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2016年10月13日 ココロココ編集部

初開催!「群馬県地域おこし協力隊募集相談会」レポート

2016年10月1日(土)、東京・有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」において、群馬県としては初開催となる「群馬県地域おこし協力隊募集相談会」が行われました。

県内で地域おこしに積極的に取り組む2つの団体による「地域おこしセミナー」にはじまり、地域おこし協力隊を募集する〈富岡市、下仁田町、甘楽町、中之条町、玉村町〉の5つの市町による「募集内容紹介」、現役の地域おこし協力隊員や市町村職員との「個別相談会」も行われ、参加者にとっては群馬県での暮らしの実際が分かる充実したイベントになりました。

参加した5つの市町ではどのような移住者を求めているのか? また群馬県での暮らしの魅力とは?イベント当日の様子とともに詳しくレポートします!

ぐんまで地域おこし協力隊!

秋の訪れを感じる冷たい風が吹き抜ける10月の第一土曜日、会場となった東京・有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」には、地方への移住・定住を検討する多くの人が訪れていました。

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「ふるさと回帰支援センター」(東京交通会館8階)のセミナースペースを利用して行われた「群馬県地域おこし協力隊募集相談会」は、群馬県としては初めての試みで、地域おこし協力隊を募集する〈富岡市、下仁田町、甘楽町、中之条町、玉村町〉(一部募集中)の5つの市町から、市町村職員の方や現役の地域おこし協力隊員も駆けつけ、移住・定住を検討する参加者にとっては直接対話ができる貴重な場となりました。

 

“生きる”と“仕事”が一緒になった群馬での暮らし

第1部の「地域おこしセミナー」では、甘楽町を拠点に地域おこしに取り組む「NPO法人 自然塾寺子屋(以下、自然塾寺子屋)」と有機栽培による野菜づくりで地域の存続をはかる「くらぶち草の会」の活動内容の紹介と地域の暮らしについてのお話がありました。

「自然塾寺子屋(しぜんじゅくてらこや)」の事務局長を務める森栄梨子さんは、青年海外協力隊の村落開発普及員として中米のホンジュラスに赴任した経歴も併せ持つ京都府出身の女性です。

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中学生の頃に「英語を話せると10億人と話せる!」と書かれたポスターに釘付けになり英会話に興味を持つようになったこと、ホームステイやアメリカへの留学を通じて「英語を生かせる仕事をしたい」と将来を思い描いたこと、青年海外協力隊の村落開発普及員として中米のホンジュラスに2年間赴任したことが、その後の群馬県の移住へと至るきっかけになったことなど自己紹介からはじまりました。

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「海外志向も強い森さんがなぜ群馬県へ?」参加者も疑問に感じていたことの答えは意外なきっかけによるものでした。「自然塾寺子屋」が主催する農業研修に参加したことのあるホンジュラス人と赴任中に出会い、「なんで君は日本人なのに『KANRA』のことを知らないんだ!?」と驚かれたこと、帰国後にはじめて甘楽町を訪れ「自然塾寺子屋」の活動に参加するなかで居場所を見つけたことなど、「自然塾寺子屋で“生きる”と“仕事”が一緒になった」と語られた森さん。

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群馬県の自然を生かした青少年育成の環境教育や、農業研修に訪れる国内外からの受け入れ、地域の農家とのネットワークを生かした地域活性化の取り組みなど、「自然塾寺子屋」の取り組みは多岐にわたり、森さん自身が企画・考案した「ていねいなくらし」ツアーも都心部の女性参加者から多くの共感を得ているようです。

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また、「地方には仕事が無いから移住できない?」といった誰もが抱く素朴な疑問についても、「地域のいろんな人に話を聞いて、“がっちゃんこ”していくと仕事になるもの」と実体験にもとづくユニークな表現で、地域おこし協力隊に求められる“コミュニケーション能力”の高さや、“前向きにいつも明るく”いられる人間性の大切さについても語られました。

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「私はいま、いろいろな縁がめぐって群馬にいます。いまこの会場に来てくださったことにも何かのご縁があると思います。目の前に起こる縁に気がついてください」と、締めくくりに語られたメッセージも情熱的で、移住後の充実した生活が目に浮かぶようでした。

★「自然塾寺子屋」代表・矢島亮一さんへのインタビューはこちら!

