自然とともに生き、「食」を軸にした生活を送る。教えたくないほど大好きな場所、妙高へ移住した石井さん夫妻

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新潟県妙高市。東京都から夫婦で移住した石井さん夫妻は、2017年4月にレストランカフェ「minatsuki」をオープン。ともに食のプロとして飲食店経営などを経験してきたお二人は、自然豊かな妙高の地で「食」を徹底的に楽しむライフスタイルを送っています。お店のことから、移住を決めた経緯、生活の模様などをお伺いしました。

理想の暮らしを求める旅の終着地・妙高へ

レストラン「minatsuki」外観

妙高市大鹿地区にあるレストラン「minatsuki(みなづき)」の店主、石井雅江さんは、千葉県の出身。3人のお子さんの子育てをしながら、大鹿でレストランカフェを経営しています。メニューは、手づくりの天然酵母パンを中心に、自ら手塩にかけて育てた自家製野菜を使ったパスタやサラダなども。子育てと両立しているため、不定期でのオープンです。それにも関わらず、リピーターが増加中なのだとか。遠方から足を運ぶお客さんも少なくないそうです。

レストラン「minatsuki」内観

▲内装はすべて手づくり

雅江さんは、関東地方のイタリア料理店、日本料理店などで勤務したのち、2014年に妙高市へ移住しました。

移住のきっかけは、東京都でレストランを経営する夫の青志さんの影響でした。

石井さん夫婦

▲左:石井雅江さん 右:石井青志さん

静岡県出身の青志さんは、10代の頃に料理の道へ進み、修行を重ね東京都内で店を構えるまでになりました。飲食の世界の第一線で仕事に打ち込む中、自然と調和した暮らしを夢見るようになっていた青志さん。いつかは食材が豊富な地方に移住を、と夢見るようになりました。

「あるとき思い切ってキャンピングカーを購入し、全国各地を回ることにしたんです」

「田舎に移住しよう!と思っていざ出かけてみても、深く知ることはできないと思って。訪れた先のことを深く知るために、キャンピングカーで山の中に泊まったりしました」

雅江さんの出身地である千葉県の房総半島をはじめ、思いつく限りの場所に赴く生活を続けました。各地で最も時間を割いたのは、「自然」と「食事」にふれあうことでした。

「山や海、川に入ったりして自分で食材を見つけ、キャンピングカーに持ち帰り、その場で調理しました。手に入れたばかりの魚を捌いたりして。その地で暮らすようなことをしないと、本当の良さはわからないと思ったから」と青志さん。

石井さん宅

▲石井さん宅。広い敷地内には納屋、畑がある

全国を回った末に石井さん夫妻が「ピンときた」のが、妙高市でした。

「今住んでいる古民家を内覧したとき、ピンときたんです。本当に素晴らしくて。初めて見に来たのが秋の時期だったのですが、寝泊まりしていると朝5時頃自然と目が覚めて、外を見れば景色がとても綺麗で。ここだ!と思いました」と雅江さんは嬉しそうに話します。

ちなみにキャンピングカーは、移住してしばらく経った時に売ってしまったそうです。
「移住後、一度県外へ旅行に出かけたのですが、とにかく早く帰りたくなっちゃって(笑)必要なくなってしまったんです」と雅江さん。

「食のパラダイス」で食材探しの毎日

笹ヶ峰高原

「食材を扱う人間だけでなく、自然が好きな人であれば、ちょっと回っただけでわかるんじゃないかな。食のパラダイスですよ」妙高市の良さを伺うと、青志さんはこう話します。

青志さんが頻繁に訪れるのが笹ヶ峰高原。妙高市のシンボル・妙高山の麓に広がる広大な高原地帯です。

「自然が豊かと言われる場所は全国各地にあります。でも、いまだ手つかずの自然が残る場所となると、そうそうあるものではありません。妙高には、人が分け入ったことのないような場所がまだまだ存在します。それはつまり、食材の宝庫でもあるということ。そこにまず惹かれました。自然の豊かさで言えば、北海道の知床と(どちらに移住するか)最後まで悩んだほどです」

青志さんは移住後、猟友会に入会。辺り一面が深い雪に閉ざされる冬には、山の奥深くへと分け入り、猟に出かけます。オールシーズン、いつでも食材を探して回っています。

「秋に採れる天然キノコに惹かれました。食材として最高級のものが採れるんです。実は意外と海が近かったりするので、魚も豊富なんです。春夏秋冬問わず、いろいろな食材が手に入る。そういったところも気に入りました」

自分が美味しいと思うものを出す

「ランチの日」と題した日では、自宅内の畑で採れた野菜を使ったメニューがminatsukiに登場します。移住した年から試行錯誤し、自然農法にこだわって育ててきた野菜を使った、雅江さん自慢のランチメニューです。シーズンによっては、青志さんが採ってきたキノコなどが入ることも。

