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2015年9月10日 ココロココ編集部

山陰随一の商業都市「米子」が移住先として注目される理由

鳥取県米子市。大山(だいせん)の山麓に位置し、日本海と中海を市域に擁する人口約15万のこの都市は、いま都会からの移住者の注目を集め始めている。

2010年度に「米子市移住定住相談窓口」を立ち上げ、2014年度からは自身もご主人の転勤をきっかけにIターンで定住したという中上弘恵さんを専任相談員として配置し、移住希望者の相談に応じている。米子の魅力とは何か、どんな人が移住に向いていて、実際の暮らしはどうなのか?

最も現場に近い米子市企画部課の移住定相談員中上弘恵さんに、色々とお話をうかがった。

海と山に囲まれた、歴史ある商業都市

米子市は、中国地方の北東に位置する鳥取県の西側、島根県との県境に接している。人口は約15万人で、鳥取市に次いで県内で2番目の規模だ。 DSC_7466 「もともと江戸時代ごろから商業を中心にして栄えた街でして、お城はありますが城主が不在という時期が長く、商人が主体となって作られた街です。 今でも市の中心部には古い町並みが残っていて、商都の名残も感じることができるんです。」 03 一方で、東に大山、北側に日本海、西には中海という汽水湖があり、三方それぞれに豊かな自然の風景が広がっている。 大山は標高1,729メートルで中国山地の最高峰。中海はラムサール条約に登録された野鳥の宝庫で、日本海側には皆生(かいけ)温泉という大きな温泉地もある。 まさに、街と自然の両方を楽しむことができる環境なのだ。 越冬するコハクチョウ また、古くから山陰地方の交通の要衝ということもあって、多くの列車が発着するJR「米子」駅のほか、市内から車で20分ほどの場所には米子鬼太郎空港もあり、山陰道を使えば鳥取市や松江・出雲方面への移動もスムーズ。交通アクセスの良さも米子の魅力といえる。  

太陽が大きく、水平線がどこまでもまっすぐなことに感動

愛媛県で生まれ、山口県に育ち、ご主人と結婚したのち、転勤にともなって米子に移住したという中上さん。今は移住者の先輩として日々移住希望者の相談に応じているが、移住した当時はいろいろな風景に感動したという。 朝日の写真(日本海と大山) 「実家(山口県)は盆地だったので、太陽が知らないうちに出てきて、知らないうちに沈む感じだったんです。でも米子に来たら、朝日が早くから出てくるし、夕日もとっても大きいんです。とても感動しました。最初はとにかく太陽の印象が強かったです。あと、山口県では瀬戸内海側だったので、海といえばたくさんの島がある風景でしたが、米子市だと水平線が一直線で、すごく広くて『島がない!』ってすごく感動しました。」 それから20年。米子市の一市民として溶け込み、最近では仕事のかたわら、趣味の写真で市内の色々な場所の風景を撮り集めているというそんな中上さんから見る、米子市の魅力とは何だろうか。 DSC_7516 「米子は山も海も街も、全部がすぐ近くにあって、とにかく楽しみが多い街なんです。海にも山にも1日で行って帰って来れてしまうし、江戸時代につくられた街並みが残っている地域もあります。そんな街を歩いてみると、昔から変わらない路地や建物に癒されることがあります。」  

市内を見渡す米子城跡は、市民の憩いの場所

中上さんの一番のお気に入りの場所は、市内中心部にある米子城跡の石垣の上。 米子城跡から見る桜と夕日 「ここには早朝から登って日の出を拝む人もいますし、夕日が沈むのを見に登る人もいますし、日中に体力づくりということで登る人もいます。学生さんからお年寄りまで、みんなに愛されているお城跡です。市内も遠くまで見えますし、日本海も中海も大山も、360度全部が見渡せるんですよ。すごく気持ちのいい場所です。」 その他にも、中海の水鳥公園、霧がたなびく本宮の泉、商家が並ぶ古い街並み、素朴な淀江の集落、飲み屋が並ぶ一角、そこに佇む咲(わら)い地蔵など、聞けばどんどんお薦めのスポットを紹介してくれる。それほど楽しみにあふれている街なのだろう。 DSC_8161  

