協力隊は「特別枠」じゃない。パートナーとして信頼する関係━━朝日町地域振興課 猪又聡太さん
現在、地域おこし協力隊の担当職員として、隊員さんと密に関わっていらっしゃる猪又さん。最初は受け入れ方がわからず、お互いにベストな距離感を手探りで見つけていったそうです。
「協力隊を受け入れ始めて最初の頃は、担当職員がつくという認識もなかったので、お互いに立ち位置がわからず戸惑いました。
ただ、やっぱりこの町で何か挑戦したいと思って来てくださっているので、誰に頼ったらいいかわからないときは力になりたいですし、その人自身のことを知るために、話をする機会を積極的につくるようになって……そこからはだいぶ打ち解けられましたね。
サポーターではなく、“パートナー”という目線でいることが一番大事だと思っています。頼られすぎる関係もお互いに良くないので、個々のスキルを信頼したうえで『一緒に面白いことをつくろう』『一緒に挑戦したい』という姿勢で接していますし、そう伝えるようにしています」
困ったときにはもちろん頼ってほしい。でも、協力隊として挑戦しに朝日町に来てくれたのだから、成長のチャンスを奪ってしまう“誤った優しさ”になっていないかを、猪又さんは常に意識しているようでした。
はじめは1名だった協力隊員が、今は17名。それぞれのモチベーションや個性をよく見ながら、適切な距離を保っていくのは至難の技です。
受け入れ開始当初から担当員という立場で協力隊と関わってきた猪又さんに、どんな人が朝日町に向いているか、どんな人を求めているかを最後に伺いました。
「朝日町は、どんなジャンルでも挑戦を後押しできる受け皿があるので、明確な目的意識を持っている人はどんどん活躍できる環境です。新しい感覚や専門的なスキルを持って、自ら行動できる人がさらに増えると嬉しいです」
選手からコーチへ。内定を蹴って、朝日町で欲張りな夢を実現する━━泊高校アーチェリー部コーチ 住友雅治さん
つづいて、実際に協力隊として活動している皆さんにインタビューさせていただくことに。どんな思いで朝日町の地域おこし協力隊にエントリーしたのか、また、実際に活動してみて日々何を思っているか、任期である3年が経った後の計画などを伺いました。
まず最初は、「アーチェリー部のコーチ」というなかなか珍しくピンポイントな募集要項をみて、すぐに応募を決めたという住友さんです。
「僕は日本体育大学卒業で、ずっと選手としてアーチェリーをしていました。大学3年生の時に朝日町の合宿招聘(しょうへい)事業というのがあって、朝日町に来たことがあったんですよ。その交流がきっかけで、監督から『アーチェリーのコーチとして地域おこし協力隊の募集が出ている』と教えてもらいました。
大学を卒業してもアーチェリーは続けていきたかったし、教える側としても携わっていきたいと思っていたのですが、やっぱりアーチェリーだけで生計を立てるのは難しくて。一般企業に勤めながら続けていこうと思っていた時のお誘いだったので、これはもう行くしかない! って思いました」
新卒で協力隊員になり、選手から初めて指導者に変わった2018年。修得してきたことを、体つきも握力も全然違う生徒たちに教えることは、とても難しく試行錯誤の日々だったと言います。
もちろん、アーチェリーに没頭することが仕事になっていることはとても幸せなことですが、慣れない町での生活は戸惑うことも多かったそう。そんなとき助けてくれたのが、近くに住む人たちの優しさだったと住友さんは言います。
「雨が降るから洗濯取り込んだほうがいいよ、とわざわざ教えてくれたり、作った野菜などをいただいたり、本当に皆さん優しくて『そんなことまでしてくれるの?』と最初はおどろいたくらいです。モヤモヤしていた時も、町の人たちの温かさに触れて、ここで頑張ろう! と喝を入れ直しています。
任期の3年が終わった後も、アーチェリーで町を盛り上げていきたいと思っているので、泊高校の教員になる道も考えています」
働き方を変えるために、夫婦で朝日町の協力隊へ━━服部大介さん
なんと大介さんは、奥様の彩子さんと一緒に協力隊として朝日町へやって来ました。大介さんは農業の仕事を、彩子さんは町の情報発信の仕事をしています。
「もともとは静岡でずっと会社勤めをしていたんですが、働き方を変えていかないと、この環境のままでは苦しいなと思っていて、2人で移住先を探し始めたんです。その時に、朝日町の『農業体験ツアー』を見つけまして、参加したことがきっかけです。
1年目は慣れないことばかりでしたし、主に農事組合法人の仕事だったのでバタバタと忙しい日々が続いていたのですが、今年は組合の勤務日数を減らしてもらい、空いた時間で生業作りの準備を行いました。
