豊かな水に育まれた、水源の里
伊吹山と三島池
合併10年を迎える米原市は、長浜市と彦根市の間に位置する人口は約4万人のまちだ。
東には日本百名山のひとつに数えられる霊峰・伊吹山がそびえ、伊吹山地で育まれた豊かな水が琵琶湖へ注ぐ。昭和2年に世界一の積雪量11mを記録した伊吹山の雪解け水は「びわ湖の素」として、近畿1400万人の生活を支える琵琶湖の供給源となってきた。
琵琶湖の夕日
また、名水100選に選ばれた泉神社湧水、居醒の清水など、市内の至る所から驚くほど透明な水が湧き出る。その美しさは、天野川のホタルや、醒ヶ井養鱒場のビワマスやハリヨが証明している。飲料水だけでなく、清らかな水で作られたお米や野菜、そばも美味しく、名水で仕込む醤油や豆腐も自慢の一品だ。
居醒の清水
近畿・東海・北陸をつなぐ交通の要所
滋賀県米原市は、近畿、中京、北陸を結ぶ交通の結節地でもある。「米原」駅には、滋賀県で唯一新幹線が止まり、大阪・名古屋へは30分、東京までは約2時間と、どこに行くにもアクセスがよい。
しかし米原を通ったことのある人は多くても、実際に降り立ったことのある人となるとぐっとその数は減る。地元の人たちもそのことを自覚していて、「米原」駅で「降りて」もらうためのポータルサイト「orite米原」を立ち上げるなど、米原の魅力発信に努めている。
今回取材させていただいたクラフト作家のみなさんも、創作活動は自然豊かな米原で行い、作品の販売やプロモーションには、京都や大阪、東京などの都市圏にフットワークよく出かけ、2つの利点を存分に活用している印象だった。
市民と行政の協働プロジェクトも盛ん
「米原市は市民の方の自主的な活動が盛んなんです」と米原市役所の鹿取さんはいう。
米原市には「協働事業提案制度」という、市民が持つアイデアを公共的課題の解決のために生かす提案制度があり、市民が活動しやすい環境が整っていることも要因のひとつだ。米原の魅力を発信したいと始まった里おこしイベント「伊吹の天窓」や、タウン情報誌「まいスキッ!」もこの制度を利用して始まった。
伊吹の天窓の様子
「伊吹の天窓」実行委員会の早川鉄兵さんは、「僕たちの考えの及ばないところを行政が考えてくれたり、行政では思いつかないようなアイデアを僕たちが提案したり。とてもよい関係です」と話す。100人限定のイベントとして始まった「伊吹の天窓」が、わずか5年で約3000人を動員するまでに大きく発展したのも、市民と行政が一緒に作り上げきた結果だ。
市民と行政が手を取り合い、より良いまちづくりを目指してきた米原市が、新しい試みとなる「民藝創生みらいつくり隊」を募集する。全国に誇る、翠雲彫、切り絵、陶芸に続く新たな民藝の担い手となるのは、あなたかもしれない。