複数の観点から盛岡の良さを挙げていただきました。

「通勤が楽ですね。職員の多くは、自転車通勤圏内かバスやマイカーで30分程度で通えるところに住んでいます。東京に比べると慌ただしくなく、時間を有効に使えます。役所(本庁舎)の裏手に流れている中津川は鮭が遡上しますし、釣りをしている人もいますよ。こんな景色と隣り合わせの職場というのもなかなか珍しいと思います。」

スキーもゴルフもやる杉田さんによると、職住近接が可能なので時間に余裕が持て、よりいっそう趣味を楽しめるのも盛岡の良さだそうです。これまで無趣味だったとしても、移り住むのを機に、何か始めるのもいいかもしれませんね。

「人の好さも盛岡のいいところ。観光よりも住んでみて良さがわかる街だと思います。ぜひ一緒に中津川の鮭を見ましょう。」

佐藤室長
▲都市戦略室 佐藤室長

学生時代を首都圏で過ごした佐藤室長ですが、当時は好景気に沸いた時代で、都会に残るか地元に戻るか悩んだそうです。今は戻ってきてよかったと振り返りながら、盛岡に対する率直なところを語っていただきました。

「“便利”という指標だけですと東京や仙台に負けますし、夢や目標によっては都会にいたほうが叶いやすいこともあります。でも、生活のしやすさとなると盛岡のほうがいい点が多い。学生時代いろいろ考えて、私はそれを優先しました。盛岡は何かのランキングや指標で一番手になることはあまりないんですが、実は3番手、4番手となるとけっこうあるんですよ。それがかえって肩ひじ張らずに暮らしていける町という、安心感にもつながっているのではないかと思います。」

何かの一番手になれば知名度もあがるかもしれませんが、それがいつしか目的になってしまえば本末転倒なことです。盛岡の良さを挙げていただいた皆さんに共通したのは、過度な便利さを追い求めていない、という点でした。

最後に、佐藤室長に協力隊を考えている方にメッセージをいただきました。

「雇用関係はありますが、協力隊の皆さんは気持ちの上では『共同事業者』。パートナーとして考えています。手を携えて、盛岡を一緒にPRしていきましょう。」

ここに登場した栗山さん(企画調整課)、高橋さん(農政課)、佐藤室長(都市戦略室)は、3月3日(金)、4日(土)に東京で開催される説明会と、3月11日(土)〜12日(土)に盛岡市で実施される現地見学説明会にも参加します。少しでも興味があれば、ぜひご参加ください。たくさんの方のご応募、お待ちしています!

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岩手移住計画岩手移住計画は、岩手にUターン・Iターンした人たちの暮らしをもっと楽しくするお手伝いをし、定住につなげていくために活動している任意団体です。県内各地で、「岩手移住(IJU)者交流会」と題したイベントを開催しているほか、岩手県などが主催するUIターンイベントにメンバーが参加し、移住希望者の相談にも対応しています。首都圏と岩手をつなぐ活動にも力を入れています。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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