【日立市】美しい海岸線が続く近代鉱工業発祥の地
▲海岸沿いに連なる緑の松林と白い砂浜が美しい「伊師浜海水浴場」
「海水浴場百選」に選ばれた「伊師浜海水浴場」をはじめ、6カ所の海水浴場と漁港を持つ日立市。穏やかな波と遠浅の海辺で海水浴を楽しめる「川尻海水浴場」やサーファーに人気の「河原子海水浴場」など、それぞれに特徴があり、海開きのシーズンには子どもから大人まで多くの方が日立市の海を楽しんでいるようです。
また、明治時代から、鉱工業・電機関連製品の生産を中心として発展してきた「ものづくりのまち」でもあり、日立鉱山の跡地に建てられた「日鉱記念館」では、鉱工業時代の変遷を知ることができます。日立製作所の創業者、小平浪平の足跡を伝える「小平記念館」には、小平氏の遺品や製作所の歴史を追ったパネル、創業当時を再現した「創業小屋」が展示されており、時代を超えたものづくりへの想いを感じさせてくれます。
【常陸太田市】知る人ぞ知る、常陸秋そばの里
▲坂の街としても有名な鯨ケ丘にある「鯨ケ丘商店街」
9月頃には、可憐な白いそばの花があちこちに咲き乱れる県北内陸部の常陸太田市。南北40kmと茨城県最大の面積を誇り、北部には阿武隈山系の山々が、南部には田園風景が広がる優美な里山です。山地特有の寒暖差と、水はけの良い傾斜地で育まれた「常陸秋そば」の発祥地として全国的に知られ、市オリジナル品種のぶどう「常陸青龍」や梨、リンゴ、米など、多様な農産物が生産されています。
他にも「奥久慈県立自然公園」内にあり、歩行者専用の橋としては日本最大級の長さを誇る「竜神大吊橋」や、阿武隈山系の山並みと那須連峰を望む「里美カントリー牧場」など、散策を楽しめるスポットが充実しています。中でも、レトロな街並みが残る旧市街地の「鯨ケ丘商店街」には、名物のくじら焼きがあり、頬張りながら散策するとより素敵な時間になりそうです。
【高萩市】山と川が織りなす渓谷の里
▲心地よい「花貫渓谷」の緑
東に太平洋、西に阿武隈山系の多賀山地が広がる高萩市。市の85%を占める山間部に花貫川と関根川が流れ、変化に富んだ風景が作り出されています。中でも「花貫渓谷」には大小さまざまな滝や淵が連なり、秋には渓谷内にある「汐見滝吊り橋」沿いに、鮮やかな紅葉のトンネルが出現。天気の良い日には、土岳山頂の展望台から富士山が望め、関東の「富士見百景」の一つに数えられています。
江戸時代中期に建てられた豪農の住宅、「穂積家住宅」は、貴重な文化遺産。歴史好きは必見!茅葺屋根の主屋や100坪の庭園は、江戸時代に描かれた屋敷絵図とほぼ同じ姿を留めており、現在は映画やテレビのロケにも使用され、紅葉の季節には、レストラン「萩の茶屋」が期間限定でオープン。築240年の古民家で地元産常陸牛を味わえると人気です。
市は明治時代から炭鉱の町として栄え、炭鉱産業の衰退後は木材・パルプ加工業が発展しました。松久保・手綱等の工業団地へ多くの企業が進出し、産業都市としての一面を持ち合わせています。
【北茨城市】“天心が想い 大観が描き 雨情が詠んだ”ふるさと
▲地域全体が盛り上がる「常陸大津の御船祭」
「日本の渚100選」に選ばれている北茨城市の景勝地、「五浦海岸」。大小5つの入り江と、高さ50mの断崖絶壁が連なる雄大な景色は「関東の松島」とも称されています。五浦地区は、近代日本美術の発展を支えた岡倉天心や横山大観が活動拠点とした歴史的な地で、「六角堂」や「日本美術院跡地」をはじめ、当時を偲ばせる史跡が点在しています。磯原地区には、日本を代表する童謡詩人、野口雨情の生家や記念館もあります。偉人たちの足跡を辿りつつ、雄大な景色を楽しめます。