 

新規就農者でも収入が得られる行き届いた仕組みづくり

続いてのセミナーは有機栽培による野菜づくりで地域の存続をはかる「くらぶち草の会」代表の佐藤茂さんと、新規就農者として2007年に東京から移住した森有理さんによるお話です。

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「人前で話すのが不慣れなもんで、緊張してくると群馬弁が出てしまうんで、聞きづらかったらもういっぺん話すから(笑)」と、会場の雰囲気がふっと軽くなってから佐藤さんによる活動内容の紹介がはじまりました。

榛名山の西側に位置する標高400~900mの準高地で有機栽培による野菜づくりに取り組む「くらぶち草の会」は、新規就農者が半数を占める約40軒からなる生産団体です。

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既存の流通ルートでは生産原価を割ってしまうほどの安値で取引されていた当時の農家が置かれる厳しい状況を打破しようと、倉渕地域に適した有機栽培による野菜づくりに着手し、現在の「らでぃっしゅぼーや株式会社」や「株式会社 大地を守る会」など前例の無い独自の販路を開拓したパイオニアです。

有機栽培による野菜づくりは大型の機械を必要としないため想像するよりもお金がかからないこと、正当な価格で取引されるため年間の売上目標を立てやすいこと、家計的なリスクを負ってまで有機栽培にこだわる必要は無いことなど、新規就農者のその後の“生活”をも見据えた佐藤さんのお話は、農家の現実を知るからこそ語られる貴重なお話でした。

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「美味しい野菜を作ってる農家はたくさんあるんだけど、売る手だてがないんだよね」のひと言はまさに核心を突く内容で、新規就農者でも収入を得られる環境が整っている「くらぶち草の会」はまさに憧れの土地でした。

続いては新規就農者として2007年に倉渕地域へと移住した森さんによる発表です。ご夫婦で育てた野菜のもっとも美味しい表情を捉えた写真をスライドで流しながら、現地での暮らしぶりや今後の目標についてのお話がありました。

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農業未経験の状態から2年間の研修を経て独立した森さんご夫婦ですが、はじめの数年は失敗の連続だったようです。しかし、自然の厳しさを前に「農業はいやがおうにも自然と向き合わないといけない」と気づいたことで、畑にいる虫や野生動物との出会いも含めて、暮らしてみてはじめて分かるエキサイティングな日々を今は楽しめるようになったそうです。

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森さんご夫婦は現在、倉渕地域を代表する“ほうれん草”をはじめ、何世代にもわたって食されているいわゆる“伝統野菜”の栽培にも挑戦しているようで、じんだしょうがややつがしらなど、「その土地で作り続けられる理由のある貴重なもの」という表現で、地域にある資源や文化を継承していくことの大切さも語られました。

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また、新規就農者という立場から客観的な視点をもちながら地元の人と共有、共感することが、あらたな価値を生み出すきっかけになるとも語られました。

★「くらぶち草の会」代表・佐藤茂さんへのインタビューはこちら!

 

平成28年度より活動任期終了後のサポート体制を強化

群馬県に移住して充実した日々を送っている発表者の方々の“生の声”が語られた後は、第2部の5つの市町による具体的な「募集内容紹介」です。

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まず群馬県企画部地域政策課の黒岩さんより群馬県全体としての地域おこし協力隊の現状についての説明がありました。

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平成28年9月1日現在、群馬県内では58名の地域おこし協力隊員が活動していて、全35市町村の半数に及ぶ18市町村で取り組んでいるそうです。また平均年齢31.2歳の地域おこし協力隊員の約半数が定住して新しい生活を送っていることも紹介されました。

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また平成28年度からは活動任期終了後の起業支援やスキルアップ研修会など、群馬県としてもサポート体制を強化しているようで、整った受け入れ態勢が用意されているようです。

 

幅広い分野で活躍できる群馬県の地域おこし協力隊

続いては、参加した5つ市町による「募集内容紹介」のプレゼンです。

■富岡市

トップバッターは富岡市地域づくり課の横田さんによる発表でした。

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平成26年に富岡製糸場が世界遺産に登録され観光客が増える一方で、市内にある養蚕農家は12軒まで減少してしまい、高齢化による廃業が数年後に迫る危機的な状況に直面していることのこと。

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そこで富岡市では現在、①養蚕と②移住・定住に関する事業の2つを軸に地域おこし協力隊のチカラを求めているそう。現役の地域おこし協力隊員として養蚕に携わる高橋さんからのお話もありました。

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「いろんなところで地域おこし協力隊を募集しているし、地域ごとに抱えている問題も違う、自分のやりたいことやできることもいっぱいあるなかで、イメージとマッチングしたのが富岡でした」と語る高橋さんは、高崎市出身のメディアに精通したクリエイターで、“養蚕エバンジェリスト”として養蚕文化を後世に伝えるための活動を行っているようです。

