夏のスキー場に人を呼ぶには。決してあきらめない、夏油高原スキー場の挑戦―北上市地域おこし協力隊募集

 
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募集終了

岩手県にある夏油(げとう)高原は、全国屈指の積雪量と雪質を誇るスキー場です。この数年はインバウンドにも力を入れ、冬季入場者数は約12万人。一方で、夏季入場者数は2万人に留まっており、この利用者数を増やすことが目下の課題です。

夏のスキー場に人を呼ぶには。これはどのスキー場にも共通する課題ですが、夏油高原スキー場の村松支配人は「冬以上に“夏油ならでは”を追求したい」と、挑戦と失敗を繰り返しながら、粘り強くその答えを模索しています。

スキー場を管轄する北上市も、側面支援として地域おこし協力隊制度を活用し、この「答え」をともに探る人材を募集しています。期待されているのは施設運営のプロではなく、企画力と行動力。見方を変えれば未利用資源ともいえる、夏のスキー場。どんな可能性が考えられるでしょうか。村松支配人と北上市職員の金子さん、工藤さんにもお話を聞きました。

桜とスキーが同時に楽しめる北上市

夏油高原スキー場がある北上市は、岩手県の内陸・中央部に位置する、人口約9万人の地方都市です。東北新幹線や国道など主要な交通網が東西南北に走り、岩手はもとより東北でも流通の要。この立地を活かし、企業誘致にも力を入れているため、大手メーカーの工場も数多くあります。

観光名所である「展勝地」は、弘前公園(青森県)や角館(秋田県)と並ぶみちのく三大・桜の名所として知られています。約150種類の桜が、敷地内の公園と北上川沿い約2㎞にわたって咲き乱れるその様子は圧巻。花見の季節になると、国内外から大勢の観光客でにぎわいます。

夏油高原スキー場は、東北新幹線も停車する北上駅から無料シャトルバスで約50分の場所にあり、5月のゴールデンウィークまで営業しています。岩手県内の桜は4月下旬から咲き始めるので、年によっては満開の桜と春スキーを同時に楽しむことができます。

桜並木の向こうに見えるスキー場

グリーンシーズンの営業に活路を見出す!夏油高原スキー場の今

夏油高原スキー場は1993年に開業。当時は、自治体と民間企業によって出資された企業、いわゆる第三セクターの運営でした。その後、経営難を理由に経営母体は変わり、2013年には株式会社北日本リゾート(以下、北日本リゾート)が引き継いで現在に至ります。

北上市は、スキー場の土地(国有林)を国から借りていますが、施設については所有者であるため、商業観光課が夏油高原スキー場を管轄しています。北日本リゾートは北上市から施設運営を委託されている立場で、両者は協力体制にあります。

空撮で臨む夏油高原スキー場

空撮で臨む夏油高原スキー場

二度の経営母体変更にみまわれた夏油高原ですが、スキー場としては恵まれた自然環境にあり、積雪量は全国でもトップクラス。北海道を上回ることもあります。

この特徴を最大限活かすため、4年前からは「豪雪」をキャッチコピーに掲げ、オーストラリアで行われる世界最大級のウインタースポーツEXPOに出展。さらに台湾でも営業活動を行うなど、インバウンドにも取り組んだ結果、毎年約6,500人の外国人が、“豪雪”を求めて夏油高原を訪れるようになりました。

スキー

雪のないグリーンシーズンの営業にも力を入れており、施設を開放。春には木工品やガラス細工などの雑貨販売「夏油手しごと市」が開かれ、夏には屋外バーベキュー、秋にはゴンドラから紅葉を眺められる「紅葉まつり」など、一年を通じて大小さまざまな催し物を行っています。

夏油高原

グリーンシーズンの夏油高原

夏油手しごと市の様子

これらはどのような運営体制で行われているのでしょうか。そして直面する課題とは。夏油高原スキー場を運営する、北日本リゾート社員でスキー場支配人を務める村松さんにお話を伺いました。

夏油高原スキー場支配人・村松さん

村松支配人:「イベント企画はできるだけ自分たちで考えて実施しています。豪雪プロモーションも、代理店を通して宣伝するということはほとんどないですし、台湾での営業も、台湾出身のスタッフが現地で営業をかけています。グリーンシーズンのイベントは、実行委員会の方や、北上市、関連団体と協力して進めています。

