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2019年11月30日 ココロココ編集部

岩手県が初開催する県単独の移住イベント!いわて-風と土の集いイベントレポート

岩手県が初開催する県単独の移住イベント!

2019年10月20日(土)、有楽町の東京交通会館にて、「いわて-風と土の集いin東京~イーハトー部の暮らしと移住の始め方~」が開催されました。このイベントは、なんと岩手県主催では初となる単独イベント。(株)ココロマチも(一社)いわて圏と受託企業としてタッグを組み、運営に関わらせていただきました。いわての風土をたっぷりと感じられた、イベントの様子をお伝えします!

会場のあるフロアに一歩踏み入れると、さっそくいわての風土を感じる光景が目に飛び込んできました。10月、岩手ではちょうど稲刈りを終えた時期ということもあって、会場入り口には稲穂も飾られており秋の匂いを感じます。受付では、いわての”訛り”が心地よい、スタッフさんが出迎えてくださいます。岩手出身の方も、そうでない方も、まるで実家に帰ったような温かさにつつまれ、皆さん自然と表情がやわらかくなっていました。会場の中もきっと楽しそうですね!さっそく中に入ってみましょう。

今回のイベントは、会場が大きく3つの構成に別れています。

1つ目は岩手の魅力をお伝えする3部構成のトークセッション」
それぞれの部ごとに、岩手の風土、移住の仕方、関わり方などのテーマがあり、自分の興味に合わせてゲストのお話を聞くことができます。

2つ目は、「自治体・支援紹介・相談エリア」
県内22市町村や13関係団体(移住、就職等)による相談ブースが出展され、来場した方ひとりひとりに、丁寧に相談サポートを行いました。岩手にUターンしたい、Iターン移住してみたい、住んでみたいけど仕事はあるの?などなど、実際の事例なども聞きながら相談にのってもらうことができます。

そして3つ目「特産品販売エリア」
いわて銀河プラザ応援女子会anecco.さん、食用ほおずきを売る早野商店さんなども参加いただきました!

その他、託児所付きカフェ「Cafe&Living Uchida」とコラボしたBookCafeおよび託児スペース。イベント会場ではスタンプラリーとアンケート回答者への抽選会が行われるなど、どんな方でも楽しんでもらえる仕組みが盛りだくさんでした。

そんな想いが込もったイベント会場は熱気にあふれ、岩手一色に!まずはトークセッションのブースから見てみましょう。なんとこのトークセッション、各回30人のお席が、予約の時点で満席。当日は20席ほど増やしましたが、どの回も大勢の人で賑わっておりました!3部構成の様子をそれぞれご紹介いたします。

[11:00~12:00]
いわての風土を学ぶ~岩手に根付いた暮らしと文化をナカとソトから深堀します~

[14:00~15:00]
いわて移住の始め方~地元コーディネーターから学ぶ岩手移住のイロハ~

[16:00~17:00]
東京からいわてに関わる方法~すぐに移住できなくても、東京で岩手に関わりたい!というアナタへ~

トークセッション①
いわての風土を学ぶ~岩手に根付いた暮らしと文化をナカとソトから深堀します~

1つ目のトークセッションの開始は、開場間もなくの11:00開始。ドアオープン!と同時に、50名弱のお客様が入ってこられました。

<ゲスト紹介>
・川島佳輔さん(アートディレクター・編集者/奥州市)
・川端元子さん(フリーランス/二戸市)
・神藤秀人さん(d design travel編集長/東京都)
<コーディネーター>
手塚さや香さん(岩手移住計画 代表・釜援隊/釜石市)

トークイベント1回目は、「いわての風土を学ぶ」をテーマに、移住の魅力や「よそもの目線」で見る岩手の魅力についてお話しいただきました。

川島さんは、奥州市で「UCHIDA」というカフェ兼託児所を営まれており、地元の南部鉄器の鉄瓶「OIGEN」とのコラボなども行われています。奥州市を始め岩手県には多くの産業や工芸品がある一方で、寡黙な職人気質の方が多いと言い、「編集・デザインでいいものを光らせる」ことを意識されているようです。セッションでは、「土地や空き家は、人づてでの紹介が一番」など、経験からの裏話も…(笑)

47都道府県それぞれにある、その土地に長く続く「個性」「らしさ」を、デザイン的観点から選びだして、観光ガイドとしてまとめている「d design travel」。編集長である神藤さんは、全国各地を各県に必ず2ヵ月は住み込みで取材することで、ちょうどよく「よそもの目線」で地域を見つめることができるのだとか。岩手県を取材した際には、「震災とデザインが繋がるのだろうか?」と悩まれたそうですが、「県民の方(特に沿岸部の方)は、震災を気にするどころか「自然とは共存が一番」と言っていて、たくましさを感じた」とおっしゃっていました。岩手県・県民を取材した著書で、「岩手には小さな光が残っている」と例えられている部分が非常に印象深く、岩手で感じる魅力を表現されていると感じました。

二戸市に移住されて半年の川端さんは、自然の中で仕事を行う「アウトドアオフィス」を実践されています。青空のもと開放感ある空間で作業することで、アイデアも出やすいんだとか…!また、移住に大切なのは「自らたのしむこと、自ら遊ぶこと」で、「好きなこと、興味のあるものには自分から顔を出しに行き、積極的にSNSでつながるのはとても大事。」とおっしゃっていました。ご自身のInstagram「にのへのおうちごはん」も要チェックです!

