盛岡らしい移住促進を一緒に考えたい。ゲストハウス型の交流拠点整備も視野に入れて協力隊を募集する盛岡市
北東北の主要都市であり、約30万人の人口を抱える盛岡市。それゆえに県内のほかの地域と比較すれば人口減への対応は喫緊の課題ではなく、移住定住の取組が充分とは言えませんでした。このタイミングで協力隊を募集し、移住定住促進に力を入れることにした背景や協力隊と一緒に取り組みたいことなど、都市戦略室の佐藤篤室長(写真下・右)と、担当の佐藤俊治さん(写真下・左)にうかがいました。
室長「2017年度から地方創生案件の所管が都市戦略室に移管され、移住者増加に向けて本格的に取り組むことになりました。但し、盛岡市は後発になりますから、ほかと違う面を打ち出していきたい。移住には仕事があるかどうかも重要なポイントになると思いますが、盛岡市は雇用対策に関しては取り組みが進んでいますので、仕事を含めた暮らし全体で、盛岡の良さを訴求していきたい。どんな方に向けてそれを伝えていきたいか。そこで我々が基軸にしているのが『関係人口』です。」
佐藤室長の言う「関係人口」とは、盛岡市出身・在住にかかわらず、盛岡とかかわりのある方を指します。例えば、観光、転勤、進学で過去に盛岡を訪れたり暮らしたりした経験がある方だけでなく、首都圏在住で盛岡の特産品や郷土芸能のファンになった方なども関係人口に含まれます。盛岡市は、地縁に関係なく盛岡と縁のある方を増やしていくことが、その後の移住につながると期待しています。
室長「首都圏には盛岡の郷土芸能・さんさ踊りの愛好会『大江戸さんさ』『赤坂さんさ』といった団体があります。たとえばこれらの団体と交流を深め、関係人口を拡大していくことで、移住予備軍の裾野が広がります。何よりも“盛岡らしい”移住対策ではないかと感じています。協力隊の方には移住促進にまつわる様々なことをお願いしたいですが、私たちが大事にしたいのは“盛岡らしさ”ですね。」
協力隊に求められることは、移住に焦点を充てた盛岡市の情報発信、移住体験ツアーの企画運営、県外の盛岡ファンコミュニティを増やす取り組み、地元高校生の地域とのつながりを深める企画など、人と人、盛岡と首都圏をつなぐことです。
さらに話を聞くと、後発ならではの思いきった取組みとして、盛岡市はゲストハウス型の交流拠点の整備を視野にいれています。
佐藤さん「(2017年)8月に、岩手移住計画主催で『盛岡ゲストハウス想像会議』という、小さなトークイベントがあったのですが、イベントに講師で来ていたBackpackers’ Japan代表の本間さんから、『盛岡くらいの都市規模ではゲストハウスの数が少ないと感じる。』と話が出ました。私自身これまで、盛岡市内にニーズはあるのだろうかという疑問があったのですが、ここへ来て“ゲストハウス待望論”を感じました。
室長「予算確保もこれからでまだ始まっていませんが、ゲストハウス型の移住交流拠点ができれば、そこは一定期間滞在できるお試し居住や、移住体験ツアーの宿泊にも使ってもらおうと思っています。」
佐藤さん「さらに、外からいらした方に地域と関わる機会を提供する場にもなればいいと思っています。今回募集する協力隊には立ち上げから関わってほしいので、移住にまつわる様々な仕事も含めて、ゲストハウスにも関心のある人に来てもらえたらいいですね。」
インスタ映えする成人式で盛岡を話題に!仕掛けたのは地域おこし協力隊
盛岡市では2018年1月7日に成人式が行われました。この直前、日本経済新聞や岩手日報でちょっとした話題になったのが、“インスタ映え”する撮影コーナーや撮影グッズの設置でした。仕掛けたのは盛岡市のPRを担当する協力隊、佐々木寛子さんと石井結莉さん。ふたりとも盛岡市出身で、協力隊着任を機にUターンしてきました。
成人式の会場に用意された撮影コーナーは、ふたりが中心となって折りあげた、新成人の人数と同じ2,790羽の千羽鶴で飾られ、盛岡をアピールする「Like盛岡」や、SNSで検索ワードの役割を果たすハッシュタグ「#盛岡」などがデザインされた撮影グッズも準備。新成人からは「こんなものがほしかった!」と好評を得ました。
盛岡にUターンして半年。仕事はどうですか?
