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2022年9月22日 矢巻美穂

現地を視察できる移住体験ツアーも開催!ほどよい田舎感が魅力の茨城県那珂市をご紹介

ここ数年、リモートワークという働き方が一般化し、住まい選びの選択肢が多くなりました。いつかは自然に囲まれて暮らしてみたいと漠然と考えていたことが、もはや夢ではなく、現実として考えられるようになったのではないでしょうか。そんな中、全国の地方自治体で、さまざまな側面から町を見ることができる移住体験を目的とした企画が実施されています。今回はその中から、茨城県那珂市をご紹介していきます。

那珂市ってこんなところ!

今回ご紹介するのは、茨城県那珂市。水戸は知っているけど、「那珂市」ってどこにあるの? と思った人も多いはず。那珂市は、茨城の中央から少し北に位置し、県庁所在地の水戸市のすぐ隣にあります。東京からは電車で約1時間半、車では約60分で到着します。

那珂市は東京から約100km

この地域の魅力を那珂市の政策企画課の小園井さんに伺うと、「目立った観光地などはないのですが、ちょうどいい田舎というか、のんびりとしながらも生活に必要なものは全て揃う、暮らしやすい場所です。」とのこと。のどかな田園風景や海も近く、県内の工業都市、ひたちなか市や水戸市のベッドタウンとしても注目される那珂市。その魅力を少し覗いてみましょう。

【注目スポット①】 那珂市の花「ひまわり」 ~25万本の圧巻のひまわり畑~

見渡す限り一面のひまわりに感動!

まず那珂市注目スポットのトップバッターは、夏の間のお楽しみ「ひまわり」。
「なかLuckyFM公園(那珂総合公園)」に隣接する畑には、約25万本のひまわりがいっせいに開花します。およそ4 haの広大な敷地一面に広がるひまわり。8月の最終土曜日に実施される「なかひまわりフェスティバル」は、毎年多くの来場者で賑わう、那珂市の目玉イベントです。

歩いても歩いてもひまわり畑。まるで映画のワンシーンのよう

広大なひまわり畑には、その全貌が見渡せる「見晴台」があります。登ってみるとあたりは一面黄色の圧巻の景色!子どもたちは大喜びです。

【注目スポット②】 那珂市が誇る桜の名所 ~約2,000本の八重桜〜

4月中旬から開催される「八重桜まつり」。ミニコンサートやキャラクターショーも開催される一大イベント

次に紹介するスポットは、那珂市民のオアシス、「静峰(しずみね)ふるさと公園」です。ここは那珂市きっての桜の名所。日本さくら名所100選にも選ばれ、桜の季節には多くの人が訪れます。約12haの広大な敷地の中に、約2000本の八重桜をはじめ、ソメイヨシノ、ツツジ、シバザクラなどが咲きほこります。品種が多いので、長い期間桜を楽しめると評判です。

「ふわふわドーム」で遊ぶちびっこたち

「静峰ふるさと公園」は、昭和40年に開園、「静神社」の西側の丘陵をそのまま生かして造成された公園で、緑が豊かで自然を満喫できます。園内には幼児用遊具、健康器具、親水施設があって、親子連れで楽しむ姿がよく見られます。他にもウォーキングコースやグランドゴルフ場も整備しているので、スポーツも楽しめます。また、バーベキュー施設もあるのでグループでの利用もおすすめです。

小さなお子さんでも安全に遊べる親水施設

広い園内でのおすすめの過ごし方は、ノルディックウォーキングコース。1周2.5kmのウォーキングロードは、四季折々の花や木々に囲まれながら楽しく歩けます。子どもから大人まで世代を通して人気の高い公園です。

那珂市のおすすめグルメスポット

那珂市の名産品、物産品にはどんなものがあるの? と気になりますよね。実は、那珂市自慢の品はたくさんあります。ここは農業王国と呼ばれる地で、大地の恵みがいっぱい。まずは「干し芋」。全国の約95%が那珂市やその周辺で作られています。北限の露地栽培で知られる「那珂パパイヤ」、ブランド品の「那珂かぼちゃ」など、さまざまなお野菜も。海外でも人気のあるクラフトビールも那珂市の酒造で作られています。次は、那珂市産の美味しいものをご紹介していきます。

【注目グルメスポット①】 老舗の酒造で味わう ~自分好みのオリジナルクラフトビールの制作~

思わず入りたくなる素敵な和風造りの外観

那珂市の名産・物産品といえば、まず名前が挙がるのが「木内酒造」。創業は1823(文政6)年、200年もの歴史を誇る老舗の酒造です。メインブランドである銘酒「菊盛」は、これまで数々の品評会やコンテスト、アワードなどで賞を獲得してきました。この純和風建築の外観は、1926(大正15)年に作られたもの。近くを通れば、その素敵な外観に思わず足を止めたくなります。

「ニッポニア」(2022年9月製造分より、ニッポニアは330mlボトルでリニューアル予定 ※現在の商品は店頭在庫のみで終了となります。)