イベント以外では、夏は団体合宿を受け入れています。ラグビーなどスポーツ合宿にも利用されていますが、吹奏楽部の練習にも好評なんですよ。天井が高くて広いホールや食堂、近隣に何もないゲレンデなら、夜でも気兼ねせずに音が出せますからね。

ただ、部屋数を考えると、年間でこれ以上の団体利用を増やすことは厳しい。現在はグリーンシーズンだけで2万人の来場者数がありますが、これを2倍、3倍に伸ばしていきたい。そのために次の一手を打ちたいところですが、アイディアも人手も不足しているというのが現状です。」

天井の高い食堂は吹奏楽部の練習にも活用される

スキー場の冬季営業は天候に左右されるので、仮に11月から5月上旬まで雪がしっかり積もっていたとしても、営業期間は1年のうち半分。雪不足でオープンが遅れれば、その分のダメージは決して小さくないのがスキー場経営です。経営基盤を少しでも安定させるには、グリーンシーズンにおける持続可能なイベント企画や事業が望まれています。

北上市が人材不足解消に支援

村松支配人が悩む人材不足について、北上市は地域おこし協力隊制度を活用し、北日本リゾートを拠点に活動する「夏油高原観光コンテンツプランナー」を募集しています。

グリーンシーズンを中心に年間で夏油高原にお客様を呼べる、高い企画力と行動力が必要ですが、北上市とも北日本リゾートとも雇用関係のない、個人事業主として仕事を任されることになるので、比較的自由度が高いのが魅力です。期間は最大3年間ですが、その後も北日本リゾートのビジネスパートナーとして仕事を継続できる可能性もあります。

採用窓口である、北上市都市プロモーション課・金子さん、担当先の商業観光課・工藤さんに、着任後のイメージや、期待することについて話を聞きました。

都市プロモーション課・金子さん

金子さん:「最近、夏油エリアにはアウトドアアクティビティが増えてきました。キャンプ場やSUP(Stand Up Panel)ができるダム湖など、それぞれ、その道のプロがオープンしたものです。それに、スキー場に向かうふもとに、地元産の蕎麦粉を使った蕎麦屋もできました。評判も上々で私も行きますが、美味しいんですよ。

他県の事例ですが、スキー場施設を活用するためにイベント企画会社が設立されたケースもあります。夏油も、アウトドア、温泉、食など、エリア一体で考えると企画や事業の可能性が広がるかもしれません。」

古民家を改装してオープンしたカフェ・kobiruの店内

商業観光課・工藤さん

工藤さん:「着任される方には定期的な活動報告をお願いしますが、仕事の席は夏油高原スキー場内の北日本リゾートさんと同じところに用意します。最初は村松さんたちを手伝いながら動いて、今後の企画立案に役立ててほしいです。いざ企画が実行される際には、市としても様々な面で協力します。

夏油エリアは自然が素晴らしいんです。若い方や家族連れに、もっと夏油エリアを楽しんでもらえるイベントがあるといいのではないかと思います。親子で行きたくなるような、お子さんものびのびと遊べるような、そんな内容もいいですよね。」

夏油らしさとは何か。模索しながらもグリーンシーズンの収益増に挑戦していく

北上市には、地域おこし協力隊を卒業した後、起業し、地元密着の事業を展開するOBがいます。夏油エリアにオープンした古民家カフェ「kobiru(こびる)」も同じく、OBが任期中から改装を手がけたもの。

このように、地域おこし協力隊を卒業した後も地域に残って独立・開業、という流れは身近に事例があるため、OBに相談することもできます。日常的に活動をともにするのが100%民間の北日本リゾートスタッフの皆さんというのも、一般的な地域おこし協力隊とは異なる環境と言えるでしょう。

最後に、着任すればもっともよく顔を合わせる村松支配人に、応募を考えている方にメッセージをいただきました。

村松支配人:「グリーンシーズンの収益化については過去にもいろいろとチャレンジしてきましたから、難しい課題であることは自分たちもよく分かっています。それでも夏油らしいグリーンシーズンの活用とはどういうことなのか、これからも考えてやっていきたい。決してまかせっぱなしにすることはありません。一緒に走りながら、やっていきましょう。そして自分たちにはない新しい風をここに吹かせてほしい。ご応募をお待ちしています。」

