発見する楽しさがある街
さくら市に移住をする以前は宇都宮市に住んでいたという倉林さん。なんと、さくら市にある古民家を見て一目惚れして、移住を決意したそうだ。
「木造の家の雰囲気や庭がいいなって思って(移住を)決めちゃいました。主人の親戚の家がさくら市にあると聞き、見にいったのが最初のきっかけ。10年くらい人が住んでいなかったので家は荒れていましたが、手のかけがいがある楽しい家だなと思い移住を決めました。子どもが2歳の時にこちらに移住して来て、今は永住したいと思っているくらいです。」
▲笑顔が素敵な倉林さん
また、自然があり子どもが安心して遊ぶことができる環境であったことも移住の決め手の一つだったという。
「こちらはご覧の通り自然が身近にある環境なので、今では外で泥だらけになりながらいろんな虫を捕まえてきますよ(笑)その姿を見て子どもらしいなあ、楽しんでいるんだなあ、と思いました。」
自然とたくさん触れ合うことができて子育て環境が充実しているのがさくら市の魅力だと語る倉林さん。その他レトロな街並みが残る商店街、氏家図書館など見所も満載で満足しているそうだ。また、買い物に便利な立地など住環境の良さには、実際に住んでみて驚いたことだという。
「「琴平通り商店街」には、面白い店がたくさんあります。中でも昔ながらの雰囲気のある渋いマスターがいるコーヒー店はオススメです。商店街を歩くと車で通り過ぎるだけであれば気づかない、面白いお店の発見がたくさんありますよ。散歩をしたりお店の人たちと会話をしたり人とのふれあいが心地よいですね。「氏家図書館」は、大きな図書館ではないのですが、絵本がとても見やすく選びやすく配置されていますし、いつも利用しています。さくら市は、自分で発見する楽しさがある街ですね。」
テーマのある空間づくり
倉林さんは以前、都内でアパレル関係の仕事をして販売を担当していたが、当時から売るよりも創る方が好きで、空間デザインの勉強がしたくてお店の商品ディスプレイにすごく興味を持ち勉強を始めたそうだ。
「洋服やアクセサリーをどう素敵にみせようか?ゼロから考えていくのが楽しかったですね。」
アパレルの仕事の経験から物の見せ方は重要だと実感した倉林さん。仕事を続けるうちにものを作るすべての工程に携わりたい!と思うようになり、倉林さんは自分でアパレルブランド「ant」を立ち上げ、「ant atelier」というアトリエも始めた。
「洋服やアクセサリー、日常で使う小物類を作って販売しています。洋服のデザインは単純ですが、変わった生地を使ったり色や素材を組み合わせたりして既製品にはないものを作るように心がけています。」
▲「ant atelier」店内の様子
テーマを決めてそれに合った空間をデザインしたりものづくりをしたりする事が得意だという倉林さん。倉林さんが手がける洋服やアクセサリーの数々は、デッドストックの布やハギレ、革、ボタン、色などを新しいものと合わせながら作られたもの。唯一無二のデザインで魅力的なものばかりだ。
▲店内には、倉林さんの作品やセレクトされた小物が並ぶ
子どもやお母さんが自由に遊べる空間づくり
「にわのひ」「もりのひ」は倉林さんが主催する“ものづくり”イベント。“ハロウィン”や“読書の秋”など一つのテーマに沿った内容がイベントに組みこまれるのが特徴だ。イベントをどのように見せて作り上げ、楽しんでもらうかは、アパレルの空間デザインと共通項が多いと倉林さんは話す。なぜ「にわのひ」「もりのひ」を始めようと思ったのだろうか。
「せっかくさくら市に住んで庭が広い家に住んでいるのだから、子どもたちには外でいっぱい遊んで楽しんでもらいたい!お母さんたちにも楽しんでもらいたい!と思ったのがイベントを始めたきっかけですね。元々はこの古民家の庭で始めたイベントなので「にわのひ」なんですよ。この家の庭の奥が広くなっている構造なので、子どもやお母さんが自由に遊べる空間を作りたいと思いまして始めました。キャンドルづくりをしたり車をキャンバスに海の生き物の絵描き歌をしながらみんなで車にお絵かきをしたり、親子で楽しめるイベントを企画しています。」
▲「にわのひ」の様子。JR「氏家駅」駅前広場で定期的に開催している
