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開催日:2014.8.23-8.24

ローカルシフトスクールin富山 報告レポート

このイベントは終了しました

これまで、地方からゲストをお呼びして、東京でイベント開催をしてきた「ローカルシフト」。8月23日、24日の2日間、いよいよ東京を飛び出して、富山ツアーに出かけてきました。

【1日目】

■富山駅集合

今回は総勢10名でのツアーとなりました。
まずは、富山に詳しく今回のツアーをコーディネーターであるクマさんから、富山についての説明。

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今回のツアーのキーワードは、ずばり「水」であるとのこと。

海と山が近い富山では、山からの豊富な水が川を通じて富山湾に流れ込み、その豊かな水系が、人の暮らしと密接に関わっている。その「水」を十分に感じてもらえるようにと、参加者全員に、水汲み用のボトルが渡されました!

 

■石倉町の延命地蔵の水

富山の水を感じる最初のスポット。ここで、本日の飲料水をボトルに詰めます。
駅からすぐの街中に、こんな湧水スポットがあるなんて、富山の水の豊かさはすごいですね。

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我々が滞在した、ほんの10分程度の間にも、地元の方が、大きなボトルを何本も抱えて水を汲みにきており、ここの水が、暮らしに根ざしていることがわかります。

ちなみに、富山は、湧水だけではなく水道水のレベルも高く、富山市の水道水を詰めたペットボトル「とやまの水」が、国際的な品質コンクールである、モンドセレクションにおいて、2013年、2014年と2年連続で最高金賞を受賞したそうです。 本当に、水に恵まれた土地なんですね。

■お弁当を受け取り、運河沿いでお昼ごはん

続いて古い町並みの残る岩瀬にある老舗昆布・惣菜屋さんの野村商店さんへ。

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店内も素敵な雰囲気で、みんな思わずお買いもの。お願いしてあった本日のお弁当を受け取り、中島閘門へ向かいます。

中島閘門は、富山駅から富山湾を結ぶ「富岩運河」の中流で、今も使われている閘門で、国の重要文化財にしてされています。

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2対の扉の開閉によって水位の調整を行う、パナマ運河と同じ方式で、つくられた昭和初期には、工業用原料の輸送に活躍し、現在は、水位変化を体験できる観光船が1日数回通過しています。

運河沿いの芝生で、富山のめぐみの詰まったお弁当を食べたあと、しばし芝の上で休憩。

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■射水市内川へ移動

いよいよ本日の目的地、射水市内川へ。富山にUターンした明石あおいさんと会社のみなさんが、浴衣で出迎えてくれました。

あおいさんから教えてもらった、内川街さんぽのキーワードは6つ。

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・激近ミズベ
・ミルフィーユ家屋
・遭遇まつり
・おんぞはん営業中
・おさかなエンターテイメント
・ちゃっかり内川ねこ

実際に街を歩いてみると・・・

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川には普通に船が泊まっています。各船ごとに、停泊場所が決まっていて、それが街歩きの地図にも載っているのが面白い。

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確かに、ミズベが激近!柵もありません。

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川沿いの歩道に、物干しざおスペースが…パブリックとプライベートの境目が曖昧なところが面白いです。

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あおいさんと旦那さんが運営する六角堂さんにもお邪魔しました。とても素敵なカフェです!

人と人が近く、人と水が近く、たくさんの発見のある街歩きとなりました。

ひととおり歩いたあとは、ワークショップ。

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前半は内川を歩いて感じたことをみんなで出し合い、後半は、実際に富山にUターンした方、Iターンした方の暮らしについて話を聞きました。
富山での暮らしがぐっと身近になった3時間でした!

 

■浴衣に着替えて富山湾鮨&夏祭り

東京から来たメンバーも、浴衣を借りられることになり、急きょみんなで浴衣にお着替え。

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浴衣姿で、浪花鮨さんで富山湾鮨を堪能しました!
富山湾鮨とは、すべてのネタが富山湾の新鮮な魚、お米も富山県産のものと決められています。

お腹を満たしたら、夏祭りへ。

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川沿いには、子供たちの手作りの灯篭。

橋には、昼間、おじちゃんたちが頑張って取り付けていたイルミネーション。水面にライトアップが映って、美しい!

