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2017年3月1日 岩手移住計画

玉山地域に人を呼び込む仕掛け人、募集!石川啄木のふるさと・玉山で活動する盛岡市地域おこし協力隊

盛岡市北部に位置する玉山地域(旧玉山村)は西に岩手山、東に姫神山を臨む中山間地で、岩手が誇る詩人・石川啄木が生まれた地でもあります。平成18年に盛岡市と合併しましたが少子高齢化や人口減少が進んでおり、今回地域おこし協力隊制度を活用することで、旧玉山村時代にオープンした交流施設「ユートランド姫神」を軸とした地域活性を図ろうとしています。「ユートランド姫神」の現状と玉山地域の特徴など、盛岡市職員の方に伺ってきました。

岩手が誇る詩人・石川啄木が生まれた地

盛岡市玉山総合事務所

盛岡市の玉山地域は平成18年に盛岡市と合併するまでは、人口約1万4千人の玉山村でした。今回訪ねた盛岡市玉山総合事務所(写真上)は、旧玉山村役場で、市内中心部から車で30分ほどのところにあります。

道路を挟んだ向かいには、詩人・石川啄木が作詞した校歌を歌い継ぐ、歴史ある渋民(しぶたみ)小学校があり、近くには啄木記念館や歌碑もあります。啄木が生まれた寺や、彼が通い、代用教員も務めた小学校も残っているなど、玉山の地域住民にとって石川啄木はとても身近な存在です。

渋民小学校▲木造の渋民小学校。校歌の作詞は石川啄木

石川啄木の石碑▲岩手山を背景に設置された石川啄木の石碑

今回ご紹介する盛岡市地域おこし協力隊<玉山エリア担当>は、この玉山地域に生活しながら、温泉や宿泊機能を備えた地域の交流施設「ユートランド姫神」を軸とした地域活性化が活動のテーマです。

 

旧玉山村時代にオープンした「ユートランド姫神」

ユートランド姫神▲ユートランド姫神前から臨む岩手山

「ユートランド姫神」は旧玉山村時代の平成10年4月から営業を開始しました。当時の村が、都市と農村の交流を目的に整備した施設で、第3セクターが運営しています。温泉や郷土食コーナー、宿泊機能を備えているほか、産直コーナーや食工房もあるので地域住民による買い物や日帰り入浴にも利用されています。

オープン当初は旅行雑誌などに掲載され、近隣市町村からの団体利用により混雑することもありましたが、宴会での利用者や宿泊者が減少したことなどにより、収益が低下するなど、経営状況は厳しい状況にあります。

この状況を打破すべく平成29年度は施設のリニューアルを実施する予定ですが、建物の改装といったハード面だけでなく、玉山地域全体に人を呼び込むための企画や仕掛けづくりといったソフト面も補強しようと、地域おこし協力隊の導入に踏み切りました。

 

現在の施設利用状況について

玉山総合事務所産業振興課▲玉山総合事務所産業振興課の花坂さん

盛岡市玉山総合事務所産業振興課の花坂武美さんに、ユートランド姫神の現状について説明いただきました。利用が落ち込んでいる原因はどんな点にあるのでしょうか。

「詳しく経過を追っているわけではないのですが、この10年の利用者減については、近隣に競合となる施設が増えたことで、立地の点や価格で比較された場合に優位性がなく、ユートランドならではの強みを打ち出すことができなかったことが挙げられます。また、オープン当初は温泉、郷土料理、食工房と3つの柱があったのですが、設備の老朽化や従事するスタッフの減少でオープン当初ほどの充実したサービスを提供できていないということもあります。」

このように、外部環境の変化に追いつけなかったというだけでなく、チャンスを生かし切れていないという事情もあるようです。

「現在の施設利用者は主に60代以上の女性客で団体利用が多いです。ユートランド姫神の売店の中には、いずみ会が運営する産直コーナーがありますので、そこで帰りに買い物もしていただいています。例えば、そういう団体客が来る時には品ぞろえを充実させ、品切れが起きても補充するという連携も進めたいのですが、この地域の農業も従事者の高齢化が進んでいるので、日中に品切れになったとしても、補充しに来てもらうのが難しいという現状があります。」