そして倉林さんが主催するもう一つのイベント「もりのひ」は、「にわのひ」の噂を聞いた地域の人が「もっと広いところでやってみたら?」と声をかけてくれたのが開催に至るきっかけだったという。「さくら市ミュージアム勝山公園」の自然の中を会場に、 “オトナとコドモとものづくりのもり”をテーマに、年に一度開催する。会場の入場ゲートや作家ブース、案内看板などをダンボールで制作し職人の街を表現。実行委員長の倉林さんと「もりの住人」であるアーティストたちが、「森」「つくる」「自然」「親子」をテーマにワークショップやイベントを一日中開催する。勝山公園の芝生広場に、参加アーティストたちの工房を再現した「街」を段ボールでつくり、親子でものづくりを体験しながら遊べる場が提供される。
▲「もりのひ」の様子
「参加アーティストの使っている道具や作品を間近に見て触れ合うことができますよ。音楽会の開催やカフェも出店するので親子で一日中楽しむことができます!自然の中での開催なので子どもたちはいっぱい遊ぶことができますし、森や外での遊び方を学んだり、自然の生き物の勉強にもなります。」
「もりのひ」の実行委員会メンバーは、実行委員長の倉林さんと、以前からイベントを一緒に手がけていた仲間で構成される。しかしながら実行委員会メンバーは「もりのひ」のような大規模なイベントとなると経験がなかったため、市関係の各種申請書を何か所にも提出してはみたもののなかなか話を聞いてもらえず、そのまま1回目の開催となった。また、開催した場所が「さくら市ミュージアム」の芝生の広場で真夏だったため、日陰があまりなく熱中症などの心配があり、倉林さんは対応に追われたそうだ。
「とりあえずどんな形でも5年は開催しようと決め、始めたイベント。進め方を模索する毎日でしたが、自分たちのできる範囲でやってみようという想いでスタートしました。」
第1回「もりのひ」は、多くの参加者が集まり盛況だったが、真夏のイベントで出店者ブースにほとんど日陰がなく熱中症の心配があったため、2回目は場所の変更が一番の課題。出店者、参加者が安全に過ごせる場所を作ることが重要だと感じたという。
人と人とのつながりが「もりのひ」開催の活力に
そうした中、倉林さんは、さくら市主催の市民会議があることを知人から紹介された。市民会議では、さくら市で活動をしている人たち同士で話し合いや情報交換ができる。参加した倉林さんは多くのことを学んだという。
「イベントが大きくなるほど自分たちだけでの開催は難しいため、「もりのひ」を継続していくためにも公共機関や市の協力を得ることが必要だと考えていました。市民会議でみなさんがどんな風に市と協力してイベントを運営をされているのかを知ることができ、とても勉強になりました。また、地域の方とのつながりができ、相談できるようになったことも大きかったですね。少しですが、前進する事ができました。」
倉林さんとさくら市の話し合いにより、2回目の「もりのひ」は、市民活動助成金などのさくら市の後援が得られる結果になった。場所についても同じミュージアム敷地内で何度も視察をして、熱中症の心配も少ない、森を2つ使った会場での開催となった。
「さくら市で活動をしてきて、少しずつ地元の方とのつながりも出来てきてご協力を頂けるようになってきました。「にわのひ」「もりのひ」が、この街の人たちの楽しみの一つになれば嬉しいなと思います!」
地域おこし協力隊とともに目指すさくら市の魅力づくり
さくら市は現在、地域おこし協力隊を募集中だ。今後、地域のイベントなどは地域おこし協力隊と一緒になって盛り上げていく事も多いだろう。さくら市に移住をして活動をしている先輩として倉林さんにどんな人に地域おこし協力隊としてきて欲しいか聞いてみた。
「地域おこし協力隊を志す人は、その時点でとても勇気のある人だと思いますし素晴らしいことだと思います。さくら市で何かをしてみたい、何かを変えたいというポジティブな方に是非来て欲しいです。実際に街を見ていただいて、私なら何ができるか?何からはじめようか?など一緒に話をして、みんなでさくら市をより元気にしていけたら嬉しいですね。さくら市は何かをしたい!という人に手を差し伸べてくれたりバックアップを提案してくれたりする優しい街です。是非さくら市に来てみてほしいです。」
古民家に一目ぼれした時に感じた「面白そう!」を「にわのひ」「もりのひ」という形で実現している倉林さん。倉林さんのように新しい街で出会うモノ・コトを新鮮な驚きをもって見れば、その街でのアクションに繋がるのかもしれません。