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手作り感満載なのに、しっとりとして風情のある、素敵なお祭りでした。

 

【2日目】

■里山の有機栽培農家 土遊野さんへ

2日目は、ローカルシフトVol.4でゲストとして来ていただいた、河上めぐみさんの土遊野さんへ。
富山県富山市土 という住所にある、有機栽培農家さんです。

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今回は、めぐみさんと、そのお母様である順子さんにいろいろと案内をしていただきました。

 

東京出身の順子さんは、1981年にご主人と東京からこの「土集落」に移住。めぐみさんは、そこで生まれ育ちました。他の世帯が町に出て集落からいなくなってしまう中で、棚田での有機米栽培、平飼いの養鶏、小水力発電など、里山を守り、伝える農業を続けています。

■森を見学

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まずは、土遊野さんが購入して、手入れをしている森を見学させていただきました。

里山で農業をするには水が大事。良い水を得るためには、水源となる森を、正しく手入れしていくことが大事。水源となる森すべてとなると広大過ぎてできないけれど、まずは自分たちでできるサイズでやってみる、というのが土遊野さんの考え方です。

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間伐材でツリーハウスをつくる計画も進行中だそうです。

■棚田を見学

続いて、有機栽培でお米をつくっている棚田を見学。
合鴨農法と、機械での除草の両方を導入していて、農薬・化学肥料は一切使っていません。

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「少し山を下れば平地もたくさんあります。平地の方が、草刈り・草取りをしないといけない面積も少なくて、ずっと効率的にお米づくりができます。でも、私たちはやっぱり、この里山で、棚田でやりたい―。ここの方が水源に近いから水が良いんです。だから美味しいお米ができるんです。」とめぐみさん。

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田んぼ横の水路を通る水は、澄んでいて冷たくて気持ちが良いので、畦に寝っ転がって水に手を突っ込む人もいました!

 

■平飼いの鶏舎見学&ヤギの乳しぼり

その後、鶏舎に移動して、鶏と鶏のエサづくりの現場を見学させてもらいました。

土遊野さんでは、鶏に与えるエサも輸入には頼らず、自家配合で作成しています。鶏は生まれた時期ごとに分けられた小屋で、約1000羽が、平飼いされています。

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平飼いなので、通常は小屋の中を自由に歩き回っているのですが、卵を産むときになると、せまいところを好む習性があり、手前の産卵スペースにやってくるそうです。

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運よく、ちょうど卵を産む瞬間にも遭遇できました!生まれたての卵は、ちょっと濡れていて温かい。

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順子さんの指導で、ヤギの乳搾り体験も。しぼりたての乳も温かい。

 

■里山エネルギー

「農業をするには機械も必要だし、日々の生活には車が必需品。里山で暮らすにも、エネルギーが必要なんです。」
と話すのは順子さん。そのエネルギーも、できるだけ自分たちで作ってしまおうというのが土遊野さんの考えで、高低差を活かした水力発電をして、それを畜電しています。

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「日々の生活に必要な電気は、この畜電で十分にまかなえますが、私が乗っているこの車(電気カー)の充電までとなるとギリギリで、ほかにもめぐみがパンを焼く石窯の電気なんかも入れると、これだけでは全然足りてないです。でも、0か100ではなく、できる部分だけでもやることにしているんです。」

いずれは、全部をまかなえるようにしていきたいとのこと。こうやって、自分たちでできるところをやっていくという行動が積み重なって、今の土遊野をつくってきたのだなと感じます。

 

■絶景テラスでランチ

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ひととおり案内していただいた後は、絶景テラスでランチ。

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・めぐみさんが石窯で焼いた手作りのパン
・平飼い鶏の卵かけごはん
・合カモ農法のカモ
・平飼い鶏
・ヤギのミルクからつくったカッテージチーズ
・めぐみさんのシフォンケーキ

などなど、土遊野の恵みがつまったごはんをいただきながら、語らいの時間。

最後に順子さんがおっしゃっていた、里山の暮らしで大切なものの話が印象的でした。

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「里山の暮らしに必要なものは4つあります。」

「1つは食料。食料も人間が活動するエネルギーみたいなものですからね。2つめはエネルギー。農業するにも機械がいるし、車も必需品。そのエネルギーをできるだけ自給自足にしていきたいというのが、今考えていること。3つめは水。食料をつくるにもエネルギーをつくるにも水が必要。その水を守るために、森を守るというのも今力を入れて取り組んでいることです。最後の4つめがネットワーク。やはり人とのつながり・ネットワークがとても大切です。」

今回のツアーでできた、このご縁・つながりについても、順子さん、めぐみさんともに、「せっかくつながれたので、また、年に1回とかでも良いので、いつでも来てほしい」と言ってくださり、富山にもフルサトが出来たような気持ちになれました。

 

■まとめ

「水」をキーワードにした富山ローカルシフトスクール。延命地蔵での湧水汲みから始まって、内川という町の水、土遊野さんの里山の水まで、豊かな水がつくった富山の魅力を満喫できるツアーとなりました。

 

富山のみなさま、ありがとうございました!

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奈良織恵
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奈良織恵

奈良織恵横浜市出身、東京都港区と千葉県南房総市の2拠点生活。 両親とも東京生まれ東京育ちで、全く田舎のない状態で育ったが、父の岩手移住をきっかけに地方に通う楽しさ・豊かさに目覚める。2013年に「ココロココ」をスタートし、編集長に。 地方で面白い活動をする人を取材しつつ、自分自身も2拠点生活の中で新しいライフスタイルを模索中。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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