「木内酒造」は日本酒を筆頭に、米焼酎、ウイスキー、ジンにワインと、7種類以上のお酒を作っています。特に今注目されているのは、クラフトビール。「ニッポニア」は、日本のビール麦の原種の「金子ゴールデン」を、地元の農家とともに復興再現させて作ったもので、常陸ならではの味わいが詰まったビールです。

ずらりと並ぶビールタンクで、オリジナルビールを

館内には手造りビール工房があって、なんと自分好みのオリジナルビールを作ることができます。まずはビールを飲みながら、レシピを打ち合わせ。300ml瓶を45本から予約できます。オリジナルラベルの制作もできるので、まさに世界にひとつだけのビールといえます。

古い酒造蔵を改装した趣のある店内

酒造内には、美味しいお酒と蕎麦が味わえる「蔵+蕎麦 な嘉屋」があります。大正時代に建てられ、実際に使われていた蔵を改装。テーブルは、以前使われていた酒舟で、風合いがとても素敵。那珂産の蕎麦粉を使用した十割蕎麦と自家農園で栽培した新鮮な野菜が味わえます。

ショップで買い物も楽しい!

併設されるショップでは、木内酒造のたくさんのお酒を販売しています。試飲できるバーもあるので、のんびりとお酒選びができます。

【注目グルメスポット②】 那珂市の新鮮野菜が味わえるカフェ ~旬菜CAFE ふ輪り~

木の大きな梁と白壁でかわいい店内

次に紹介するのは、新鮮な野菜をふんだんに使った料理が評判の「旬菜 CAFE ふ輪り」です。こちらは那珂市へ移住した神林さんと、県内在住の馬場さんが2021年に開いたカフェで、早くも注目が集まっています。

新鮮食材を使ったプレート。野菜がイキイキ!

地元の農家さんから直接野菜を仕入れて作る料理は、パスタやピザ、煮込み料理などイタリアンをベースにした洋食が中心。店内には生産者の顔が見えるようにと、地元の生産者さんの名前がずらりと並びます。

ボリュームたっぷりで大満足できるランチセット

ソースやドレッシング、ピクルスなどもすべて手づくり。付け合わせのパンも毎日焼いているのだとか。どの料理も野菜がいっぱいで、うれしくなります。メニューは、2週間に一度は変更して、その時の旬の食材で作るというこだわりです。

自家製スイーツもおすすめ。

ランチのセットは3種類。おすすめは、前菜とメイン、そしてドルチェのセットです。自家製のドルチェは、上に乗るかわいいパンダの砂糖菓子に至るまですべて自家製。

旬の食材にこだわった料理が楽しめる「旬菜CAFE ふ輪り」の二人のオーナー。そのうちのひとり神林さんは、那珂市への移住者です。カフェをオープンした経緯など、いろいろとお話を伺いました。

那珂市に移住した人たちの声

移住者インタビュー①】 「旬菜CAFE ふ輪り」~那珂産の野菜との出会い~

素敵な笑顔が印象的な馬場さん(左)と神林さん(右)

実際に移住した方に、お話を伺いました。登場してくれたのは、「旬菜 CAFE ふ輪り」のおふたりです。馬場さんが接客、調理は神林さんが担当しています。

「いつか自分のお店を開きたい」という思いがあった、馬場さんの前職は看護師。一方、調理師免許を持ち、イタリアンレストランなどで修行をしていた神林さん。そんなおふたりが出会ったのは、東京で開催された起業セミナーで、そこで意気投合し開業に至ったと言います。

那珂市は新鮮野菜の宝庫。この食材に出会った喜びも大きい

知り合ってから3年が経ち、資金面でもふたりなら可能になると、共同経営をすることに。当時埼玉県在住だった神林さんは、ご主人の同意を得て、馬場さんの暮らすこの地へ移住を決めました。不安はなかったかという問いに、「やっぱり店を持ちたいという気持ちが強かったので、起業するまでには意外と不安はありませんでした。」と話す神林さん。

一方、結婚を機に那珂市で生活を始め、ずっと看護師だった馬場さんが起業したいと思ったのは、ご自身で大病を経験したことが大きかったと言います。

「大きな手術を経験して、残りの人生やり残しのないようにしたい。接客やおもてなしが好きなので、何かやってみたいと思ったんです。」

お互いの性格は「石橋を全て叩いて渡る慎重派」の神林さんと、「なるようになれがモットーの楽天家」の馬場さん。お互いの良いところ、持っていない部分をうまく生かしながら切り盛りしていて、相性は抜群に感じます。

自家製のシロップ作り

「旬菜 CAFE ふ輪り」のいちばんの売りは、新鮮野菜を使った料理。「農家さんから直接仕入れ、新鮮なうちにお出ししています。」と神林さん。実際に自分で食べてみて、味の濃さ、旨みなどスーパーマーケットで買うのとでは全然違うと実感しながら調理していると言います。

