こんにちは。
ココロココ編集部の奈良織恵です。
コロナ禍における2度目のゴールデンウィーク最終日、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
私は連休前半は南房総の家で過ごして山林や畑の整備、ドローンの練習などを、後半は東京に戻って部屋と溜まった仕事を片づけていました。
「地方と都市をつなぐ、つたえる」をキャッチコピーとしたWEBマガジン「ココロココ」を立ち上げて8年。
スタート当初は、まだ「地方移住」をする人はちょっと変わり者で、会社を辞めても自分でナリワイをつくれる起業家精神あふれる人だったり、お金がなくてもほぼ自給自足で暮らしていける逞しい人だったりしました。
そこからだんだん「移住」や「ローカル」といったワードが一般的になり、最近はコロナ禍によるリモートワークの普及で、さらに注目が集まっています。
弊社(株式会社ココロマチ)は、この「ココロココ」のほかに、都市部の街をプロモーションする地域情報サイト「itot(あいとっと)」というサービスも運営しています。
この2つは、同じように「地域」「街」をテーマにしたサービスでありながら、対象としているユーザも、ビジネス上のクライアントも異なっています。
■ココロココ
https://cocolococo.jp/
地方移住実践者やローカルプロジェクトなどを取材
ユーザ層:「地方に移住したい」「地域に関わりたい」と考える都市圏住民
クライアント:地方自治体(移住プロモーション、地域おこし協力隊募集など)
■itot(あいとっと)
https://itot.jp/
都市部の子育てコミュニティや小学校、暮らしの施設などを紹介
ユーザ層:都市圏内で引っ越し(=住宅購入)を検討している層
クライアント:マンションデベロッパー、ハウスメーカー(物件の販売プロモーション)
ざっくりいうと、ココロココのユーザは、住まいを探すなら古民家をセルフリノベーションしたいタイプ、itotのユーザは、せっかくならきれいな新築マンションに住みたいタイプ。
もちろん人によってさまざまなので一概にはいえませんが、両者の間には、価値観や目指す暮らしに明確な違いがあると考えていたし、運営にあたっては、実際にそういうペルソナ設定をしていました。
が、コロナ禍を受けて、その違いが曖昧になってきたように感じています。
いや、もともと厳密に「都市」と「地方」、「アーバンな人」と「ローカルな人」などと2軸に分けられるものではないにも関わらず、分かりやすく単純化してしまっていただけなのかもしれません。
実際には、都市(=都心生活)か地方(=田舎暮らし)かの2者択一ではなく、その間には郊外、地方都市などのグラデーションがあり、都市と地方の両方を選ぶ2拠点、多拠点居住という選択肢もあります。
コロナ以降は、都心マンション在住者がリモートワーク環境改善のために郊外戸建てに移り住んだり、会社員が仕事を辞めずに田舎に移住したり…これまではあまり見られなかったパターンの移住事例も増えています。
「家は住むところ」「職場は働くところ」という「職住完全分離」が当たり前だった多くの都市住民が、リモートワークによって、元来田舎には多かった「職住近接」「職住一体」を経験したことで、住む地域や暮らしに目を向けて、自分らしい場所を選ぶようになったのだと思います。
先日聞いていたラジオ(「シン・TOKYO論~東京イメージの現在」)の中での読者からのコメントで、
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東京や地方について語るとき、
「東京なのにこんなに自然豊か!(で素晴らしい)」
「地方なのにこんなにおしゃれなお店が!(あって素晴らしい)」
と、東京には地方らしいものを、地方には東京らしいものが求められていて、このまま進むと、東京も地方も同質化してしまうのでは・・・?
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というのがあり、なるほど確かにと思いました。
急激に同質化が進むほど単純ではないにせよ、コロナ禍で東京23区の転出超過が起こり、リモートワークによって以前のような押し合いの満員電車は見られなくなったことを考えると、結果として、バランスがとられていくのかなぁという気もします。
そうなったときに大事なのは、「地方か、都市か?」「古民家リノベか、新築マンションか?」の二元論ではなく、その地域の暮らし、その地域らしさをよりリアルに伝えること。
今年度は、WEBマガジンというカタチにこだわらず、「ココロココ」「itot」の両サービスも連携させながら、この「暮らしを伝えるコンテンツ」に力を入れていきたいです。