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2014年1月30日 泉山 塁威

京都の移住者コミュニティと支援プロジェクトに取り組む

「ココロ×マチ」でもご紹介した、「京都移住計画」。今回は、プロジェクトに関わるお二人に、京都移住計画や京都への移住について、お話を伺いました。京都移住計画の周りにはどんな人がいるのか、町家暮らしなど、実際のところのお話を伺いました。

 

京都・絵

Q:京都への移住のきっかけを教えてください。

『京都移住計画』代表の田村篤史さん

色々な理由が重なりますが、働き方や仕事観としては地元志向が強かったことが一つの理由だと思います。 大学時代に京都のベンチャー企業で働いていた時に、働く事と暮らす事を近づけていきたいと感じていました。その延長線ではありますが、将来的には京都に関わる仕事がしたいと思っていた事が大きくあります。

就職しても5年以内には京都に戻ってきたいという思いが、東京に配属になった当初からありました。 もう一つは家族が大きなポイントになります。自分にとって大切な人たちが京都にいることと、できれば 働くことや暮らしの時間もそのひと達と共に持てるような時間の使い方ができるような選択がしたいと思いました。 前者は元々思っていた事ではありますが、後者については3.11の震災以降にそういった想いは強くなった気がします。

『京都移住計画』田中裕也さん

きっかけとしてはとても単純で、京都にいる人と土地、その可能性に惹かれたからですね。大学卒業後、人生の夏休みみたいな期間があって様々な土地に出向いたのですが、そのときにできた友人や仲間と一生つながっていたい、飲んだり遊んだりしたいと思ったときに京都って観光でみんなが来てくれるのでいいなと思っていました。

そして、京都に移住する前は大阪に住んでいたのですが、その時に鴨川で月に一度集まりを開いていたことで、京都でも友人や仲間ができ、自然と都会、伝統と最先端、刺激と癒しなどが融合して新しいものが生まれる可能性とそのバランスがいい町だと感じて移住を決意しました。結構、ノリと勢いみたいなもので移住してきた感あります。

イベント1

Q:京都と言えば、修学旅行や観光地としてのイメージが強いですが、 「移住エリア」としての京都の街の良さを教えてください。

田村さん

観光の際は、おそらくバスやタクシーなどで回ることが多いと思いますが、京都(特に市内において)は自転車で東西南北を その気になれば縦横無尽に行き来できる位のコンパクトな街であることが京都の街の良さだと思います。その中に都市部的な所も あれば、山や川といった自然溢れる場所や世界遺産級の寺社仏閣に気軽に足を運ぶことができます。

田中さん

あと大学が多く学生の町、若者の町でもあるので新しいものが生まれる可能性を感じます。最近では、webサービスやアプリなどIT分野でのスタートアップやアートやゲーム、映画等の新しいコンテンツの発信、若い地域のコミュニティや活動も増えています。海外からの留学や移住者も多いこともあって今後、京都から世界、世界から京都のような行き来が期待できると思います。

Q:『京都移住計画』の立ち上げきっかけや経緯を教えてください。また、その活動エリアは、京都市の中でどの辺りが中心でしょうか?

田村さん

京都移住計画のきっかけは、とあるシェアハウスの飲み会から生まれました。「いつか京都で暮らしたいと思っている人たちで、情報交換し合うチームを作って皆で移住できたら面白いね!」と盛り上がったことがきっかけです。そのシェアハウスには、たまたま関西出身(京都に縁のある)の仲間が集う場が多く、働き方や生き方について考える機会が多かったという偶然もありますが「いつまで東京で働くの?」というのが、当時僕の大事にしていた問いでした。新卒で東京に配属が決まった当時から「5年以内には京都に帰り、地域に関わる仕事をしたい!」という想いは持ちながらも、今ある仕事や暮らし(それ自体は大変楽しかったですが…)に追われて、先のことへ向けた準備がなかなかできていなかったように思います。そんな中「いつかは地元へ帰りたい」と思っている人が多く、たまたま京都出身だったり、学生時代に京都に住んでいたりする仲間と出会い「いつか京都に移り住む為に「今」できることをしよう!」という飲み会から「京都移住計画」が発足しました。

