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2018年12月17日 岩手移住計画

スポーツ、アウトドアを通じて感じる岩手の魅力 岩手県移住交流体験ツアー第3弾レポート

広大な岩手の人や地域資源の魅力に触れ、岩手での暮らしのイメージをつかんでもらう「岩手県移住交流体験ツアー」。スタートから4年目を迎えた2018年度は「岩手で暮らす・働く・生きる 今こそ知りたいイワテの旅」を共通テーマに、4本のツアーを実施しています。第3弾となるツアーのテーマは「スポーツ・アウトドアを楽しむあなたにささげる旅」で、16名の参加者が2泊3日で岩手の内陸と沿岸をめぐりました。

岩手の多様なスポーツを体験 陸前高田で新スポーツ「ボッチャ」

岩手とスポーツ、と聞くと、メジャーで活躍中の大谷翔平選手を連想するかもしれませんが、じつは岩手は野球以外にも多種多様なスポーツが盛んな地域。このツアーはさまざまなスポーツやアウトドアに触れながら、岩手で働き暮らすということについて具体的に考える機会を提供したいという思いで企画されました。

岩手に到着し、内陸部の一関から一路、東へ。陸前高田(りくぜんたかた)市を目指します。陸前高田市では、スポーツはもちろんのこと、復興が進む地域の様子や移住者の暮らしぶりを知るために、市への移住定住を促進するNPO法人「高田暮舎」、そして交流人口拡大に取り組むNPO法人「マルゴト陸前高田」の協力のもとで見学や体験を行いました。

最初に体験したのは「ボッチャ」。東日本大震災によって街の大部分が失われ新しい街を創るにあたり「ノーマライゼーションという言葉のいらない街」を掲げてきた陸前高田市で、「マルゴト陸前高田」を中心にパラスポーツ誘致を進めていて、ボッチャもそのひとつです。

車椅子でも楽しめるボッチャ

パラリンピックの正式種目にもなっているボッチャは、ボールを投げたり転がしたりして目標物にどれだけ近く寄せられるかを競う室内競技。参加者もボールの重さなどを確認しながらいざ体験。「思ったより難しい!」などと歓声が上がりました。

空き家を舞台に陸前高田の先輩移住者と交流

高田暮舎の案内で「空き家バンク」に登録されている住宅を訪問し、先輩移住者からお話をうかがいました。

空き家を見学して暮らしのイメージをつかみます

東日本大震災をきっかけに陸前高田に移住し「マルゴト陸前高田」の理事として企業研修や教育旅行の受入などを担当している越戸浩貴さんは「陸前高田は新しいことを大切だと考える人が多く、移住者が何かを始めることも応援してくれる。地域への敬意を持っている人なら受け入れてもらえる」と陸前高田の人たちの魅力を語ってくれました。

海や自然を楽しむ釜石ライフの魅力に触れる

バスは陸前高田から釜石へ。シェアオフィス・コワーキングスペースの「co-ba KAMAISHI マルダイ」では、ここを拠点に活動する釜石市の起業型地域起こし協力隊「釜石ローカルベンチャー」のメンバーや、お仕事のかたわら海の安全を守る「釜石ライフセービングクラブ」の活動をしている方々と釜石の牡蠣を味わいながらざっくばらんに交流しました。

ライフセービングクラブの佐々木良衡さんは首都圏で働き釜石にUターンし市役所に勤務しています。トライアスロン大会やオープンウォータースイミングなど海を活用したスポーツが行われている釜石で、安全のための海の監視や事故防止、人命救助などを担当する力強い存在です。神奈川県に住んでいた時は湘南の海にサーフィンに通っていたという佐々木さんは「やっぱり関東と比べても三陸の海の美しさは際立っています。釜石から出てみてその良さを実感しました。不便さを差し引いても自然の豊かさが勝っている」と話してくれました。
同じくライフセーバーとして活動している中田深雪さんは「いい意味で釜石は人が少なくてゆったりしています。自然とともにゆったり暮らしたい人にはおすすめ」と釜石の良さを語りました。

佐々木さんと中田さん(左から)

青い空 青い海 歩いて、自転車で感じる釜石

ライフセーバーの2人から釜石の海の魅力を聞いた参加者。翌朝は海が目の前に広がる根浜地区での体験です。サイクリングとトレイルウォークの2グループに分かれて、青い大空の下、青い海を見ながらの散策を楽しみました。