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■下仁田町

続いての発表は下仁田町地域創生課の高橋さんと、高齢対策に取り組む鈴木さん、現役の地域おこし協力隊員2名も加わり賑やかな発表となりました。

下仁田町では現在5名の地域おこし協力隊員が活動中で、「下仁田ジオパーク」や町営の温泉施設「荒船の湯」の集客・運営、地域に愛される食堂「一番」の食文化を守る活動など、観光推進を目的とした取り組みが行われています。

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現役の隊員として参加した大井田さんのパートナーとして、高齢者の居場所づくり・生きがいづくりに取り組む地域おこし協力隊員を募集中で、幅広い活動の場があるようです。

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大井田さんの活動内容は、町内のひとり暮らしの高齢者を訪ねて居場所づくり・生きがいづくりを支援する活動で、ひとりひとり異なる生きがいづくりの難しさを感じるとともに「日々の笑顔を作っていくことが生きがいにつながるのでは」と模索しながらもやりがいのある仕事だということが伝わって来ました。

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町全体が親戚のようなあたたかい雰囲気に背中を押されて「結婚しちゃいました(笑)」と語る沼田隊員も、仕事以外のプライベートの話で参加者の関心を引き寄せ、消防団や祭のお囃子連に参加して地域での生活を満喫している様子を語ってくれました。

 

■甘楽町

続いては副町長もイベントに駆け付けた本気度の伝わる甘楽町企画課の田中さんによる発表です。

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甘楽町は、織田家が長年にわたって統治した城下町で、隣接する富岡市とならんで養蚕が盛んに行われていたようです。現在2名の地域おこし協力隊員が活動中で、イベントに参加した萩原隊員は得意とするITを活用した取り組みに挑戦中、もうひとりは養蚕の飼育展示に取り組んでいるそうです。

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甘楽町としては観光イベントの企画運営や古民家を活用した農家レストラン、自然体験・農業プロデュース、地元食材を使った商品開発など、地域おこし協力隊に求める活躍の場は多岐にわたるそう。「地域おこし協力隊サポート制度」を設けて町としても全面的にバックアップするようです。

 

■中之条町

続く発表は、中之条町農林課の唐沢さんから。これまでの市町とは異なる林業の施業者の募集です。林業従事者の高齢化により木がまったく切られていない状況が続くと、森が荒れ果ててしまい、土砂崩れや野生動物との共生が保たれないという問題が起きてくるそう。

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林業に縁が無いと想像がつきにくい分野ですが、木材を切って運ぶ人から、燃料として加工する人、商品化する人など求められる人材は多岐に渡るそうです。0円だった木材を切り出すことで収入になり、森の保全にも役立つ仕事とのこと。

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中之条町では2007年より「中之条ビエンナーレ」と称したアートイベントによる地域おこしに取り組み、外部からの人を多く受け入れています。それをきっかけに、町が変わろうとする気運も高まっているようです。

 

■玉村町

最後に、地域おこし協力隊をはじめて募集する玉村町経営企画課の松井さんによる発表です。玉村町は高崎市や前橋市とも近接したいわゆる“ベッドタウン”で、“ほど良い田舎暮らし”ができる町とのこと。都心部での生活者にとっては、比較的ハードルの低い生活環境のようです。

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玉村町では2017年5月からの任期を前提に、年明けから4名の地域おこし協力隊を募集。道の駅「玉村宿」で2名、一般社団法人「玉村町住民活動サポートセンターぱる」で2名の採用を予定しているそうです。

玉村町には京野菜でも有名な水茄子を生産している農家や群馬県のいちご品評会で最高賞を受賞したいちご、全国でも珍しい食肉学校・食肉市場があるのも特色のひとつで、ご当地グルメの開発や地元農産物、畜産物を活用した観光推進の取り組みなど、ひとつひとつの素材をかけ算で魅力を引き出してくれるような人材を求めているようです。

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群馬県は東京にも近く日帰りも可能なアクセスに恵まれた環境のため、農林業に限らず観光振興や地域資源の発掘など地域おこし協力隊に求められる任務の内容も多岐に渡り、多様な受け入れ先があることが分かる相談会でした。

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参加した5つの市町によるプレゼンが終了した後も、「個別相談会」として設けられた各市町のブースでは参加者と各自治体の担当職員、現役の地域おこし協力隊も交えた熱心なトークが交わされ、参加者の“知りたい”に応える充実したイベントになったようです。

 

現在の地域おこし協力隊募集情報はこちら!(群馬県公式ホームページ)

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ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

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