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2017年10月12日 前田 有佳利

【10/21-22開催】 駅前に現れる2日間限定の仮想商店街Arcade

拠点を選ぶ理由は、人それぞれ。
子育ての環境に適していたからとか、サーフィンが好きだからとか。

さまざまな答えがあるなかで、和歌山を拠点に選んだ理由の一つに「この街で、楽しそうに働き暮らす大人たちに、出会えたから」という共通の答えを持ったUターン・Iターン移住者たち。彼らがチームとなって実施している「ARCADE PROJECT(アーケード・プロジェクト)」という取り組みがあることをご存知でしょうか?

そのプロジェクトの象徴ともいえる屋外マーケットイベント「Arcade(アーケード)」が、10月21日(土)22日(日)和歌山県JR海南駅の駅前広場にて、3回目となる今年も開催されるのでご紹介いたします。

2日間限定の仮想商店街「Arcade」とは

普段何もないJR海南駅前に、約250枚の木製パレットと鉄鋼フレームを組み合わせた仮想商店街が2日間だけ現れます。6m×24mという、なんとも迫力のあるサイズ。そこに、和歌山で拠点を構える店舗を中心に、和歌山に縁ある県外店舗が加わり、飲食・物販・体験といった約50もの個性的な顔ぶれが出店します。

和歌山で採れた果物をオリジナル加工でドライフルーツにする店や、和歌山県立美術館に入っているテーマ別の選書が興味深いブックカフェ、30,000人以上を描いた経験のある和歌山県出身の似顔絵師の店など、「こんなお店あったんだ!」や「こんな人いるんだ!」といった驚きと発見で眺めているだけでも心が躍ります。

そんな和歌山の新しい文化が凝縮されたような空間に多くの人々が惹かれ、昨年の来場者数は、なんと約1万人。普段は人通りの少ない駅前広場が、小さな子どもからおじいしゃんやおばあちゃんまでもが訪れ賑わう、地域の憩いの場へと大変身していました。

2016年度、開催前日の設営準備の様子

2015年度、建屋の中も外も多くの人で賑わっていた

受け取ったバトンを次世代に渡したい

「Arcade」のはじまりは2015年。それぞれ別の仕事をしている有志が集い、かつてこの街で暮らす大人たちの姿を見て和歌山に魅力を感じたように、今度は自分たちが次世代にその思いのバトンを渡す番だという決意から、このプロジェクトがスタートしました。

活動の一環として、次世代が暮らしたいと思えるような“理想の街の縮図”をつくろうと、仮想商店街と称したこの屋外マーケットイベントを毎年開催しています。

現在の実行委員は、立ち上げ初期からのメンバーである建築家のTHE OFFICE 柏 原誉さん・空間デザイナーのRAPYARD 神谷 健さん・家具屋のFORESTA 冷水 善史さんの3名。フリーで編集者をしている私も広報全般の編集担当として加わっています。全員、県外に住んだ経験のある和歌山在住者です。

さらに、現在東京や京都に住む和歌山出身者が遠隔からサポート。popcorn 梅本 智子さん、「わかやま未来会議」の運営者でもあるGunosy三國 慎さん、デザインやイラストはアートディレクターのFUNNEL 里 健太郎さんが手がけています。2017年度の写真は、フォトグラファーの96BOX黒岩 正和さんによるものです。

2017年度の会議風景。建築設計事務所THE OFFICEにて

“理想の街の縮図”を描く

「Arcade」を通じて街の可能性を届けたいという気持ちから、彼らは出店について「完全招待制」という方法を徹底しています。一般的なマーケットイベントでは、出店希望者を広く募集することがありますが、「Arcade」の場合、出店の募集は一切しません。実行委員メンバーが実際に訪れ、これはと思った約50店舗に直接出店を依頼しているのです。

それぞれ本業の傍ら、何度も会議を重ねてジャンルのバランスも加味して出店先を選び抜き、その後1店舗1店舗に依頼の連絡をして、50回の承認を得ていく…。かなり骨の折れる作業ですが、毎年この工程を大切に行っています。

さらに、2日間のなかでは伝えきれなかった出店者の思いなどを発信するべく、イベントの開催に合わせて「Arcadeタブロイド」というオリジナル冊子を、無料で約1万部発行しています。和歌山県内の各店舗で受け取ることもできるため、どうしてもイベントに来れなかったという人も、タブロイドから和歌山の変化を感じられるのではないでしょうか。

ネットでダウンロードすることもできるので、ぜひ一度閲覧してみてくださいね。最新号VOL.04の発行も、もう間もなくです。

この街で、楽しく働く、おとな展

そんなこだわりが詰まった「Arcade」、今年のコンセプトは「この街で、楽しく働く、おとな展」です。3年目を迎える今、原点の気持ちを見つめ直し、自分たちが本当に伝えたいのは、オシャレな店が並ぶ空間や販売されるモノではなく、その場に立つ“人”そのものなのだと改めて気付き、このコンセプトを掲げることにしました。

