記事検索
HOME > はたらく > 農林漁業 >
2014年1月31日 北瀬幹哉

ineいわき農商工連携の会

農業・自然・福島体験「旬の野菜を味わうバスツアー」で継続的な都市いわきの体験交流プロジェクト実践中

 

 

農業・自然・福島体験「旬の野菜を味わうバスツアー」のはじまり

食事

「みんなでワイワイと大家族のような食卓を囲んで、採れたて野菜の食事が美味しく楽しかったです。今度は農業体験にまた来たいです。」

震災直後に始めた、地産地消復興支援「草とり土とりプロジェクト」でハーフボランティアに参加いただいた方のコメントです。震災直後に無農薬栽培をしている生木葉ファームの佐藤さんが、畑の表層土を15センチほどとると放射線量が下がることを2011(平成23)年の4月にみつけました。肥沃な表層土を取ることは、農家の方にとって一大決心です。それでも、安心安全な野菜を食べてもらいたいという思いから畑の表層土等をとるボランティアをineの会で募集しました。しかし、個人の土地のお手伝いということなので、参加者へ食事や自宅への宿泊などを提供するハーフボランティアとしていました。そのことが、結果的にはいわきでは当たり前の魅力再確認と出会いの大切さ実感につながりました。

農業体験

震災後、いつまでもボランティアという関係ではなく、いわきへ来た方が楽しんでもらえる生産者と消費者の以前の関係づくりをすすめたいという思いから、農業・自然・福島体験ツアーとしていわきへ来てもらえる仕組みづくりに震災の年の暮には切り替え、体験バスツアーがはじまりました。

林業体験

移住して住んでみて分かるPRの視点

私は、2008(平成20)年から妻の郷里であるいわき市へIターン移住しました。北海道で生まれ育ち、東京で学び、建築の設計やコンサルティングの仕事をしていましたが、省エネや環境の仕事を経験するうちに、自然の多い地方で仕事がしたくなり、移住し前職から独立しました。料理や食べることが大好きなので、移住したら絶対やりたかったのが野菜づくりです。いわきは温暖で日照率も高く冬でも雪が降らないので、ハウス栽培も含めれば年中栽培可能な土地です。ご縁で、畑つきの仕事場を得ることができました。田舎暮らしってのんびりみたいなイメージを当初は思っていましたが、そんなことはありません。農作業をやりだして年中やることがあることが分かりました。趣味の農作業ですが畑が広く全部きちんと栽培していたら時間が足りません、また、仕事場は中古住宅なので、自分でDIYでなおそうと取り組んでいましたが、仕事もバタバタとしていてとても手が回らない状況です。

塗装作業

それでももちろん、東京にいたころより健康的な毎日です。東京にいたころはストレス発散や健康維持にずいぶんお金と時間を使っていたことを実感します。いわきでは、採れたて野菜を食べて自然と向き合っていると、毎日が健康的です。だからよく東京にいたころより体系が丸くなったよねといわれますが、福島の食材がおいしいからですとPRしています。

HP

Iターン者の視点、出張で各地へ行くので相対的な視点からの発見が、住んでいるとより実感することがあります。出会った農家さんたちの風評被害をなんとか克服できないか、そこからさらに魅力をPRできないかと考えて取り組み続けているのがineの会の取り組みと情報発信です。不特定多数の一過性の情報より、こだわりのメンバーの情報を繰り返し発信し蓄積しているほうが、外から見た方の信頼性や魅力が高まるのではないかと考え始めました。美味しいものやいいものとの出会い、そして楽しんでいただける方との出会いのおかげで、事務局作業を続けていくことが楽しみです。

「つながる」体験交流の魅力!

農業体験2

2年間の試行錯誤のおかげで定期的にツアーが開催できるような連携ができ、より一層野菜の旬の時期を意識するようになりました。旬の野菜を収穫するわくわく感と、顔の見える関係で収穫した野菜の味は格別だからです。ツアーの旬野菜ランチは、こちらの想像以上の笑顔をいただくことができます。「野菜の味が濃い、甘い」などをよく聞きます。継続的に続けているうちに最近では、30~40名近い方が一度に来ていただけます。

なめこ

農商工連携のいい仲間の関係があってよかったなと思います。それが何よりも他地域にはない特色かもしれません。栽培方法にこだわり味も確かな生産者の野菜やキノコ、卵、伝統野菜があり、その素材を日常的に使いこなしているシェフがメニューを考えてくれます。

ランチ1

炭焼きや蒸し焼きなどの野菜を参加者にとっていただき、ソースやスープなどの実演、料理教室をしながらシェフが最終的にランチを仕上げていく流れができてきました。

ランチ2

みんなで参加型のランチです。野菜を切ったり焼いたりを手伝ってくれる生産者の方とのコミュニケーションも参加者の方から好評です。また、いわきの杉箸やいわき粘土の器もお土産に好評です。

集合写真1

美味しいものの記憶は大切です。おかげで、ツアーだけでなく個人的にもリピートしていただける方が増えていることがとてもうれしいです。「また、来たよ。次は何時にしましょう?」などと言われることが次への原動力になります。興味をもって来ていただける方とは、野菜の宅配やイベントへの出席、来店などにつながっています。実際に見て体験し、驚き、喜んでいただけたことで、参加いただいた方が取り組みたかったことと連携しだすみたいです。

集合写真2

地方をとことん楽しむには、そこの地場産品やサービスを人や土地と共に味わうに限ります。そのためには、旬のリズムにあわせた、「つながる」きっかけづくりも地域では必要なことだと感じています。これからもマイペースにみんなで、出会いを大切にツアーやイベントの開催、受け入れを続けていきますので、ぜひ、東北のハワイ、福島県いわき市へ遊びに来てください!

いーねいわき農商工連携の会:http://ine.main.jp/
Hagiフランス料理店:http://www.hagi-france.com/index.html
ファーム白石:https://ja-jp.facebook.com/shiraishifarm/
磐城高箸:http://iwaki-takahashi.biz/
加茂農産:http://www.ii-kamo.com/outline.html

取材先

ineいわき農商工連携の会

WEBサイト
http://ine.main.jp/

北瀬幹哉
記事一覧へ
私が紹介しました

北瀬幹哉

北瀬幹哉北海道旭川市生まれ、2008年よりいわき市へ移住。建築の設計・コンサルティング・デザイン業務を行っている。ineいわき農商工連携の会の事務局・運営を担当。自然を活かし快適な「住まいと暮らし」のデザイン実践中です。

人と風土の
物語を編む

 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

人と風土の物語を編む