家族で協力しあう桑島家の日常
桑島さんが家業の酪農業を継いだのは2011年、26歳の時でした。自宅の敷地内に牛舎があり、現在は子牛も含めて約30頭の乳牛を飼育しています。28歳で同級生の愛美さんと結婚し、長女・みのりちゃんも生まれました。1歳を過ぎたばかりでまだ手がかかるため、母親である愛美さんの体を気遣い、1日2回の牛舎の世話と搾乳は、朝9時からと夜8時過ぎから行います。
午前中の作業を終えて一段落するのが11時半頃。ここから遅めの朝食をとった後、日中は2回目の餌の準備をしたり、機械を修理したり、他から頼まれた牧草の世話仕事などを済ませます。一般的な酪農家より朝は遅めのスタートですが、1日2回が基本の搾乳で大事なことは、搾乳時間の間を空けることなので、牛への負担はないようです。
▲午前中の仕事が終わり休憩中のひとコマ。屋根上の住人と談笑中
愛美さんは金ケ崎町に隣接する奥州市の山あいの地区で生まれ育ちました。父親の農業を手伝っていたこともあり、昔から体を動かす仕事は性にあっていたといいます。「酪農は初めてのことだらけでした。」と振り返りますが、今では牛の世話から搾乳、牛舎の手入れまで何でもこなします。最近は6次産業化の波に乗り、酪農家の女性たちが手がけるジェラートの開発や販売など、地域の取り組みにも参加しています。
▲搾乳に向かう愛美さん
▲牛の下に敷く籾殻。地域のライスセンターで手に入る
3人で牛の世話をするのが日課
桑島家らしいのが、みのりちゃんを背中におぶった状態で牛舎の仕事をする光景です。この日は桑島さんがそうしていましたが、餌やりで桑島さんの体が前後に揺れるのにも、大きな牛の顔が近づくのにも、みのりちゃんはすっかり慣れている様子。お父さんの背中から牛に向かって、何やら話しかけているようでした。
▲みのりちゃんと一緒に給餌する桑島さん
▲働きながら子どもと一緒に過ごす。オフィス勤務だとなかなか難しいかもしれない
居抜き就農も可能。酪農を始めるのに整った環境がある金ケ崎町
酪農家から見た金ケ崎町について、桑島さんに伺いました。
「ちゃんと比べたことはないですが、県内でも金ケ崎は若手の酪農家が多いほうだと思います。青年部には“第3世代”と呼ばれる、家業を継いで3代目の若手が20人くらいいます。もちろん酪農家はこれ以上の数がいて、後継者がいなくて廃業する人もいますから、タイミングが合えば居抜き就農も可能だと思います。金ケ崎には山形からの入植や、開拓民の方もいて、昔から酪農に適した土地。広い牧草地もありますから、これから酪農を始めるには条件が整っていると思いますよ。」
金ケ崎町ならでは!スノボに温泉、素敵な風景が身近にある暮らし
金ケ崎町には複数の天然温泉があり、近隣にも夏油高原スキー場(北上市)があります。
実は桑島さんは20代の頃、町内の自動車工場に勤務しながらスノーボードクロスのプロを目指し、全国各地を転戦していた時期がありました。地元での練習はもっぱら夏油高原スキー場。ここは全国屈指の積雪量を誇り、5月の連休まで滑走可能なスキーヤーにもボーダーにも人気のスキー場です。桑島さんは今でも時々家族で滑りに行きますが、先日はみのりちゃんがスノーボードデビューをしたそうです。これも桑島家らしいエピソードですね。
最後に、桑島さんに金ケ崎町でおすすめのスポットを教えていただきました。
「ここから少し山のほうにいった和光という地域は、一度ドライブに行ってみることをお勧めします。あたたかい時期になると緑の牧草地がばーっと目の前に広がって、あれはちょっと別世界の景色ですね。酪農をやっていて各地の牧場に見慣れている僕らでも、あそこは北海道みたいだ(笑)って感動するくらいです。一年を通じて楽しめる景色です。」
▲和光地区の牧草地帯。冬が過ぎれば一面、緑の絨毯になる
酪農は命を相手にする厳しい仕事ではありますが、気負わずに出かけられる範囲で気分転換できるのは、金ヶ崎町という地域が持つポテンシャルかもしれません。温泉、スノボ、酪農、ピンときた方はぜひ金ケ崎町へ!
▲金ケ崎町で待ってるよー!