トークセッション
いわて移住の始め方~地元コーディネーターから学ぶ岩手移住のイロハ~

<ゲスト紹介>
・越戸浩貴さん(NPO法人高田暮舎 理事/陸前高田市)
・松田直美さん(洋野町移住定住推進員/洋野町)
・中島航さん(盛岡市地域おこし協力隊/盛岡市)
・菊池遼さん(花巻市役所定住推進課/花巻市)
<コーディネーター>
手塚さや香さん(岩手移住計画 代表・釜援隊/釜石市)

トークイベント2回目は、移住への本音を中心にお話しいただきました。

陸前高田市で民泊事業を行う越戸さんは、大学院在学中に空き家をもらったこと、そして震災がきっかけで陸前高田に来た人に対して、「街の人とじっくり話したいならお酒を飲みながら泊まっていけばいいのではないか」と思ったことをきっかけに民泊事業を始めました。現在では年間5千人の方が来てくれるようになったとのこと!地域の消えゆく伝統芸能の継承についても、無理に延命する必要もないが、「好き」でやるという気持ちは大事だと言います。そして移住したいという人のために、「様々な受皿を用意しているので、地域への入り方は気にすることなく、強気でいくべし!」とのアドバイスをいただきました。

新卒で地域おこし協力隊の移住相談としてUターンした中島さんは、「移住とは、自分のことを深く知ること」とおっしゃっていました。また、移住する人の多くは旦那さんの転勤がきっかけで、とはいえ家族にとってはとても大変なことなので、旦那さんだけでなく奥さんの意見もしっかり受け止めてサポートしていきたいと言います。現在は「盛岡という星で」というプロモーションも実施中です。

菊池さんからは、花巻市の魅力と、雪国の暮らしでの大変さについてお伺いしました。花巻市には移住制度やシニア大学など住む人にとって優しい制度がたくさんあります。市民ライターもいる情報サイト「まきまき花巻」を見て花巻市に来てくださる方も増えているそうです。冬の寒さや雪国ならではの悩みや大変さもありますが、街に余白があるので、新しい試みにも挑戦しやすいという、人の温かみもあるのが最大の魅力です。また、ふるさとワーキングホリデーも実施しているとのことです。

松田さんは、自身が移住を決断した時に感じた「情報収集の大変さ」という壁をなくすため、「ここ住むひろの」というWebサイトやブログの運営、体験住宅などの実施を行っています。洋野町は少しの移動で美しい海があり、観光気分にもなれるという、非日常を味わえる魅力があるそうです。自然の豊富さを気軽に感じられるのは魅力的ですね!

ゲストの皆さんが共通しておっしゃっていたのは、「移住はあくまで選択肢の一つ」であるということ。ただし、移住したいとなれば、様々な受皿を用意して歓迎・サポートする。なぜなら、まちにない『資源』を持つ人を受け入れることで、まちの活性化へもつながるからだそうです。「自分には地方に行っても活かせるスキルもないし、活躍しているゲストみたいに、何か特徴があるわけでもない…。」そんな風に思っていた方でも、移住先には足りなコト・モノや余白が沢山あって、街からは思いがけないところから必要とされたりするようですね!私たちも気軽に現地に足を運んで、気に入ったら住んで、気付いたら定住していた…ぐらいの気持ちで関わり初めてもよいのかもしれません。

トークセッション③
東京からいわてに関わる方法~すぐに移住できなくても、東京で岩手に関わりたい!というアナタへ~

<ゲスト紹介>
・山田裕己さん(赤坂さんさ)
・佐々木真琴さん(きっかけ食堂)
・小田舞子さん(いわて銀河プラザ応援女子会anecco.)
<コーディネーター>
 佐野利恵さん(一般社団法人いわて圏/盛岡⇆東京)

トークイベント3回目は、東京で働きながら岩手のために活動することについて、モチベーション維持や「災害」についてのお話を伺いました。

「赤坂さんさ」で太鼓を担当している山田さんは、岩手県紫波町の出身で、現在は東京でサラリーマンをされています。2013年に復興支援ボランティアとして始めた活動で、現在は月に1回、毎年8月に盛岡市で開催されるお祭り、「盛岡さんさ」にむけて、スカイツリーのもとで練習をされているそう。「さんさが好き」というだけで、色んな地域・立場の人が集まるということが面白く、刺激があると言います。年会費数千円で参加できるそうなので、一度練習に顔を出してみるのもいいかもしれません。

「きっかけ食堂」の佐々木さんのモチベーションはただ一つ、「地元が好きすぎる!」。「日本一楽しく東北と関わるきっかけをつくる」をテーマに、東北のうまいもんを提供する食堂を、毎月11日に行っています。顔の見える関係性や、生産者の想いを伝えることを大事にしているため、だんだんと「復興」から「魅力を伝える」ことにシフトチェンジを行っているところだといいます。

小田さんは、東京の出版社に勤めながら、「いわて銀河プラザ」を拠点に、「anecco通信」というフリーペーパー発行や「aneccoデー」、ピクニックなどを行っています。会社では学べないことや、自分の気持ちものせて記事を書けることなどが、モチベーションの維持につながっているとお話をいただきました。本日も特産品販売エリアで出展いただいていますね!

