1日目はまず、江刺区の里山で加工用トマト「すずこま」やきゅうり等を栽培している伊藤周治さんのご自宅へ。伊藤さんが商品開発されたトマト味噌ラーメンを頂きながら、伊藤さんが「すずこま」の栽培をするに至った経緯や、トマト味噌ラーメンができるまでのお話をお聞きしました。
昼食後には伊藤さんのハウスにてきゅうりとトマトの収穫体験。農作物の収穫を初めて体験する参加者はもちろん、みずみずしいきゅうりや真っ赤なトマトを、同行していた市の担当者、取材班も総出でわいわい楽しく収穫させて頂きました。
県内でも有数の産直江刺ふるさと市場を見学後、田んぼアートの仕掛け人である森岡さんとともに水沢区常盤地区にある田んぼアートを見下ろすやぐらへ。もともと田んぼアートが始まる以前、このやぐらはうまく活用されておらず、非行現場や溜まり場となっていたことが地域でも問題視されていたそうです。その後、農業や稲作に、今までにない利用方法を求めて始まった田んぼアートが、地元客や観光客を集めるようになり、今では常盤地区の観光名所として台頭するまでになりました。
田んぼをあとにし、岩手銘醸、前沢牛のオガタとともに、オール前沢の日本酒作りに取り組んでいるデジアイズへ。POSレジ等の製造会社であった同社が、生ごみ処理機の開発をきっかけに米作りを始め、日本酒の製造、販売に至るまでのお話をお聞きしました。合鴨農法の採用、産直市場の運営など、「精密機器の製造会社」という枠組みに捉われない業務展開をしている同社の取り組みは全国メディアでもピックアップされており、今後も注目を集めそうです。
この日最後の現場は、昨年度、市から「食の黄金店」として認定を受けたパイオニア牧場です。パイオニア牧場は100%奥州市産の牛肉を、伝統工芸・南部鉄器の鉄板で焼いて食べるという、奥州市ならではを感じられるお店。隣接している菊地牧場で肥育中の牛を見学後、副市長、地域6次産業化推進チーム員の面々と交流を深めながら、菊地さんが手塩にかけて育てたおいしいお肉を頂きました。
盛沢山の内容だった現地説明会1日目。農業を続けるために、それぞれの分野でチャレンジする農業者や仕掛け人のお話を聞くことができ、参加者にとっても、私たち編集部にとっても貴重な機会となりました。
現地説明会2日目は奥州市前沢区の酒造会社岩手銘醸の見学からスタートしました。地域6次産業化ビジョン推進チーム員の及川順彦社長による案内でこれまでの歴史と酒造の工程を学びます。若い人の意見を多く取り入れ自由な発想でチャレンジさせている岩手銘醸。前沢の企業3社が連携し製造した清酒「奥州光一代」をはじめとした取り組みは地域6次産業化の先進事例として注目を浴びています。
酒蔵を見学すに入るとまず目に飛び込んで来たのは、縦横2mくらいの大きな樽。この大きな樽で清酒の原料である米を蒸すそう。麹を発酵させる酵母室は温度と湿度が一定に保たれ、麹に布団をかけて発酵させます。麹造りは昼夜問わず2時間おきに温度管理をしなければならず、この時期杜氏は酒蔵に泊まり込みで作業をします。
その後、胆沢区のライスセンターにて胆沢の農業の中心的存在、佐々木富士夫さんにお話を伺いました。佐々木さんはお米の他に、小麦やジャガイモの契約栽培をされています。
この日はジャガイモの収穫シーズン直前。収穫に使うのは、タイヤの大きさが成人女性の身長くらいある大きなトラクター。後ろに牽引されているのは、ジャガイモを掘り、同時に選別するための機械、ポテトハーベスタ。アメリカンな空気すら感じるサイズ、想像を超える大きさに一同衝撃を受けました。
14haの農地でジャガイモを栽培する佐々木さん。大規模な農業は1人では実現できません。仲間と共に仕事を作り、この地に雇用を増やしていく事が佐々木さんの目標です。
隣接する産直あじさいの立ち上げにも関わった佐々木さん。いまや地元のお母さん達の生きがいになっているあじさいは現在、約70名が運営に関わっています。
「やるなら楽しく。失敗を恐れずに」、という有言実行の佐々木さんから出る言葉が胸に響きました!
今回の現地説明会、締めくくりは胆沢の農家レストランまだ来すたにて昼食です。胆沢産の食材にこだわる「まだ来すた」。「まだ来すた」とはこの地方の方言で「また来ましたよ〜」の意味。お客さんが何度も足を運んでくれるお店にしたいと付けられました。
魅力的な地域資源を存分に体験した2日間。地域おこしは、地域を「知る」から。地元に住む私たちも新しい発見が数多くありました。