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岩手県沿岸地域を、夏イチゴの一大産地へー求人募集ー

岩手県沿岸南部にある大船渡市、陸前高田市などが位置する気仙地域。わかめや牡蠣など海産物が豊富なことから漁業のイメージが強いこのエリアで、「イチゴづくり」を地域の新たな産業にしようと事業に取り組んでいる会社があります。その会社が、陸前高田市米崎町と大船渡市三陸町に農場を持つ株式会社リアスターファーム(以下、リアスターファーム)です。

農場内にあるハウスは土足厳禁。腰を曲げることなく作業できる高さに揃えられた畝が並び、ICTを用いた栽培施設は加温機やヒートポンプ、カーテンが自動で動き、室内の温度を調整。その装いからは、農場というより工場に近い雰囲気が感じられます。

そうした充実した設備と事業計画に基づいたイチゴの周年栽培を通して、岩手県沿岸地域のイチゴの産地化を目指しているリアスターファーム。今回の求人では、今年新たに建設された大船渡市三陸町のハウスで夏イチゴ栽培に取り組む生産スタッフを募集します。そこで、リアスターファームの事業内容や生産スタッフに求められる役割について、陸前高田市米崎町の農場に伺い、代表取締役の太田 祐樹さんにお話をお聞きしました。

岩手県沿岸部での夏イチゴの周年栽培

太田さんは新潟県小千谷市出身。新潟県内の大学院で農学博士過程を修了すると、岩手県農業研究センターへの就職を機に2014年4月、大船渡市に移住。岩手県農業研究センターの職員として、ハウスや栽培設備を用いたトマトとイチゴの長期栽培を研究し、東北で初めて沿岸部でのイチゴの周年栽培モデルを確立させました。4年の研究期間を終えると、取り壊される予定だったハウスを譲り受け、2018年4月に個人事業主として開業。「なつあかり」や「夏の輝」など、夏イチゴと呼ばれる四季成りイチゴの栽培に一本化し、自身が確立した栽培モデルを実践し続け、2019年2月にリアスターファームを設立しました。

「『あまおう』や『紅ほっぺ』、『とちおとめ』などみなさんが耳にすることの多いイチゴのほとんどは冬から春に実をつける一季成りのイチゴです。収穫時期が限られていることから、他の季節は長期間栽培することのできる夏イチゴが流通しています。しかし、夏イチゴは外国産のものがほとんど。輸送する関係上、完熟する前に収穫されていたり、傷がついてしまったり、あまり状態の良いものが出回っていません。需要はあるのに、良いイチゴがない。そこで夏イチゴの栽培に目をつけると、気仙地域の気候は夏涼しく、冬は暖かいので一年中栽培できることがわかった。ならば、と夏イチゴの周年栽培に着手しました」

研究と事業の実践を経て、この地域での夏イチゴの周年栽培モデルを確立した太田さん。現在は3棟のハウスで栽培を行い、収穫したイチゴは岩手県沿岸南部を中心とした県内の洋菓子店などに出荷。今後はさらに事業を展開し、収穫量を増やしながら、この地域を国産夏イチゴの産地にすることを目指しています。

「日本国内には、夏イチゴの産地はあまり多くありません。そのため流通量が少なく、栽培すればするほど売れる状況をつくれる可能性があると思っています。栽培モデルを地域内に広げながら、事業を展開していきたいですね」

夏イチゴの周年栽培はもともと「農家さんのために」と進めていた研究。莫大な初期費用がかかることから担い手がすぐに見つからず、「それなら自分がする」と、太田さんは自らが栽培モデルを実践することを決意しました

地域の夏イチゴ産地化を担う人材に

その想いを実現するために、これから必要になるのが夏イチゴを栽培する人を増やし、拠点を拡大していくこと。そこで、太田さんがこれまで研究、実践してきた栽培モデルや事業計画を引き継ぎながら、農場を運営する生産スタッフを募集しています。

「一人が見れる農場の面積は頑張っても1ヘクタールほど。それ以上、大きい面積で栽培しようとすると、どうしても人数が必要になります。すべての農場を自分が手を動かして運営するとなると、今ある農場が精一杯の大きさ。そうすると事業を広げていくことは難しいので、これから新たに増えていく拠点をマネジメントする人材が必要です」

生産スタッフが担当するのは夏イチゴの栽培管理や収穫作業、出荷配達のほか、施設・設備管理や農場スタッフの労務管理など。大船渡市三陸町に新設された農場の「現場リーダー」としての働きが求められています。

「夏イチゴ栽培のノウハウや設備の使い方など、覚えないといけないことはたくさんあります。もちろん重要な知識や技術はお伝えしますが、それらをただ実践して、働き続けることを目的にするのではなく『いつか自分で農場を運営したい』と意欲を持ちながら栽培に取り組む独立志向のある方に来ていただけるといいですね。それと機械を扱うことや数字と向き合うことも多いので、そういった作業に抵抗のない方だといいのかなと思います」

続けて「きっとここに来たら『農業は儲からない』というイメージも崩れると思いますよ」と太田さん。事業性のある夏イチゴ栽培を自分の生業とする人を増やし、拠点を拡大していく。今回募集する生産スタッフはその第一号として、太田さんから直接指導を受けながら事業に取り組むことができます。

木骨ハウス

生産スタッフの職場となる大船渡市三陸町に新設されたハウスは、地産の間伐材などを使用した「木骨ハウス」。熱の吸収抑制や風や雪に強い耐候性などの特徴をイチゴ栽培に活かしながら、地域の林業活性化にも寄与しています

夏イチゴをつくる仕事が、まちに賑わいを生み出す

事業計画や栽培モデルに沿ったICT施設型農業によるイチゴ栽培。リアスターファームの取り組みは、自然と向き合い、土に触れ、野菜を育てる、これまでの農業とはイメージが大きく異なります。

「自分が農業に携わっている感覚はあまりありません。上手く表現するのが難しいけど、農家ではなくて、『イチゴをつくる』仕事をしているんです」と太田さんは話します。

イチゴづくりを地域の産業へ。大きな構想を描きながら、お話する太田さんの様子からは肩の力を抜いて冷静に事業に取り組む雰囲気が伝わってきます。その心情の根底にはどんな想いがあるのでしょうか。

「単純に夜の居酒屋さんが好きなんですよ。だけど、飲みに行っても知り合いのおじさんたちばっかりで、毎日同じ顔を合わせて飲んでるのはつまらないんです(笑)。もっといろんな人がお店にいたほうが楽しい。飲み仲間を増やすには、みんなでどんどん稼いでいかないといけない。最終的に目指しているのはそこなんです。自分がここで働いて暮らしているんだから、周りのみんなも一緒に楽しく過ごせたらいいなと思うんです」

太田さんの事業は、まだまだ始まったばかり。夏イチゴの周年栽培を通して、地域での産業化を目指し、まちに賑わいを生み出す。この壮大な事業に一緒に取り組む仲間をリアスターファームは募集しています。

求人について

リアスターファームでは三陸沿岸を夏イチゴの一大産地にするため一緒に働く仲間を募集しています。
様々な働き方がありますので、ご興味をもたれたらリアスターファームのサイトからお問い合わせください。
https://www.riastarfarm.co.jp/

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ライター:宮本 拓海
1994年生まれ。岩手県奥州市出身。
2019年4月よりフリーランスライターとして活動中。
WEB:https://takumiyamoto.tumblr.com/

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