2015年6月、米子市の本通り商店街沿いに、米子初のシェアハウス「Lotus house(ロータスハウス)」を始めた谷口さん。琴浦町に生まれ育ち、大阪に数年住んだ後、鳥取県に戻ってきたUターン者だ。
「大阪に出たのは就職がきっかけだったんですが、その時にシェアハウスに住んでいたんですね。その頃から、いつか地元に戻ってシェアハウスをやってみたい、ということは思っていました。」
新しい夢を見つけ、地元に戻ったという谷口さんは、その後は湯梨浜町のシェアハウスで手伝いをしながら、自分のハウスをもつための修行を始めたという。その時の人のつながりが縁で、現在の地に物件を見つけた。
「この物件は、もともとは商店を営む高齢のご夫婦が住んでいたというものでした。表から見るとビルなんですが、中は純和風のレトロな雰囲気で、部屋数も多くシェアハウス向きだなと。ひと目で見て気に入りました。」
物件を借りた谷口さんさんは、間取りはそのままに、床に白木を張り、砂壁に漆喰を塗り、ホームセンターで買った資材で棚を作るなど、DIYでシェアハウス風に仕立てた。「いろんな人に手伝ってもらいながら、自分でできるところはやりました。」と微笑む。この温もりがある雰囲気もまた魅力のひとつだ。
取材時に住んでいたのは、大阪時代の友人であるオーストリア人の女性と、米子移住を考えているという40代の男性。空き部屋はもうひとつ残っており、分け方によっては最大6名まで滞在可能ということだ。もちろん、それぞれのプライベートスペースには鍵がかけられるようになっている。
「いずれは3か月以上で受け入れるようにしたいんですが、今は最初ということで、1か月以上という条件で受け入れています。」
市内の中心部にあるということもあり、米子に「試し住み」するには最高のロケーションと言えるだろう。
米子市では移住希望者向けに「お試し住宅」も用意しているが、シェアハウスならではの魅力は、住民同士の交流や、そこから広がる人脈で情報が集まりやすいという点。さらにここは商店街の雑居ビルの最上階ということもあり、谷口さんが仲良くしている商店街の人達もたびたび訪れ、一緒にホームパーティーが開かれる機会も多い。こんな交流から街の雰囲気を知っていくのも良さそうだ。
「米子は山陰の“ハブ”(結節点)みたいな街だと思います。だからここにお試しとして住んでみてもらって、あ、あそこ行ってみたい、みたいな感じで、住みたい場所を見つけてもらえば、と思っています。もちろんここが気に入ってもらえたら、ずっと住んでいてもらってもいいし。そんな感じで考えています。」
移住の入り口としてここに住んでもらい、ここでいろんな場所を知って、いろんな人と出会って、リアルな街の情報を得てほしい。それが谷口さんがシェアハウスを通して提供したいものだ。「Lotus house」の日々の情報は、ブログやフェイスブックでも発信されているので、興味がある人はぜひチェックしてみてほしい。