「お店では、自分たちが本当に美味しいと思うものを出すことを心がけています。私たち夫婦の共通テーマは『美味しいものをたべること』。自分で作った食材だから愛着が湧いて美味しい、というのではなく、シビアに味を追求していきたい」と雅江さん。

春には山菜、夏には畑、秋にはきのこを採り、冬には猟に出かける旦那さん。手に入った食材を、大切に料理してお店で提供する奥さん。

夫婦二人三脚での、自然のリズムと調和した生活を満喫しています。

干し柿

▲自宅の軒下には干し柿がびっしり。なんと3,000個作るのだとか

自然と調和した生活は、食に関わることだけではありません。

四季の移ろいに合った生活に自然となっていくそうです。

石井さん

▲縄を丁寧に編んでいく青志さん。自然のリズムに合わせ、できることすべてを自分たちでこなす

今ではすっかり見られなくなった、干し柿用の縄を編む作業。これも青志さんの大事な仕事のひとつ。かつては神社のしめ縄なども、村の人たちが自分たちで編んでいたそう。秋から冬にかけて行う大事な仕事でした。

「廃れてしまうのは勿体無いと思って」と話す青志さん。地域で一番詳しい方に教えてもらいながら、網づくりをはじめ、地域に残るものづくりにも取り組んでいます。

「本当に大変ですよ!休む暇がなくて(笑)でも、やりたくて仕方がないことですからね」

好きなことを追求する親の姿をみせることが、最高の教育になる

もうひとつ、石井さん夫妻が移住を決めた決定打となったことがありました。それは、子どもの教育環境のこと。移住を決めたときは、お子さん(次女)が3ヶ月のころでした。

妙高に移住するにあたって、子育てのことも重要だと考えていたお二人。もっとも大切にしたことは、自然の中での教育でした。

「子どもと一緒に山に入り、一緒に山菜を採ったりしています。時には、猟で仕留めた動物を捌くところも見せたりします。それを通じて『いただきます』とはどんな意味なのかなど、僕らなりに考えていることを、その場で子どもたちに伝えていきたいなと思っています」

大好きな場所で、好きなことを徹底的に追求する親の姿を見せること。それこそが最高の教育になると考え、石井さん夫妻は子育てをしています。

石井さん夫婦

▲大好きな妙高の景色が一望できる、自宅すぐ脇の坂は雅江さんのお気に入りスポット。自然との距離が非常に近い

「食」と「自然と調和したくらし」—。

徹底的に「自分たちが楽しいこと」を取り入れた暮らしを送っています。

「こうして話しているけれど、できれば他の人に教えたくないくらいですからね(笑)」と笑う雅江さんと青志さん。

「今後は、子どもたちの成長に合わせ、営業日数を増やしたりなど「minatsuki」の運営も変化させていきたいです。時間が流れても自分たちが大切にしている「食」と「自然との調和」を大事にしながら、毎日の暮らしを充実させていきたい」と、今後の展望を話してくれました。

最後に、妙高を愛してやまないお二人から、これから妙高市への移住を考えている方へのアドバイスをいただきました。

まずは青志さんから。

「気軽には来られない場所ですよね。冬は雪が腰くらいまで積もるくらいだし…。本気で好きな人じゃないと、逃げて帰りたくなっちゃうかもしれない。でも、食や自然環境に人生の中心軸を置いている人にとっては、こんなに楽しい場所はなかなかないと思います。パラダイスになると思いますね。本当に、他の人に教えたくないくらい(笑)」

続いて、雅江さん。「冬も厳しいし、都会と比べて仕事も限られます。自分で何かを生み出す、発信していこうという姿勢がない人だと、ずっとは住んでいられないんじゃ無いかと思います。でも、自分で仕事をつくりだしてやろう!と考える人にとっては楽しい生活を送ることができる場所だと思いますね。妙高が大好きな仲間が増えるのは大歓迎!ぜひ一度足を運んでみてほしいです」

終始、妙高の魅力を率直に話してくれたのが印象的だったお二人。地方ならではの厳しさについても率直に話してくれました。

妙高市への移住を考えている方は、理想の移住生活を叶えている石井さん夫妻に会いに、まずは「minatsuki」を訪ねてみてはいかがでしょうか。

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関連情報

妙高市オーダーメイド空き家見学ツアーの情報はこちら!
https://cocolococo.jp/topics/18893

妙高市「空き家情報登録制度」の担当者・制度利用者のインタビューはこちら!
https://cocolococo.jp/20435

ココロココ編集部

ココロココ編集部cocolococo

ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。
目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。
東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

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