晴天のゲレンデにて、左から工藤さん、村松支配人、金子さん

 

応募概要―北上市地域おこし協力隊(夏油高原観光コンテンツプランナー)―

主な活動内容

夏油高原スキー場(㈱北日本リゾート)が受入れ団体となり、現在あるもののブラッシュアップや新たな観光コンテンツを開発し、一年を通じた誘客促進に関わる次の活動

①受入れ団体や地域住民等と協力し、夏油高原エリアでの各種イベント等への参画を通して、新コンテンツに係る調査や計画
②新たな観光コンテンツを開発し、事業企画の上、実施
③企画実施を通して受入れ団体や地域へ誘客や交流を促進

<委嘱期間終了後のイメージ>

・観光コンテンツをビジネス事業として確立し、その分野での起業
・(株)北日本リゾートへの就職

募集対象

(1)年齢が概ね20代から40代の方(性別は問いません)
(2)現在、三大都市圏又は地方都市等(過疎、山村、離島、半島等の地域に該当しない市町村)に居住し、委嘱後に住民票を北上市に異動し、居住できる方
(3)普通自動車運転免許を取得している方(自家用車両を所有している方歓迎)
(4)パソコンを日常的に使用している方(基本的なパソコン操作ができる方)
(5)下記いずれかの経験者大歓迎
・アウトドア関連の知識が豊富な方
・観光・旅行業務の経験を有する方
・英語・中国語等語学に堪能な方
・商品開発経験を有する方
・マーケティング、イベント企画等の経験を有する方

募集人数

1名

活動拠点

夏油高原スキー場(岩手県北上市岩崎新田内)

勤務時間

月20日 1日8時間程度
休日・休暇は受入れ団体の取り扱いに準じる

雇用形態


※隊員と受入れ団体との円滑な連携や、隊員の自立に向けた自主的な活動を推進するため、隊員と市の間で雇用契約を結ばない

活動形態・期間

(1)北上市から北上市地域おこし協力隊隊員として委嘱
(2)令和2年4月以降の委嘱開始とし、通算3カ年の活動を予定。委嘱開始日は、事情に合わせて相談可能

報酬

・月額200,000円を報償費として支払う
※月の勤務日が20日未満となった場合は、活動日数に日額10,000円を乗じた金額

待遇等

(1)次の活動経費について、市と隊員が協議の上、予算の範囲内で補助

・市内での住居借上げ費用(光熱水費等は対象外)
・活動に必要な自動車やパソコン等の借上げ費用
・活動車両の燃料費
・活動に要する消耗品費
・活動にかかるイベント経費等
・活動にかかる旅費
・研修参加費及び旅費
・その他市長が必要と認める経費

(2)委嘱期間終了日の前後1年間において、北上市内での起業に係る経費を上限100万円の範囲内で補助

応募方法

(1)応募前に現地説明会に参加
(2)本エントリー(エントリーシートを提出)
(3)書類審査(一次選考)
(4)面接審査(最終選考)

応募スケジュール

下記サイトをご覧ください
https://www.city.kitakami.iwate.jp/life/kitakamishidekurasu/iju_teijukanrenjoho/15411.html

応募・問い合わせ先

〒024-8501 岩手県北上市芳町1-1 本庁舎2階
北上市 都市プロモーション課 都市ブランド戦略係
TEL 0197-72-8308
E-mail promo@city.kitakami.iwate.jp

 

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関連情報

北上市地域おこし協力隊(2019年度募集特設サイト)
https://kitakami-localproject.biz/

岩手移住計画

岩手移住計画iwate-ijukeikaku

岩手移住計画は、岩手にUターン・Iターンした人たちの暮らしをもっと楽しくするお手伝いをし、定住につなげていくために活動している任意団体です。県内各地で、「岩手移住(IJU)者交流会」と題したイベントを開催しているほか、岩手県などが主催するUIターンイベントにメンバーが参加し、移住希望者の相談にも対応しています。首都圏と岩手をつなぐ活動にも力を入れています。

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