記事検索
HOME > はたらく > 小商い >
2017年3月24日 ココロココ編集部

「ローカルビジネス座談会~稼げる協力隊になる方法、教えます!~【金ケ崎町地域おこし協力隊募集タイアップ企画】」イベントレポート

2017年3月10日(金)、東京・新宿の「HAPON新宿」にて岩手県金ケ崎町が主催するイベント「ローカルビジネス座談会~稼げる協力隊になる方法、教えます!~【金ケ崎町地域おこし協力隊募集タイアップ企画】」が開催されました。
地域の資源を活かしてビジネスを起こした方や、ローカル界隈で活躍する元協力隊員、ローカルビジネスづくりに今まさに取り組む現役協力隊員など多彩なゲストを招き、地方だからこそできるビジネスや協力隊の3年間の活かし方などについて話し合われました。
また、ビジネスチャンスの眠る岩手県金ケ崎町の「TSUNAGIプロジェクト(地域おこし協力隊募集)」についてもご紹介。盛況だったイベントの様子をレポートします!

ローカルビジネスを生むためには?

イベント会場となった東京・新宿にあるコワーキングスペース「HAPON新宿」には約30名ほどの参加者が集まりました。ローカルビジネスに関心のある人、地域おこし協力隊に興味のある人、すでに協力隊の人など参加理由はさまざまな模様。

まずは参加者同士の自己紹介からイベントスタート!

参加者同士の自己紹介

 

「TSUNAGIプロジェクト(地域おこし協力隊募集)」をご紹介!

続いて、金ケ崎町総合政策課の松本浩和さんによる金ケ崎町の特徴や魅力の紹介です。金ケ崎町は、道路や鉄道などが整備されていて各所からのアクセスも良好。基幹産業の農業と自動車関連企業などが多く立地し雇用の場に恵まれていること、近年では観光開発にも力を入れているとのお話がありました。
また金ケ崎町は、飲食店が多い街で個人経営の美味しいお店が多いというお話も。県内外から自慢の料理が大集合するイベント「金ケ崎オーワングランプリ」も毎年開催されているそうです。「おわん」に入っていればなんでもOK!という自由でユニークな食イベントとのこと。美味しいものを探しに金ケ崎町を訪れてみるのも良さそうですね!

松本浩和さん
▲金ケ崎町総合政策課の松本浩和さん

続いて、金ケ崎町の地域おこし協力隊「TSUNAGIプロジェクト」について紹介がありました。「観光」「農業」「まちづくり」「女性活躍推進」の4つの分野に分かれて、文化財を守り将来につなぐ活動や、移住者と地元をつなぐ活動などを通し、様々なモノや人をつなぐ架け橋を目指してほしいそう。

「TSUNAGIプロジェクト」の一つ目の活動テーマ「まちの宝を未来につなぎ隊(観光分野)」の話では、町内の文化財、農業、工業を活用した様々な動きについて紹介。
金ケ崎町は江戸時代の風情を感じる街並みがあるのも魅力のひとつ。「旧陸軍省軍馬補充部六原支部」や武家屋敷など歴史を感じることができる建物が多くあり、こういった町内の文化財や自然、産業などの地域の資源(宝)を活用した観光やイベント、情報発信が活動のテーマになるそうです。

松本浩和さん
▲TSUNAGIプロジェクトについて紹介する松本さん

金ケ崎町観光協会会長・高杉郁也さんから、町の文化財の活用例として空き家を活用した飲食店「侍屋敷大松沢家」のお話がありました。
高杉さんがオーナーを務める「侍屋敷大松沢家」は、20年以上空き家でボロボロだった建物を改修してオープンした飲食店。今では人気の飲食店のひとつで、頻繁にイベントも開催されるスポットとなっています。改修時の写真もスライドで紹介されました。