やはり避けては通れないのは「災害」についてですが、東京にいながらも常に故郷を想い、メンバー同士で心配し合ったり、被災された方には、自分たちの活動やイベントをまた復興のために行い、力を集めているそうで、何度も立ち上がる打たれ強さ、そして深い郷土愛を感じました。

 

3部構成のトークセッション。各回参加された方からは、「まだ漠然と移住を考えていたけれど、岩手へ移住することに興味をもった。」、「実際の暮らし方やリアルな声が聞けてよかった。」「東京からも関わる方法があると知って、今度参加してみたいと思った。」などの声が挙がっておりました。実際に暮らしている方や、自分のロールモデルになるような方のお話を直接聞けるのは、このようなイベントならではですね!

22自治体が集結!『自治体エリア・支援紹介・相談エリア

次にご紹介するのは、岩手県内22自治体と、13の関連団体が集まる『移住相談コーナー』です。岩手県への移住を検討中の方はもちろん、移住先や就職先を探している方、のびのびと子育てをしたい方、自分らしいライフスタイルを送りたい方などが 県内の情報を聞いたり、仕事や住まいの相談したりしていました!

 相談ブースの皆さんは岩手県民らしい温かく優しい雰囲気で、「そこまで移住について考えられていないけど、とりあえず話を聞いみようかな。」という方でも気軽に安心してお話できていました。人柄からもいわての風土が伝わるのは凄いですね!

【参加自治体】 盛岡市/雫石町/葛巻町/岩手町/紫波町/花巻市/遠野市/北上市/奥州市/一関市/大船渡市/陸前高田市/釜石市/宮古市/山田町/岩泉町/洋野町/野田村/二戸市/軽米町/九戸村/一戸町(順不同)

【参加関係団体】岩手県/岩手労働局・ハローワーク/ふるさといわて定住財団/いわてU・Iターンサポートデスク/いわて暮らしサポートセンター/岩手県U・Iターンセンター/岩手県商工労働観光部経営支援課(起業・創業)/岩手県農業公社(就農)/いわて林業アカデミー/いわて水産アカデミー/盛岡広域振興局/県南広域振興局/沿岸広域振興局/県北広域振興局(順不同)

いわての魅力がギュッと詰まった「特産品販売エリア」

特産品販売エリアでは、トークセッションでもお話いただいた、いわて銀河プラザ応援女子会anecco.さん、食用ほおずきなどで有名な早野商店さんが出店されていました。花より団子ではないですが、岩手の食べ物や商品を、お話を聞きながら直接見て、触れて、味わうことで、魅力も伝わってきます。

BookCafeおよび託児スペース。さらに楽しい仕掛けも!

会場内では、老若男女、さまざまな方が楽しめる仕掛けが盛りだくさん!託児所付きカフェ「Cafe&Living Uchida」とコラボしたBookCafeおよび託児スペースでは、岩手県の名産品「南部鉄器」のぬり絵ワークショップを行い、小さなお子さんから大人まで、楽しく過ごしていました。お子さん連れのご家族などは、子どもを預けながら、相談ブースでゆっくり相談やお話を聞くことができて、非常に喜ばれておりました。



淹れたてのコーヒーと、美味しいスコーンを片手に、ブックカフェコーナーで岩手県内の情報誌やフリーペーパーをゆっくり読んでいる方もおりました。岩手らしく、ゆったりとした雰囲気で落ち着いて情報を調べられるのも嬉しい仕掛けですね!


岩手県のイメージキャラクターわんこきょうだいの”そばっち”も登場!「人を幸せにする」=「人をもてなす」。いわてで人をもてなす象徴といわれる「わんこそば」。そして、国内漆生産量日本一を誇るいわての漆を使った、「漆器」。この2つをかけあわせたメインキャラクターが「そばっち」なんだそうです。めんこい(岩手の方言で”かわいい”)ですね~!


スタンプラリーでの景品も豪華!県内各地の名産品がズラリと並んでおりました。もれなく貰える景品もあって、家に帰ってもお土産として思い返せるのは嬉しいですね!

いわての食材で交流会!

そして最後は参加者、出展者がそろって交流会!最後までいわてをたっぷり感じられるイベントとなりました。今回のイベントの他にも、岩手のイベントはまだまだ続く予定です。今後の岩手関連のイベントからも目が離せませんね。次回のイベント開催もお楽しみに!

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ココロココ編集部

ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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