きっかけは、以下の記事より転用しております。
http://kyoto-iju.com/torikumi00/

田中さん

活動エリアは、上京区などが多いように思えます。茶論については各区のスペースを借りて実施しているのですがそれがその区毎の移住者の集まる場となり、コミュニティづくりにつながっていけばと思っています。最終的には京都全体を活動のエリアにするのが目標です。

イベント2

Q:京都暮らしと言えば、「町家暮らし」をイメージするのですが、「町家暮らし」の良さや普通の家と変わった点を教えてください。

田村さん

町家暮らしを実際にしたわけではないので良さを実体験を持って語ることはできませんが、町家で働くものの身としては、何よりも落ち着く環境だということ、それにつきると思います。来客がある際も必ずといって良いほど良い印象を持ってくれます。また壁がひとつひとつ区切られているところとふすま一枚のところでは、横の会話が聞こえていることで、人がいる感覚を持てたり、アイデアを双方向で気軽に交換できたりするなどのメリットもあるように思えます。

田中さん

さらに良く言われることですが、夏は暑くて、冬は寒いですね。自然をダイレクトに感じるのでその厳しさもありますが、自然と共存することで四季を感じることができたり、地域の方から古き良き先人の知恵や工夫、伝統を知ることができたりします。人としても強くなれる気がしますよ。

イベント3

Q:若い人の移住では、結婚や子育ての環境が気になるところかと思いますが、 移住者の声やサポートのアイデアなどはありますか?

田村さん

引っ越しの際の行政窓口で問い合わせてもらえると行政が管轄しているそういった団体などの紹介は受けることができると思いますが、京都は昔から自治意識が強い街のひとたちが多いこともあり、そういったサポートを各自治体レベルで行っていたり、NPOや民間のひとたち主導の集まりやコミュニティが点在しています。そういったサポートの体制が気になる方は、行政の窓口と地場のネットワークを持っている方に問い合わせてみるのがオススメかと思います。

Q:行政の移住政策との連携はあるのでしょうか?

田村さん

今後は積極的に連携できるところはしていきたいと考えております。単体で活動していても知名度もそれほどないですし、影響力という点でもまだまだ大きくない状況なので、うまく連携ができれば移住計画のメンバーで考えたアイデアなどがより早く実現していくことができるのではないでしょうか。特に京都市内はこれまで関わってきましたが、市内に関わらず京都のなかでの田舎暮らしという視点にたっての活動もできればと思っております。

田中さん

ゆくゆくは京都内でも移住が生まれてもいいかと思っています。京都府全体で考えたときにまだまだ可能性があると思っていて、人の行き来も生み出していきたいですね。

Q:最後に、『京都移住計画』の今後の活動の展開について教えてください。

田村さん

昨年からはじめることになった「働く」というコンテンツの強化をはかる為に、京都の面白い会社や良いなと思える会社の求人情報などを紹介していければと思います。また同時に「住む」というコンテンツでも不動産情報を中心に情報発信をしていける体制を作っていく予定です。京都移住茶論というリアルな場は引き続き続けながらも京都以外の場所での開催については昨年同様東京を中心に他府県でもチャレンジできればとも思います。

田中さん

さらには、全国各地で生まれている移住促進に向けた動きと連携してこれからの新しい働き方や生き方を提案していきたいと考えています。

イベント4

『京都移住計画』の田村さん、田中さん、どうもありがとうございました。

取材先

「京都移住計画」田村篤史さん 田中裕也さん

問い合わせ
:http://kyoto-iju.com/contact/

Webサイト
:http://kyoto-iju.com

泉山 塁威
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泉山塁威

泉山 塁威1984年、札幌市生まれ。世田谷区在住。 明治大学理工学部建築学科助手及び同大学院博士後期課程にて、都市計画やエリアマネジメント(まちの経営)、公共空間活用の研究をしながら、複数のまちづくりの現場の実践プロジェクトを携わっている。NPO法人まちづくりデザインサポートの事務局で、まちづくりワークショップのマネジメントやまちづくりデザイン支援を手掛ける。ほか、お茶の水スキマ大学・まちづくりディレクター、NPO法人お茶の水公共空間マネジメント理事。 若手がまちづくりの研究や実践プロジェクトを行う都市デザイン・マネジメント研究会共同代表。最近では、地方のまちづくりに関わる一方で、東京と地方の連携や移住について関心事である。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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