金ケ崎町観光協会会長・高杉郁也さん
▲金ケ崎町観光協会会長・高杉郁也さん

大松沢家
▲現在の「侍屋敷大松沢家」の様子

二つ目のテーマ「茅文化を後世につなぎ隊(農業分野)」。実は、日本三大茅産地のひとつである金ケ崎町。金ケ崎町産「南部茅」は販売してみると評判も上々だそう。さらなる供給を求められているものの、それに応じるために必要なことや課題があるそうです。それらを協力隊員と一緒に解決していきたいとのこと。野菜や果樹とはまた違ったビジネスモデルとなりそうですが、全国的に見ても例の少ない分野だからこそ、チャレンジのしがいがありそうです。

三つ目のテーマ「まちと人とをつなぎ隊(まちづくり分野)」。金ケ崎町は自動車工場勤務者など県外出身者が多いのが特徴。また、町の東部と西部の交流が少なく街全体の一体感に欠けることが課題だそう。地域内のにぎわい創出や関係性づくりに協力隊と取り組んでいきたいと話がありました。
また、4つの分野の中でも一番フリーなスタイルとのことで、たとえば温泉のある西部にカピバラのいる温泉をつくり県外出身者や他地域の人を呼び込む、というユニークな案も紹介されました。

kanegasaki-3585 (1)

四つ目のテーマ「女性の夢をつなぎ隊(女性活躍推進分野)」では、女性のコミュニティの育成支援や女性の働き方、子育て等のキャリアアップ事業の実施について協力隊と取り組んでいきたいとのこと。
金ケ崎町は昨年、趣味や得意なことを生かして無理なく小さなビジネスを行う「小商い」について考えるイベントを実施。また町内には子育てサークルを立ち上げた女性や、雑貨とカフェのお店を営む三姉妹の方がいるそう。徐々に新しい動きが出てきている分野という印象を受けました。

「TSUNAGIプロジェクト」はどのテーマにおいても、様々なモノや人、地域をつなぐ架け橋になるという重要でやりがいのある仕事だと感じました。

 

続いては、ゲスト3名によるプレゼン!

最初のゲストは、北海道大樹町へUターンして地域おこし協力隊として活動中(現在2年目)の神宮司亜沙美さんです。神宮司さんは自身の得意分野に特化したことを任務として行うという「フリーミッション制」で協力隊に着任。現在は大樹町のローカルマガジンを発行するかたわら、商品開発や地元企業の情報発信も担っているそう。3年後に起業することを前提に活動をしていて、任期終了後には月15万円を稼げている状態を目指して奮闘中です。

神宮司亜沙美さん
▲大樹町地域おこし協力隊の神宮司亜沙美さん

1年目は数多くのトライを仕掛けて可能性を探る、2年目は自分の強みなどを模索しながらできることや稼げることを選択。3年目は事業をスタートさせて独立までに売り上げを伸ばしていく、という明確な目標を掲げる神宮司さん。協力隊は、自分のやりたいことを地域にどんどんアウトプットして、自分のセールスをしていくことが重要だと語る姿に、これから協力隊を控える参加者の方々は勇気づけられているようでした。

ゲスト2人目は株式会社ファーメンステーション代表の酒井里奈さんです。酒井さんは、地産地消型バイオエタノール製造、未利用資源の有効活用技術の開発を研究テーマに株式会社ファーメンステーションを設立しました。放棄された休耕田を耕し、米を育て、お米からエタノールを作り、付加価値のある新製品作りの提案をしています。

酒井里奈さん
▲株式会社ファーメンステーションの酒井里奈さん

バイオエタノールは、化粧品やアロマの材料など、様々な商品として利用できるそう。また、バイオエタノールを作る行程で発生する蒸留残さ(米もろみ粕)は、飼料として利用しているそうです。さらに都市部の人たちに米からバイオエタノールや飼料をつくる過程を見学してもらうツアーを行う奥州市の農家さんの組織「マイムマイム奥州」の活動についても紹介がありました。単なる観光ツアーではなく、地元の若い人たちが外から刺激を受けたり、交流を通して新しいコミュニティができていて、地域の人も都市部の人も新しいことを知る場になっていることがとても興味深かったです。

