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2022年11月1日 廣川かりん

青森県夏泊半島にあるホタテと椿の町「平内町」でキャンプ&ワーケーション体験

東京を離れ本州最北の青森へ!2021年より実施されている「東青地域キャンプ&ワーケーション体験モニター」は、地方移住や地域居住を考える県外のリモートワーカーを対象に、1泊2日でワーケーションをしながら地域の交流・体験プログラムに参加できるという催しです。滞在先は、東青地域と呼ばれる県内5つの市町村からの選択制となっています。今回は、平内町で過ごした盛りだくさんの体験と町の魅力を紹介します。

ホタテにハクチョウにツバキ…自然がいっぱいの平内町

陸奥湾の南側にちょこんと突き出した半島があるのはご存知ですか?東津軽郡平内町は、この夏泊半島に位置しています。

ホタテ養殖の発祥地であり、また冬には「浅所海岸」にハクチョウがたくさん訪れることから、ハクチョウの町としても知られています。
さらに、自生するツバキの北限地帯として国の天然記念物に指定されたのは100年前のこと。
豊かな自然と、ここでしか見られない景色に出会うことができる町です。

ほっと落ち着くケビンハウスで1泊2日のワーケーション

ワーケーション体験の宿泊先は、平内町の「夜越山森林公園」内にあるケビンハウスに指定されています。近くにはスキー場、サボテン園、洋ラン園、温泉などがあり、広々としたパークゴルフ場も完備。緑に囲まれたゆったりとした時間が流れる場所です。

宿泊先となっている「夜越山森林公園」内のケビンハウス

都会の喧騒を離れ、一息つくとなんとも開放的な気分に。
ロッジのテラスに座れば、自ずと「さて、一杯…」などと誘われそうになったところで、タイミング良くビールの試飲体験が待っていました。

ツバキのパッケージがかわいいクラフトビール

平内町では、町おこし事業で2021年からビールの試作を開始。椿山に自生する天然のツバキから抽出培養された「八戸高専 椿山酵母」を活用したクラフトビールの開発を行なっています。
まだ試作段階にあるものの、ツバキの酵母でつくられたクラフトビールは初めての味。こうした資源を利用して、町の魅力の発信に積極的に取り組んでいます。

また2日間のなかで、交流・体験プログラムとして平内町ならではの文化交流を選ぶことができます。
今回、筆者は平内町のツバキ油を利用したリップバーム作りと、椿山海岸でのSUP体験に挑戦しました。

平内町体験プログラム① ツバキ油のリップバームづくり

夜越山に植樹されたツバキの種から採れる油を利用したリップバーム作りに挑戦。
地域おこし協力隊の方にレクチャーしていただきながら、1時間程度の体験プログラムになっています。

ツバキの種を割って、油を抽出

まずは殻を割る器具で、ツバキの種から中身を取り出します。
なんと、ツバキの油はひとつの種から2割ほどしか絞り出せません。ツバキ油の希少価値を身をもって体感することができました。

専用の器具を使い、圧搾して油を抽出。熱で溶かしながら蜜蝋と混ぜ、好きな香りのエッセンスを選んで調合し、常温で凝固させるためしばし待ちます。

ツバキを活用した町おこしを担当している、地域おこし協力隊の辻井さん

今回リップバーム作りを教えてくださったのは、地域おこし協力隊の辻井さん。青森市のご出身です。仕事で東京に25年暮らしていましたが、今年の4月にUターンで平内町に移住しました。
東京での生活に比べ、公私のバランスが取れた心にゆとりのある暮らしができているそう。平内町での冬は今年が初体験なので、ドキドキしていると話します。

地域おこし協力隊の活動拠点となっている「まちなかオフィス」

そしてリップバーム作りの会場となっている素敵なリノベーション家屋は、平内町の「まちなかオフィス」です。
古家を町内の人たちが一部DIYし、地域おこし協力隊の拠点として、新しいスペースに生まれ変わりました。気持ちよく風通しの良い空間です。

