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2016年1月15日 石渡ノリオ

古家採取活生計画 第2回:空き家がヴィンテージ・ハウスとして高値で取り引きされ、急増する幸せ!?

古い家から学ぶ暮らし方の知恵を今に活かし未来をつくる。大家さんをサポートして空き家・古い家を活用する企画。

こんにちは。「空き家再生」最近よく見るキーワード。空き家問題に関心がある人はたくさんいますが、空き家に住んだ人はあまりいません。朗報です!関心があるなら、ズバリ、空き家に住めばいいのです。

わたしたち夫婦も愛知県津島市で、築80年の長屋群の活用に取り組んでいます。「家が空いているなら使えばいい。」それぐらい簡単に考えていたのですが、、、

kominka003▲家前の私道を青空工房に

将来、何かの災害で家が壊れてしまったらどうする?

もし、家が自然からつくられたシンプルなものであれば、つくるにも壊すにもそれほど悩みもしないし、自分で直すことができたら、もっと心強いです。しかし、日本の住宅事情は、それほど単純ではありません。空き家を活用したくても、ボロボロで屋根も壁も床もなかったら、さすがに住めませんし、仮に修理するとしても誰が費用を負担して誰がやるのか。壊れたら誰の責任なのか。また、その家が役目を終えた何十年後、巨大な産業廃棄物になったとき、誰が責任を取るのか。

現在はこのように課題が山積みの空き家ですが、活用のノウハウさえ整えばヴィンテージ・ハウスとして、きっと価値が高まります。大丈夫です、手に入れるなら今のうちです。

kominka001▲DIYイノベーション中のDr.Kevin(右)

空き家問題の解決策「トレスパシオ・フレームウォール工法(特許出願中)」

「ひとが諦めてしまうことを、どうやればできるか考えてやるのが生き甲斐。」と言う大家さんこと通称Dr.Kevinとぼくたち夫婦は、日本古来の伝統技術と、新しい素材の融合を試みながら、安心・安価でしかも後施工が可能なDIY技法のイノベーションにチャレンジしています。

空き家の多くは、築30年以上の木造住宅で、つくられた当時にはなかった耐震基準に適応しなければならなく、それに準じて改修すると多額な費用がかかってしまい、実に困った問題なのです。 そこで「もし自分たちで木造住宅の耐震化ができたら」という妄想から試行錯誤を繰り返して、遂にひとつの構造体「トレスパシオ」を完成させたのです。

kominka005▲垂れ壁に施工したトレスパシオ・フレームウォール工法

「トレスパシオ」は、正式名称「トレスパシオ・フレームウォール工法(Trespacio Frame Wall 工法)」で、旧耐震の軸組木造住宅に、木質の専用補強構造体を後施工で設置する工法で、家屋の完全倒壊を防ぎ、人の命を優先的に守るという考えです。

それ、耐震じゃないよ、と批判の声が聞こえてきそうですが、その通りです。地震で家は揺れても逃げる余地を残すサバイバル的な生き延びる為の技術で、100%の安全を保障するモノではありません。

では、逆に問います。家を安全かつ快適なものにするために、どれだけの費用を投入して、未来にどれだけの廃棄物を生産し続けるつもりなのでしょうか。

 

家主と入居者が協同するDIYイノベーション計画

目指すところ、空き家や古家の活用方法とは、解体も視野に入れた計画です。生まれて死ぬまでがひとの人生なのですから、家も解体されるまでが、その役目です。新築でも同様に、家がその仕事を終える時まで考慮して設計するのが、これからの住宅ではないでしょうか。自然の法則に適ってつくられた築年数を経た空き家や古家には、そのヒントがたくさん詰まっているのです。

kominka006▲別バージョンのトレスパシオ・フレームウォール工法

開発した「トレスパシオ工法」により、居住空間に対する考え方や、空き家活用方法についてより議論を深めるきっかけになることを願い、この工法を広くシェアし、オープンソース的な発想で、改良を加えながらより良いものへと発展させたいと考えています。特許出願中ですので、ご希望の方に、施工方法を無料提供致します。

Dr.Kevinとわたしたち夫婦がDIYイノベーションにチャレンジしている愛知県津島市の長屋では、あなたが描くイメージをカタチにできる空間として入居者を募集しています。『リノベ塾-TSUSHIMA』というタイトルで、床や壁の改修ワークショップも開催しています。

kominka004▲床張りワークショップの様子

DIY改修やってみたいひと、お店やアトリエ、オフィスや隠れ家、住居にセカンドハウスとして、空き家を所有する前に、ここで改修技術を習得するのもオススメです。

家賃は3万円~で、道具のレンタルもあります。希望者には、改修費用を援助するプランもありますので、空き家活用のトレーニング入門には最高の環境です。

物件は300坪の敷地に

  • 平屋5軒長屋(床面積、約140平米)
  • 二階建5軒連棟長屋(床面積、約435平米)
  • 二階建戸建(床面積、約120平米)
  • 集会所(床面積、約120平米)

これだけあります。

ぼくの想いは「空いている家があるなら使おうよ。」それだけです。空き家や古家に暮らし、賃料を抑え、やりたいことに取り組み、豊かな人生を送るひとが増えれば、築年数はヴィンテージの価値を計る物差しに変わり、幸せな人生が増えます。愛知県津島市の長屋では、そんな実験をしています。

 

【問い合わせ先:norioishiwata@gmail.com】

ご連絡お待ちしています。

石渡ノリオ
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石渡ノリオ

石渡ノリオ1974年生まれ。地球人、生活者、芸術家、ライター。妻と2人で、あちこちの古い家に暮らしながら、生活芸術を推進中。ぼくはここにいます。

人と風土の
物語を編む

 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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