開業してすぐに、農家さんとの繋がりができたのは何故なのか聞いてみると、「開業するにあたり、那珂市の農政課の方に相談しました。そこで親身に相談に乗ってもらえて。そこから農家さんとの直接の取引ができるようになったんです。」と馬場さん。これはすごく心強く、ありがたかったと話してくれました。

タイプの違うふたりは喧嘩もする、なんでも話せる仲だと言う。

「移住してよかったことは、住んでいる人たちが親切で温かいこと。ここで体験したことを、お返ししていきたいなと思います。」と話してくれた神林さん。店名の「ふ輪り」とは、「やわらかいイメージの名前にしたくて。真ん中の輪は、地元の皆さんとの繋がりが持てたらと思い、この名前にしました。」新鮮な野菜を地元農家さんから仕入れ、それを美味しく調理。来店するお客さんに繋がる輪。その輪がどんどん強く、大きくなっていきそうな、今後もとっても楽しみなカフェでした。

移住者インタビュー②】 「田舎暮らしを楽しむ」~都内の会社にリモート勤務~

メリハリのある人生を実践している前橋さん

次に登場してくれたのは、2019年に東京から移住した前橋さん。ここ数年急激に増えた「リモートワーク」という働き方を実践しています。移住前は、渋谷にも新宿にも出やすい明大前で20年以上、マンションで暮らしていた前橋さん。どうしてこの那珂市に移住されたのでしょうか。

「都会暮らしは卒業しました。もうやり尽くしたかな。」と笑う前橋さん。

以前の暮らしは生活には便利でしたが、仕事中心で趣味や好きなことをやる時間を、いつしか忘れていたと言います。「いつかは実家のある茨城に帰りたいと思うようになったきっかけは、義理の父が亡くなったこと。私の親、義理の母は健在なのですが、元気なうちに帰りたいと考えまして。それにそろそろ自然の中で暮らしたいとも思い、いろんな移住セミナーに参加してみたんです。」

以前と比べて自分の時間を大事に過ごせるようになったという

つくば、守谷と茨城県内各所を探していたところ、奥様の実家のあるひたちなか市にも近い那珂市に、希望していた内容の手頃な物件があることを知ります。退職して移住しようかと考えるようになった頃、偶然にも会社から「リモートワーク」を打診され、すぐに移住を決意。「元々、会社は辞めたくなかったので、これはありがたいと。すぐに家の購入を決めました。」

庭でできたプチトマト。もう少しで収穫!

そうして始まった那珂市の生活。週に1度東京の会社に出社し、その他は自宅でのリモートワークが中心となりました。2階に仕事場を設置して、通勤は0分。こちらの生活はどうか聞いてみたところ、仕事と両立しながら、ゆっくりと流れる時間の中で、自分の時間もしっかりと持てるようになったと言います。「大洗のサンビーチまで車で30分という立地なので、趣味のサーフィンも週1で楽しんでます。」

自宅の庭で栽培しているかぼちゃ

「あとは外食が減りました。野菜が美味しいんですよ。庭で作る野菜も美味しいです。」庭にはトマトやかぼちゃを栽培していて、収穫が楽しみなのだとか。自然を感じる生活では、生活面でも健康的になったと言います。「今は日の出とともに起きて、夜9時には寝ちゃいます。東京では考えられないくらい健康的!」リモートワークなので、運動不足にならないよう、積極的に体を動かしているそうです。

仕事も趣味も充実、今日はお気に入りのサッカーチームの応援へ

この日の仕事はもう終わったそうで、これから水戸ホーリーホックの応援に出かけるとのこと。早速ユニホームに着替えて、ニコニコ笑顔の前橋さん。自然がいっぱいながら、少し出れば買い物も飲食にも困らない、ほど良い田舎暮らしがとても気に入っている様子でした。

生活面でも安心で便利な場所

那珂市の統計によると、「住みやすい」と感じる市民の割合は87.8%(2021年市民アンケートによる)。自然が豊かでありながら、生活に必要なものが、近くで全て揃います。

24時間営業の大型スーパー

那珂市の中心、那珂バイパスにはたくさんの飲食店や大型スーパーマーケット、ショップが立ち並び、便利になんでも揃います。

少し東へ走れば大洗や日立の海へ、北に進めば大子町などの里山にも行けます。県内どこに行くにも便利な住みやすい那珂市。移住体験ツアーで、その住みやすさを実感してみませんか。

取材先

茨城県那珂市

木内酒造

茨城県那珂市にある酒造。

旬菜CAFE ふ輪り

思わず「ほっ」とする野菜を食べるカフェ

矢巻美穂
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矢巻美穂

矢巻美穂国内外の旅行雑誌を中心に活動するカメラマンで、撮影から執筆・編集作業まで行う。単著としてネパール、台湾、ウズベキスタン、韓国などのフォトガイドブックを執筆。近著は『東京で台湾さんぽ』(イカロス出版)。また、YouTubeで「旅ちゃんねる MinMin Tour」をオープン。これまで取材に行って、本当に美味しかった店や行ってよかった人気スポットを紹介。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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