佐々木さんも石井さんも2017年5月1日に着任して約半年。全国紙でも話題になるようなPR企画を実現させ、一見、順風満帆な様子に見えますが、実際はどうだったのでしょうか。ふたりが所属する都市戦略室の杉田さんにも同席してもらい、これまでを振り返りつつ、今の仕事内容について話を聞きました。
石井さん「高校卒業以来の盛岡暮らしですし、PR担当なので、改めて盛岡を知るべく大小様々なイベントに足を運んでいます。学生の頃とは違う視点で盛岡の良さを再発見する日々ですね。最近ではSNSを通じて、日英での情報発信にも取り組み始めました。これまで花や緑を扱う仕事をしていたので、その経験を活かしたPRも企画中です。」
佐々木さん「会社員時代はPRやクリエイティブ全般の仕事をしてきました。それを活かして、普段から行政の不得意な広告やマーケティング分野をフォローしています。最近では移住関連のパンフレットを制作しています。この半年は、行政制度やルールの中で、どう動いたらいいのか考えながらやってきました。公務員の仕事はこういうものなのかと、会社員時代とのギャップに戸惑う場面もありましたね。」
杉田さん「なるべく彼女たちが動きやすいようにサポートしています。私たちではなかなか思いつかないPR企画を挙げてくれますし、これはぜひと思うものは事業化に向けてバックアップしています。民間企業の方から広告営業を受けた時も金額面の妥当性などは判断しにくいのですが、佐々木さんの専門性に助けられています。」
会社員時代とは勝手の違う環境に葛藤しながらも、確実に活躍の場を広げている佐々木さんと石井さん。さらにお話をうかがうと、まだ本決まりではないものの、次年度に向けて準備している企画もあるとのこと。杉田さんや職員の皆さんの力を借りつつも、協力隊として積極的に企画を提案していることがうかがえました。
厳しくも楽しい職場。都市戦略室はあなたを待っています!
都市戦略室に籍を置く協力隊の仕事概要が見えてきたところで、皆さんからいただいた、応募を検討している方へのメッセージを紹介します。
石井さん「職場環境はとてもいいですし、皆さんのおかげで楽しく仕事ができています。盛岡市を知らない人でも、ここ(都市戦略室)に来ればPR担当の私たちもいるので、いろいろ知ることができます。一緒にがんばりましょう。」
佐々木さん「都市戦略室は(職場の配置的に)、市長に近い部署なので、ある意味一番厳しくて、でも一番面白い職場。企画を通すのに確実な根拠、特に数字が必要で、民間企業より時間がかかることは確かですが、大局的な視点を持って仕事ができるので、その分やりがいも大きいと思います。」
杉田さん「相談に乗ってくれる先輩協力隊もいますし、PRにおいては佐々木さん、石井さんと連携してやっていくことになると思います。職員みんなで支えますので、ぜひ思いきって飛び込んできてほしいです。」
佐藤さん「応募された方のご経験やスキル次第で、いろいろな取り組みが期待できると思っています。Uターン、Iターン、単身、家族などは問いませんので、人と人をつなぐ仕事に関心がある人に来ていただきたいです。」
室長「盛岡市は2020年開催の東京オリンピックのホストタウンとして、カナダからスポーツ選手を迎えることになっています。岩手県がアジアからの訪日観光にも力を入れていることから、外国人に向けたPRにも力を入れています。盛岡市が裾野を広げたいと考えている関係人口は、その国籍も問いません。盛岡市を、誰もが訪れたくなる、そして、移住・定住しやすい地域にしていくことに、一緒に取り組んでいける人をお待ちしております。」
インタビューの合間の雑談から、都市戦略室はわきあいあいとした雰囲気の職場で、協力隊と職員が良好な関係を築いていることが伝わりました。仕事内容は異なるものの、同じチームに先輩協力隊がいるのも心強いはず。協力隊に興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。