サイクリングのガイドは釜石ローカルベンチャーとして活動する移住者の福田学さん。自身が移住を決めたきっかけや釜石の観光への思いなども語ってくれました。

電動付の自転車もあり楽ちんなサイクリング

トレイルウォークのグループは地元の「三陸ひとつなぎ自然学校」の伊藤聡さんから震災当時のお話や根浜の海岸にはめずらしい植物が群生していることなどをうかがいました。

そして、いよいよ午後は今回のツアーの目玉でもある、完成したばかりのスタジアムでのラグビー体験。美しい芝を前にして参加者のテンションも急上昇!
参加者が訪れたのは2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップの会場のひとつ「釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアム」です。復興する姿を世界中の人々に伝えたいとの思いから、釜石市が誘致に取り組み、2015年に開催が決定。スタジアムは2018年夏に完成したばかりで、ラグビー選手以外の人が芝の上に立てるのは貴重です。

楕円のボールのパス回しを体験

地元の「釜石シーウェイブスRFC」の選手のみなさんにご協力いただき、リフトアップやパス回しなどを体験。チームに分かれて芝の上を駆け回りました。参加者の多くはラグビー初体験でしたが、釜石のラグビーを愛する皆さんのアツい思いを強く感じたようでした。

ほどよく田舎でほどよく都会な北上市を知る

2泊3日のツアーも後半戦。釜石を後にし内陸に向かいます。北上市では、北上の特産品・二子さといもやアスパラなどを使ったB級グルメ「北上コロッケ」をいただきながら、北上市の担当者から北上での仕事や市の移住促進施策について説明を受けました。

気さくな北上市職員のみなさん

北上市は、東北自動車道と秋田自動車道が接続する物流の要所で、古くから産学官を挙げての企業誘致に取り組む、岩手県内最大の工業都市です。市の担当者からは、市内では半導体大手メーカーの工場建設も進むなど誘致企業の求人が多く出ている状況が説明されました。一方で、比較的平坦な地形を活かし、米や野菜、りんごなどの栽培もさかん。工業と農業がバランスよく補完しあう地域です。

地域の食材を使った北上コロッケ

また北上市にUIターンする際の面接受験の交通費や引越し費用を助成する制度についても説明されました。

北上の自然をUIターン者とトレッキング

いよいよ最終日は北上市でアウトドアやスポーツを通じた観光地域づくりに取り組む「スポーツリンク」の協力でトレッキングを体験。外資系金融機関勤務を経て北上にUターンした平野華奈子さんと静岡県出身で北上市地域おこし協力隊の深津咲奈さんにも同行いただき、地元のガイドさんの案内で水沢鉱山跡のトレイルコースの一部を歩きました。

樹木についた実をみんなで観察

スポーツリンク北上では、このトレイルコースのほかサイクリングコースも設定、どれも各分野の第一線で活躍する著名人が監修した本格的なコースになっていて、コースの特徴を紹介するパンフレットも発行しています。

2時間ほどのトレッキングの後は北上牛のランチ。ここで協力隊の深津さんからお話をうかがいました。大学卒業後、東京で会社員をしていた深津さんは元ラクロスU-20代表という本格的なスポーツ経験の持ち主。「若いうちに新しいことに挑戦したい」と協力隊に転身。北上市の協力隊が「スポーツやアウトドアで地域を発信する」という分野での隊員を募集していたことが決め手だったと言います。
「北上は映画館や飲食店などの都市機能と大自然との距離が近いのが魅力。産直にはこれまで見たことのない野菜が並んでいて感動モノです」と目を輝かせました。北上の暮らしをいきいきと語る深津さんの笑顔が印象的でした。

最後は先輩移住者もバスに乗り込み、市内の生活を感じるバスツアー。地元ローカルのスーパー「おせん」で鮮度やお値段に興奮したり、移住者・登内芳也さんの北上の白鳥トークに爆笑したり、楽しいひとときを過ごしました。

ツアー参加者に3日間終えての感想を聞きました。上野寛之さんは釜石市の生まれ。千葉県で育ちましたが、最近になって地方移住を考えるようになりツアーに参加しました。「仕事が一段落し、以前から漠然と考えていた出身地へのUターンについて具体的に考えたい」と参加した上野さん。参加したことで、子どものころになじみのある釜石と遠野以外の土地にも行くことができ、改めて岩手の自然の美しさを感じ、自分は岩手が好きなんだと再認識できました」と振り返っていました。

今年度最終回となる「しろをめぐる旅 ~あなたと岩手に染まりたい」は独身男女限定で2019年1月25~27日に実施。現在参加者募集中です。岩手への移住に興味がある方同士、仲良くなれるプログラムをご用意しています。

http://www.kenpokukanko.co.jp/immigration-tour/

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岩手移住計画

岩手移住計画岩手移住計画は、岩手にUターン・Iターンした人たちの暮らしをもっと楽しくするお手伝いをし、定住につなげていくために活動している任意団体です。県内各地で、「岩手移住(IJU)者交流会」と題したイベントを開催しているほか、岩手県などが主催するUIターンイベントにメンバーが参加し、移住希望者の相談にも対応しています。首都圏と岩手をつなぐ活動にも力を入れています。

人と風土の
物語を編む

 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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