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2021年7月23日 奈良織恵

2拠点生活、3年目の出不精

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東京と南房総の2拠点生活を本格的に始めて3年目。
半年経ったところで台風がやってきて、1年経ったころにコロナがやってきて、なかなか通いにくかった時期もありましたが、最近はほぼ毎週末、ペース良く南房総暮らしを楽しんでいます。

そんな私が最近感じているのが、「2拠点生活、3年目の出不精」。
東京から南房総まで行く道のりについては、習慣化してペース良く動けるのですが、南房総の家に着いたあと、以前とくらべて家に引きこもりがちです。

以前は、自分が南房総にいる間に「館山に新しいお店ができた」「知り合いがイベントに出店する」といった情報があれば、「せっかく近くまで来てるんだから顔だそう!」と思って、気軽に出かけて行っていました。
南房総の家は、東京の家ほど「寝に帰る場所」というわけではないけれど、なんだかんだと用事を入れて、ちょこちょこ出かけたうえで夜戻る場所でした。

が、最近はなかなか体が動かない。
南房総滞在中に、最寄のスーパーにしか出かけないとか、家の敷地から一歩も出ない週末も増えてきました。館山のカインズやパワーコメリに行くのも「よっこいしょ」という感じ。
自分なりに理由を考えてみると…。

1.コロナで人に会いにくい

これはやはりあると思う。千葉県とはいえ、北の方とは全然環境が違う(=田舎な)南房総。平日東京で過ごした人がいろいろ顔を出すのは控えた方がいいかなー考えてしまうのと、実際に控えているうちに、だんだん出かける習慣がなくなってしまった…というのもあるかもしれません。

2.家でやることが多くて忙しい

東京のデスクワークを南房総に持ち込んで仕事することもあるし、庭の草刈りや畑の世話など、東京のマンションには無い家の仕事もあります。特に、梅雨から夏にかけては、草の勢いが凄すぎて、週に1回の作業ではなかなか追いつきません。「雨後の筍」という慣用句の意味が身に染みて分かったのは、房総に家を持ってからです…

朝夕の涼しい時間帯を庭仕事にして、作業後にシャワー浴びて、ご飯つくって食べて、片づけて、少しデスクワークして、適度に休憩して…などとやってると、本当に1日はあっという間です。

以前読んだ、はしかよこさんのnote記事「生活をサボるな。とインド人に叱られて二年経ってから分かったこと」にもあったのですが、ちゃんと生活すると、日々の暮らしは忙しくて、1日8時間も働く時間なんてない。私の場合、東京にいるときよりも南房総の家の方が、ちゃんと生活をするから、忙しいのかもしれないです。

3.地域の解像度があがって、距離感覚が変わった

地域に通って、知り合いが出来て、拠点が出来て…となると、だんたん地域の見え方が変わってきます。南房総でいうならば、東京からときどき遊びにいくだけのときは、「千葉の南の方」という程度の認識でした。
何度か通っていくと、南房総市、館山市、鋸南町、鴨川市…という行政区分だったり、外房と内房、山間部などの違いが際立ってみえてきます。
さらに地域内にいろいろ知り合いもできてくると、南房総市の中でも、旧7町村(富山、富浦、三芳、丸山、和田、千倉、白浜)それぞれの地域や人の特徴なんかもわかってきます。
そして今、旧富山町の、地域としては「岩井」という海側の地域だけれども、その中では山側なところに家があり、その周辺を歩いてまわったり、家の前にみえる「富山(とみさん)」に登ったりしている中で、より細かいエリア分けを意識するようになり、地域の解像度が上がってきたなと感じます。

そうなると、東京からの距離感で考えたいた時には「近い」と思っていた、白浜や館山、外房エリアが「遠く」感じるようになるのです。

日本人がヨーロッパ旅行に行くときには、フランス行ったついでにスペインやイタリアにも行ったりするのに、外国人が日本旅行で東京も京都も行くと「うわー、動くね!」と思ってしまうのと同じですね。

距離感覚が地元の人に近づくというのは、それだけ南房総暮らしに慣れてきたということでもあるので嬉しくもあり、自分の暮らす地域のことをもっと深めていきたいとは思います。
が一方で、そうはいっても、私はやはり、所詮ヨソモノであり2拠点であり、いろいろな地域に出かけていくこと自体を仕事ともしていますので、外から見た感覚やフットワークの軽さも無くしたくないなぁとは思っています。

ということで、2拠点生活3年目。今はちょっと出不精フェーズなのですが、また変わってくるだろうと思いますし、そろそろ動き始めたいなと考えている今日この頃です。

奈良織恵
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奈良織恵

奈良織恵横浜市出身、東京都港区と千葉県南房総市の2拠点生活。 両親とも東京生まれ東京育ちで、全く田舎のない状態で育ったが、父の岩手移住をきっかけに地方に通う楽しさ・豊かさに目覚める。2013年に「ココロココ」をスタートし、編集長に。 地方で面白い活動をする人を取材しつつ、自分自身も2拠点生活の中で新しいライフスタイルを模索中。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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