Arcade当日。買い手からも売り手からも笑顔が溢れる

実行委員の一人である柏原 誉さんは、これまで実行委員メンバー全員で話し合った考えをもとに、こう話します。

「ほんの数十年前まで、和歌山の日常には、刺激や感動が溢れていました。背伸びして入ったレコード屋で見知らぬおじさんが粋な洋楽を教えてくれたり、憧れの喫茶店の珈琲デビューを登竜門のように仲間内で競い合ったり。

そうやって学生時代を和歌山で過ごした私たちの視線の先にはいつも、この街で楽しそうに働き暮らす大人たちの姿がありました。

あのとき受け取った刺激や感動を、私たちは次へと継げているだろうか。『Arcade』はそんな思いからはじまった、自らに対する挑戦のようなプロジェクト。全員でそう再認識して、3年目となる日を迎えようとしています」

今度は自分たちが次世代にバトンを。その大きなテーマを胸に、悩んで悩んで試行錯誤を繰り返して、時には進んで時には戻ったりしながら、彼らの飽くなき挑戦は続きます。

夕暮れ時。日中とはまた違った表情を見せる

あなたが拠点を選ぶ理由は、何ですか。
もし決めかねているなら、一度「Arcade」を訪れて、和歌山を拠点に新しい暮らしをつくっている人たちの姿を覗いてみてはいかがでしょう。そして、もし「なんだか楽しそう」と感じたら、理想が現実に変わるように、一緒に挑戦しませんか。

では、2日限りの仮想商店街でお会いしましょう。

Arcade2017

日程:2017年10月21日(土)11:00~21:00
    2017年10月22日(日)11:00~18:00
会場:JR海南駅前広場
         〒642-0032 和歌山県海南市名高187-8

Arcade2017 出店者リスト

SPECIAL GUEST
植田志保(Shiho Ueda)[from TOKYO]

AVENUE
BRING BOOK STORE、(BOOKS+kotobanoie [from HYOGO] / YUYBOOKS [from KYOTO] / 居留守文庫 [from OSAKA] / 本屋プラグ [from WAKAYAMA])、&NIGAOE [from KYOTO]、いとう写真館 [from OSAKA]、塩津植物研究所[from NARA]、LIFE IS JOURNEY! [from OSAKA]、F&F [from OSAKA]、selection ROCA、Droog、庭工房、MUYA、jiji、Botanica、CASA、Lapre、norm、MARGINAL、FORESTA、HOUSE HOLD INDUSTRY

KITCHEN & MARCHE
やまくに [from KAGAWA]、graf studio kitchen [from OSAKA]、SPORTY COFFEE[from OSAKA]、BRING BOOK STORE、BOAT CAFÉ、BONAPPETIT、CENTRO、Tave Tab パスタとお酒、DOOSHEL、食堂ことぶき、小川農園、SANDOYA+むすび家、3時のかんぶつ屋さん、くろしお、餃子日和、くくたち、ライオンホルモン、アンノカ、FROM FARM、Herb+、THE ROASTERS、patisserie mignonne、floresta-carro、toco*towa、CUPS、Takoyaki EIGHT

BAR
平和酒造、VOYAGER BREWING、BIANCOROSSO、ワイン・ラボ

協力:JR海南駅 (株)丹台木材工業 (株)オークワ (株)BEE 本屋プラグ
協賛:岩本石油(株) (株)オオミヤ (株)オレンジライフ (株)タカショー glafit(株) スマイルカラー(株) テントゥーワン税理士法人 フィリップ モリスジャパン 合同会社 Festa Luce 和歌山MIO [50音順]
後援:海南市
主催:ARCADEPROJECT

ARCADEPROJECT
WEB:http://www.arcadeproject.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/ArcadeProject
Instagram:https://www.instagram.com/_arcadeproject_/

前田 有佳利
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前田有佳利

前田 有佳利全国200軒以上のゲストハウスを旅する編集者。 WEB「ゲストハウス情報マガジンFootPrints」代表。書籍『ゲストハウスガイド100 -Japan Hostel & Guesthouse Guide-』(ワニブックス)著者。和歌山出身。京都の大学を卒業後、株式会社リクルートに入社し、大阪と東京で勤務。約10年間地元を離れていたが、ローカルの面白さに惹かれてUターン移住。現在はフリーランスとして、ゲストハウスとまちづくりを専門分野に、複数のメディアで執筆・編集・企画などを担当。

人と風土の
物語を編む

 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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