ゲスト3人目は、岩手県住田町にIターンして2014年4月「NPO法人wiz」設立、2015年7月「一般社団法人SUMICA」を設立して、2016年4月から岩手県住田町地域おこし協力隊に着任している植田敦代さんです。
植田さんは、地域おこし協力隊員として世田米地区の祭りや広報誌作成、イベント企画等をして地域を盛り上げています。また「NPO法人wiz」では、岩手県内外でのセミナーの開催、学生の実践型インターンシップでの企業の課題解決、地域おこし協力隊の自治体への採用支援を行い、「一般社団法人SUMICA」では、ジャンルにとらわれることなく、住田町の盛り上がりにつながる観光、文化、 雇用、交流、人的資源などを生み出す場をつくる活動を行っています。

植田敦代さん
▲住田町地域おこし協力隊の植田敦代さん。NPO法人wiz、一般社団法人SUMICAのメンバーでもあります

地域おこし協力隊は、地域の為になること、地域が困っていることを発見して行政につなぐことは当たり前のことで、自分たちが楽しむだけの独りよがりの企画ではなく、本当にそれを地域の人が必要としているのかを、しっかりと考えて行動することが重要と話す植田さん。協力隊着任前は、いわて復興応援隊や集落支援員として地域に根ざした活動をしてきた植田さんだからこその説得力のある話に、胸が熱くなりました。

地域おこし協力隊は、新しいことを始めるときは一歩を踏み出すこと、正しいことであれば多少失敗してもやり続けることが求められると教わりました。協力隊は、自分のできることを探すことができるチャンスをいただいている期間、という考えが印象的でした。

 

本音トークも飛び交った「ローカルビジネス座談会」

おまちかねの「ローカルビジネス座談会」では、一般社団法人村楽の東大史さんがファシリテーターとして登壇。東さん自身も、2011年より岡山県美作市に地域おこし協力隊として着任し、棚田再生の集落営農化や都市農村交流の企画、自然エネルギー導入など様々な案件の実用化に携わった経歴を持っています。

ファシリテーターの東大史さん
▲ファシリテーターの東大史さん

地域でビジネスにトライするにあたって協力者をどうやって募ったか?という東さんの質問には、「志を同じくする人、日々のライフスタイルを共有できる人を見つける(酒井さん)」。「何があっても最後までやる覚悟をもってやりたいことを外に伝える(神宮司さん)」、「どんな会議にも参加。地域の人と接して人間関係をつくる(植田さん)」というそれぞれのゲストらしい回答が。地域でビジネスを行うには、積極的に自らをアピールして地域の人たちと関係を育てていく重要性が共通項であると感じました。

ゲスト
▲左から、ゲストの神宮司さん、酒井さん、植田さん

ゲストから見た金ケ崎町のビジネスチャンスについて聞く場面もあり、「茅おもしろそう」「茅でエタノール」「温泉が本当にいい」など、ざっくばらんに意見が出ました。金ケ崎町を周ったこともある東さんは街の魅力について、「自然も地域資源も豊かな金ケ崎町は、様々なことにチャレンジができる可能性がある場所」だと語られました。

座談会の最後には参加者からの質問時間が設けられ、「ビジネスするにあたってどういうモチベーションが必要か?」など一歩踏み込んだ質問も多く寄せられていて、座談会は盛り上がりを見せていました。

 

金ケ崎町ゆかりの軽食とともに交流会!

イベントの最後は、参加者同士、参加者とゲスト同士が触れ合う交流会です。金ケ崎町のカフェレストランサバービアさんの「金が咲バーガー」と菓子工房ベリーマンさんの「シフォンケーキ」とともにフリートーク。

kanegasaki-3585 (21)
▲菓子工房ベリーマンの「シフォンケーキ」。町内でも大人気のシフォンケーキです。

kanegasaki-3585 (15)
▲カフェレストランサバービアの「金が咲バーガー」。今回のイベント用に1/2カットで提供されました。

交流会
▲交流会の様子

参加者同士談笑する方、ゲストの方へ積極的に質問をしている方など会場は和やかな雰囲気でした!地域おこし協力隊や地域ビジネスへの関心の高さが伺えるイベントでした。

ココロココ編集部
記事一覧へ
私が紹介しました

ココロココ編集部

ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

人と風土の
物語を編む

 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

人と風土の物語を編む