ユートランド姫神内の産直▲小松菜、ごぼう、しいたけ、りんごなどが並ぶユートランド姫神内の産直

甘納豆▲玉山特産の雁喰豆(黒平豆)を使った甘納豆。産直がPRに力を入れている

 

施設利用者の増加に加え、「ユートランド姫神」を軸とした玉山地域の活性化を目指す

花坂さん

平成29年度には「ユートランド姫神」の改修を予定しているとのことですが、協力隊にはどのような形で関わってもらえたらよいでしょうか。

「最終目標としては、施設利用者を増やして、売り上げ向上に力を貸していただきたいですね。玉山地域は片道1時間ほどで各地のスキー場や温泉にいけますので、そういった立地を生かして、外から人を呼び込む企画も期待しています。例えばユートランド姫神を軸に、周辺施設と連携した新しいツーリズムの企画というのも考えられます。」

玉山地域から車で30~40分あれば到着できるところを調べてみましたが、スキー場なら安比高原や八幡平、雫石、1年を通じて家族連れで賑わう小岩井農場など、首都圏でも比較的知られた観光地へのアクセスは抜群です。もちろん盛岡市内中心部にも30分程度ですので、盛岡ならではのグルメや工芸も無理なく楽しむことができそうです。

花坂さんは続けます。

「単純にユートランド姫神の売り上げを向上させるというだけではなく、地域の人と外から来た人が交流する要の場として位置付けられたらと考えています。協力隊の方には外からの視点で、こういうことなら都会の人には喜ばれるとか、地元にいると気がつかないことも指摘してもらいながら、地域に人を呼ぶ企画運営でサポートしてもらえるとありがたいですね。」

 

岩手山と姫神山を望むのどかな風景に触れながら、玉山地域の協力隊として働いてみませんか?

姫神山▲姫神山

盛岡といえば市内の至る所から岩手山を眺めることができますが、玉山地域ではさらに姫神山があります。90分ほどで頂上まで登れるので、ハイキングと本格的な登山の中間ぐらいの負担で、初心者でも楽しむことができます。頂上が開けているため(写真下)、春の山開きになると大勢の登山愛好家が集まり、雄大な風景を楽しみます。

姫神山頂上付近▲姫神山頂上付近。左奥は岩手山

玉山エリア担当として地域おこし協力隊に着任すると、玉山地域で生活をしながら、徐々に地域にとけこんでいくことになりますが、玉山総合事務所に配属されて3年目になる吉田麻莉さん(写真下)に、おすすめの場所を尋ねてみました。

玉山総合事務所産業振興課▲玉山総合事務所産業振興課の吉田さん

「この事務所の近くなんですが、緑青(ろくしょう)という喫茶店があります。メニューにはナポリタンやスイーツもありますし、おいしいコーヒーも飲めておすすめです。」

最近では玉山在住や出身の若手による地域を盛り上げる取り組みも実施されているので、なじみの店をつくって、積極的に交流してみましょう。地域にとけこむ近道かもしれませんね。

最後に、花坂さんに地域おこし協力隊を考えている方にメッセージをいただきました。

「必須となる経験やスキルはありませんが、玉山地域の人たちと積極的に交流してつながりをつくりながら、協力隊の方自身にも、地域の人たちを結んでいくコーディネーターのような役割を果たしてもらえたらと思っています。ぜひ一緒にやっていきましょう。」

玉山総合事務所産業振興課のお二人

玉山総合事務所産業振興課の皆さんも、あなたをお待ちしています!

少しでも興味がわいたら、ぜひ下記の説明会への参加をお勧めします。日程があわない場合は個別のお問い合わせにも対応しています。ご応募、お待ちしています!

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岩手移住計画岩手移住計画は、岩手にUターン・Iターンした人たちの暮らしをもっと楽しくするお手伝いをし、定住につなげていくために活動している任意団体です。県内各地で、「岩手移住(IJU)者交流会」と題したイベントを開催しているほか、岩手県などが主催するUIターンイベントにメンバーが参加し、移住希望者の相談にも対応しています。首都圏と岩手をつなぐ活動にも力を入れています。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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