完成したリップバーム

こうして辻井さんとのお話を楽しんでいる間にリップバームが完成。
かわいいパッケージで思い出に残るお土産になりました。

平内町体験プログラム② 椿山海岸でSUP

自生するツバキを北限地帯となっている椿山

もうひとつの体験プログラムは、椿山海岸でのSUP体験です。
指導資格を持つ役場の職員さんがレクチャーしてくれるので、初めてでも大丈夫。
この日はあいにくのお天気となってしまいましたが、晴れた日には青々と透き通った海の上でSUPが楽しめるそうです。曇っていても海の中が見えるので安心感があります。

あいにくの天気でしたが…穏やかな海でゆっくり楽しめるSUP体験

椿山海岸は湾になっているので、波がほとんどなくとても穏やかでした。
天気の良い日であれば、ボードの上に寝転がり、ゆらゆらと揺れていたくなるようなまどろみのひとときが楽しめそうです。

晴れた日の椿山海岸は透明度も最高!

ホタテだけじゃない!平内町に点在する美味しいグルメ

さて、お楽しみはやっぱり食事。ホタテ養殖の発祥地である平内町の「ほたて広場」にやってきました。こちらでは、生のホタテの販売はもちろん、海産物や加工食品などお土産がずらりと並びます。

「ご当地レストラン ホタテ一番」でいただいた、炙りホタテの彩り海鮮ちらし重

「ひらないまるごとグルメ館」では、地元のホタテを使った美味しい料理が楽しめます。
この日は週末土曜日ということもあり、レストランは満席で並ぶほどの人気ぶりでした。

煮干しの出汁がきいた「紫ぜん」さんのラーメン

ところで、青森ではラーメンといえば煮干しラーメンが定番だそうです。夜越山のケビンハウスの近くにある、産直「紫ぜん」さんで絶品の煮干しラーメンをいただきました。

平内町にUターンし、「紫ぜん」を営むオーナーの田邊さん

こちらのオーナーの田邊さんも、Uターンで平内町へ戻った方のひとりです。
以前は陸上自衛官として戦地や被災地で活動していましたが、休暇で地元に帰ってきたとき、田園風景が変わっていることに気がつきました。

休耕田が広がった景色に寂しさを覚え、地元の未来を考えるきっかけになったと話します。
現在は家族と共に「紫ぜん」を営みながら、農家としても出荷・生産を行なっています。

平内町ではふとしたところで美味しい食に出会うことができます。
小湊駅の近くにある「Panya ichico」さんのでイチオシは、夜越山ほうれん草を使ったスコーン。

リピーターも多い人気のメニューです。朝から袋一杯の大人買いをしている方もいらっしゃる盛況ぶり。
「Panya ichico」さんのインタビュー記事はこちら

他にも、ローカルスーパーの「オレンジハート」の自家製のお惣菜は地元の人に大人気。牛すじのカレーを美味しくいただきました。

平内町でのワーケーション体験は来年度も開催

すっきりと晴れ間が出たのは、取材が終わった後のこと。山から海へと爽やかな風が吹く平内町で車を走らせると、なんとも心地よく、東京の夏もこんな風に過ごしやすかったらと羨ましがらずにはいられません。

バケーション部分が多くなってしまいましたが、少しだけワークもしました!

豊かな自然と美味しい食事、そしてここでしか味わえない無二の体験はきっと今の暮らしを見つめ直すきっかけになるでしょう。

平内町では来年もワーケーション体験を開催予定なので、ぜひ情報をチェックしてみてください。
ここにしかない平内町での新しい発見がきっと待っているはずです。

取材先

夜越山オートキャンプ場

平内町の「まちなかオフィス」

椿山海岸

廣川かりん
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私が紹介しました

廣川かりん

廣川かりん旅行好きが高じて地域創生・まちづくりに興味を持ち、国内外の各地で取材を行う。2015年フランス・パリ生活を経て、フォトライター、デジタルマーケティングなどパラレルキャリアを邁進中。合気道二段。

人と風土の
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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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