大津漁港周辺で5年に一度開催される「常陸大津の御船祭」も、見どころの一つ。御輿を乗せた巨大な神船がお囃子に合わせて町中を練り歩く圧巻のお祭りで、国の無形民俗文化財に指定されています。いつもは地元に帰ってこない人も、この祭りには帰ってくるという、地域の人々の心が一つになる大切な祭りです。
【常陸大宮市】自然と伝統に育まれた独自の風土
▲地元の人々で復活した「西塩子の回り舞台」
県内では常陸太田市に次ぐ広大な面積を有する常陸大宮市。市の6割を占める山林では林業やシイタケ栽培が盛んで、東の久慈川では鮎、南の那珂川は鮭の遡上を見ることができます。川の流れに沿って、「奥久慈県立自然公園」や「御前山県立自然公園」が広がり、野鳥や植物を観察しながら森林浴が楽しめる癒しの空間が広がっています。
1997年には、江戸時代後期に作られた日本最古の組み立て式農村歌舞伎舞台、「西塩子の回り舞台」が、地元住民たちの手で半世紀ぶりに復活しました。舞台を組み立てた経験者が誰もいない状態からの復活は、ほとんど不可能だと言われていたようですが、多くの地域の人々が協力したことで復活。この活動を通して地域内での交流が生まれ、地域全体の活性化にもつながっています。現在は3年に1度、組み立て地芝居公演を開催しており、市内外から数千人もの観客が訪れています。
【大子町】四季折々に訪れたい“四度の地”
▲壮大な「袋田の滝」でリフレッシュ!
日本三名瀑の1つ、高さ120m・幅73mの「袋田の滝」は、新芽が芽吹く春から、涼感の心地よい夏、艶やかな紅葉に彩られる秋、そして幻想的な氷の空間が出現する冬まで、年間を通して多くの観光客が訪れる大子町の名所です。その美しさに感嘆した西行法師は、「四季に一度ずつ来て観なければ、真の風趣は極められない」と季節毎に足を運んだといいます。日帰りでも楽しめるので、リフレッシュの場としておすすめです。
県内随一の「奥久慈温泉郷」では、渓流のせせらぎのなかで、平安時代から湧き出ている源泉かけ流し温泉を堪能できます。また、約400年の歴史を持つ「奥久慈茶」、地鶏ブランド「奥久慈しゃも」など、豊かな自然環境で育まれた味覚も絶品です。
様々なプロジェクトが進行中!一緒に楽しみませんか?
茨城県北地域では、2011年の常陸太田市を皮切りに「地域おこし協力隊」の募集が始まり、現在20名ほどの若者たちが、地元住民と協力しながら、空き家を活用したコミュニティスペースの運営や、自然の恵みを活かした商品開発、地元企業と連携した事業の立ち上げなど、多彩な“まちづくり”に挑戦中です。
2015年から6市町への移住希望者に住まいを貸し出す「お試し居住」制度もスタート。期間は最長3か月、光熱費以外の居住利用料は無料で、地域情報の提供から、住まい・仕事探しまで、各市町の担当者が全面的にサポートしてくれます。さらに、県北地域の活性化に繋がる新事業を応援するプロジェクト、「県北地域ビジネス創出支援事業」も始まり、セミナーやコンペを通して、若い力を後押ししています。
そして、2016年の秋には、「海か、山か、芸術か?」をテーマに、日本最大級の国際芸術祭「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」が、初めての開催を迎えます。9月17日(土)~11月20日(日)の65日間、国内外の80組を超えるアーティストにより、自然・歴史・文化・食・伝統工芸などと現代アートを組み合わせた様々な作品やプロジェクトが展開される予定です。
地域特有の潜在力を引き出し、可能性に繋げる実験の場が、これまでにない広がりを見せている茨城県北地域。紡がれてきた風土に撒かれた種から、新たな景色が生まれようとしています。