今まで町になかった養蜂にも挑戦しています。学びながらではありますが、これから自分にできる挑戦の幅をもっと広げていき、暮らしと町を豊かにしていきたいと思います」
「移住する前は、もっと排他的な町なのかなと思っていたのですが、皆さん優しく迎え入れてくれました。ただ、やはり昔から住んでいる人たちが大切にされてきた場所なので、自分も町民として町の草刈りなどは積極的に行うようにしています。
自分は他所から来て知らないことがたくさんある、助けていただいているという姿勢で貢献していくことが大切だと思います」
ご厚意に甘え尽くしてはいけない。この町になんの目的を持って、どんな挑戦をすべきなのか、自分で考えてきちんと軸を持つことが、町人の皆さんへのリスペクトにも繋がることだと気づかされました。
地域を新しい方向へ導きたい。「地域おこし協力隊は同志だ」━━商工会副会長 深松隆さん
最後にお話を伺ったのは、商工会副会長の深松さん。普段から協力隊とのコミュニケーションを心がけていて、皆さんの「お父さん的存在」なのだとか。
町の美味しい料理やお酒を一緒に味わいながら、隊員一人ひとりの成し遂げたいことや、興味を持っている分野についての話を聞き、親身になって日々寄り添ってくださっています。
「本業は建設業ですが、今は町の商工会副会長もやっています。町の役職でいうと体育協会の副理事長であったり、スポーツクラブの理事長なんかもやっています。
協力隊の皆さんとは、何か町のイベントなどがあった帰りに一緒にご飯を食べたり、お酒を飲みながら最近の話を聞いたりだとか、そういうコミュニケーションを取っていますね。本業の建設としてだと、なかなかサポートできることも限られてしまうのですが、彼らが困っているときや協力が必要なときに力になりたいと思っているので」
協力隊と初めて一緒に建てたのは、「あさひシーサイド ドッグラン」だったそうです。「町の人たちの新しい交流の場所としてドッグランを作りたいので、力を貸していただけませんか」という協力隊員からの相談を受け、図面をもらって施工を担うことに。当時のことを振り返り、「建設業だからバリケードつくるのは得意なもんでね」と深松さん。
商工会の方とこんなに距離が近く、相談にのっていただけるというのはすごく心強いですよね。「やりたい! 挑戦したい!」という気持ちに、こんなにも寄り添ってくれる環境が整っている町は、本当に貴重だと思います。
建設業と協力隊では、ドッグランのような提案がない限りあまり接点がないにも関わらず、なぜそんなにも商工会副会長自ら歩み寄ってくださるのでしょうか? その理由を聞いてみました。
「実はね、役場が地域おこし協力隊の受け入れを検討し始める前から、私は朝日町に協力隊が来てくれることを切望していました。今でこそ、朝日町は富山県で一番元気がある町だと言ってもらえるようになりましたけど、以前は、消滅可能都市と言われてしまうくらいに過疎化が進んでいて。
どうにか新しい人たちを町に呼び込んで、活性化させたいと思って協力隊に関する他の自治体の取り組み例などをたくさん勉強したんです。
朝日町の人たちって、何かをつくるのは得意なんですが、売るのが苦手で。情報発信の仕方がわからないという問題を抱えていたんです。良いものがここにはたくさんある。だからこそ、新しい視点で町の発信源になってくれる人たちが必要だったんです」
今では17名の協力隊がさまざまな活動を通して、町のエネルギーになってくれています。受け入れ始めた当初は、うまくいくかどうか不安を抱えていたそうですが、深松さんの手厚いサポートもあって町は活気を取り戻し、任期を終えた後も町に移住したいという隊員たちも現れました。
「私たちは世代をつなげていくために、10年、20年先の町の姿を想像して、準備をしていかなくてはいけない。朝日町に来て、挑戦してくれる隊員たちは同志だと思っていますよ」
朝日町が築いた「理想の関係性」が、あなたの可能性を最大限に広げてくれる
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朝日町では今、とくに専門的なスキルを持っている方や、チャンスがあれば起業したいと考えている方を積極的に求めています。
もちろんその他にも、地域の課題を見つけ、意欲的に挑戦してくれる人であれば活躍できる場はたくさんある町です。あなたも地域おこし協力隊として朝日町を訪れてみませんか? 少しでも気になったら、まずは下記の「関連情報」のページをチェックしてみてください。
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