すべての機能がコンパクトにまとまっている街は、子育てにもおすすめ

20年前、子育て真っ最中に米子へ移り住んできた中上さん。子育ての先輩として、米子の子育て事情、教育事情について聞いてみた。 「子育ての環境としてはすごく良いと思いますよ。自然は多いですし、保育園・幼稚園も充実していて、比較的入りやすいと思います。私は市の中心部に住んでいることもあり、学校も近かったので、子どもを通わせるのが楽でした。小学校、中学校はもちろんですけど、高校も、鳥取県西部の高校のほとんどは米子市にありますので、自転車でどこの高校にも通えます。」 中心市街地にある公園 人口の割には市街地が比較的コンパクトに収まっている米子市。大人は大抵、車をメインの移動手段にしているが、中学生や高校生はどこへ行くのにも自転車。実際、ほとんどそれで事足りてしまうということだ。 これは移住者も同じで、中心市街地に住まいと仕事を決めれば無理に最初から車を買わなくても、まずは自転車と公共交通で暮らすことができるという。こういった点も、都会からの移住者に指示されている理由のひとつなのかもしれない。  

目標を持って頑張る人には、親身な米子の人々

移住者にとって、生活環境と同じかそれ以上に気になるのが移住先での人間関係。山陰のような都会からの流入人口が少ないエリアになると、「そうは言っても閉鎖的なのでは?」と心配になってしまうものだが、その辺りの事情はどうなのだろうか。 「米子市はもともと商業で発展した都市ですから、外部の人や物事を受け入れやすい風潮があるんです。だから外から来た人に対しても、とってもフレンドリーですよ。でも、何もしなくてもあったかく迎えてくれるかと言えば、それは違うと思うんです。その場に居合わせた方々に、自分からフレンドリーな対応をしたら、相手もフレンドリーに返してくれる。それが米子市の人たちだと思います。」 「だからご本人の熱意や気持ち次第だと思うんです。仲良くなれば、つながりはとても深くて、いろんな人を紹介してくれたり、どこまでも世話を焼いてくれる、そういうところはとてもあると思います。」 通りがかりの見ず知らずの人にお節介を焼くほど、人のこころに立ち入らない。でも呼びかけられたら、頼られたら、最後まで面倒を見てくれる。それが米子人気質ということだ。

米子は夢を叶えやすい街!?

都会で事業をするには事務所を借りるにも膨大な資金が必要になってしまうが、米子市であれば家賃も安いし、周りの人々の協力も得やすい。面白いことを始めたらすぐにテレビや地元のミニコミ誌などが取材に訪れ、宣伝をしてくれるので、比較的軌道にも乗せやすいのだという。 「何かをやればすぐ目立てますから、米子は“夢を叶えやすい街”だと思います。だからお店でも農業でも、面白い事を自分で始めたい、という方は是非米子市を一度見に来てほしいです。」 米子市では、移住を考えている人のために「お試し住宅」という貸家を用意している。 DSC_7273 これは空き家を市が借り上げて、リフォームしたうえで移住希望者に最短3日、最長90日まで貸し出しているもので、家具や家電、調理器具や食器まで一通り用意されているので、あとは布団だけレンタル、もしくは持参すれば、低価格で滞在しながら、市内を見て回ったり、住居や仕事探しをすることもできる。 DSC_7271 この「お試し住宅」は市内中心部のほか、淀江などの田園地域にも用意されているので、市街地、田舎のどちらの移住ニーズにも対応できる。今回はそのうち淀江の住宅を案内して頂いたが、都会では考えられない広さの住宅が、車庫2台分とともに用意されていた。移住を考えている人はこれを利用しない手はないだろう。  

米子市を本当に好きになってくれた人に、全力で支援をしたい。

最後に中上さんに「どんな人に米子市に来てもらいたいですか?」と聞いてみた。 「しっかりと米子市のことを見て、知って、気に入っていただいて、どんな暮らしをしたいのか目標を持って来てくださる方には、私たちも全力で移住のお手伝いをさせていただきます。移住に興味がある方はぜひ一度、米子市にいらしてみてください。きっと気に入っていただいて、いい街に移住してきたなって思っていただけると思います。」 DSC_7508   ■米子市役所 電話番号:0859-23-5359 トップページURL:http://www.city.yonago.lg.jp/ 移住情報URL:http://www.city.yonago.lg.jp/iju/
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ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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