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2017年10月27日 ココロココ編集部

「人生に青い海をプラス あくてぃぶ南房総・館山ツアー」に行ってきました!【イベントレポート】

房総半島南端に位置する南房総・館山は、東京から高速バスで約2時間というアクセスの良さと、美しい自然環境から、移住・二地域居住におすすめの地域として注目されています。そんな南房総・館山を舞台に、2017年9月30日(土)、10月1日(日)に「人生に青い海をプラス あくてぃぶ南房総・館山ツアー」が開催されました。2日間にわたるツアーの様子をレポートします。

ツアーの最初は「ヤマナハウス」で古民家を見学!

東京駅を出発したバスは、「東京湾アクアライン」を通り「館山自動車道」へ。約2時間ほどで最初の見学地「ヤマナハウス」に到着!

「ヤマナハウス」

「ヤマナハウス」は、築300年といわれる古民家や荒廃した土地を、地域住民や都市住民が週末に集まり「自分たちの欲しい場所」にしていくプロジェクトの拠点。ここで「ヤマナハウス」メンバーで、南房総市公認プロモーターでもある永森昌志さんにお話を伺いました。

永森さんの話を聞く参加者

自身も東京と二地域居住を行う永森さんは「地域の課題に対して、南房総のコンテンツを使って東京のスキルで解決していくハイブリッドなやり方が求められている。」
移住のポイントについては「地域の人たちとコミュニケーションをとり、気長に進めることが大事」と話していました。

ここで予定していた農業体験は、残念ながら急な雨で中止になってしまいましたが、「ヤマナハウス」で無農薬・無肥料栽培農法の研究を行う団体「Wonder Vege(ワンダーベジ)」が栽培した野菜試食コーナーが設けられ、参加者は美味しい野菜を味わいました。
参加者は、永森さんや「Wonder Vege」代表の小川さんへ移住後の生活や農業の取り組み内容について熱心に質問していました。

農家レストランで絶品ランチ!

百姓屋敷レストラン「じろえむ」

続いて訪れた百姓屋敷レストラン「じろえむ」で昼食タイム。「じろえむ」では、実際に畑で採れた有機野菜や平飼いしている鶏の卵や鶏肉などこだわりの食材を使用。マヨネーズやソーセージは材料から自家製です。参加者もその美味しさにおかわり続出!笑顔がこぼれていました!

食事の様子

ランチ後は、ここで研修生として働く川合さんにお話を伺いました。
「南房総の人たちは移住者に寛容で住みやすい。自然に囲まれた住環境が素晴らしい。」

「移住をしたいがどのように進めたら良いか?」との質問に「地域の人と交流すると仕事の情報を得る機会が多くある。個々の生活環境にもよるが、コミュニケーションを積極的にとり、思い切って地域に飛び込むのも一つの手。」

「じろえむ」で働く川合さん

地域の人の情報に勝るものはないことを強調し、地域の人とコミュニケーションをとることの重要性を教えていただきました。

空き家バンク登録の古民家を見学!

続いて向かったのは、美しい里山に建つ古民家。現在改修作業中のこの空き家はどこか懐かしさを感じる佇まいで、広く立派な造りです。

参加者は、広い庭や室内を興味深そうにチェック。立ち会った市の職員に価格などを質問する参加者も。

空き家バンクにも登録されている

住居は移住する際にも重要なポイントです。皆さん、移住後のライフスタイルを想像しながら熱心に見学している様子が印象的でした。

昔ながらの造りの空き家内部

 

2017年グッドデザイン賞を受賞した多目的施設「シラハマ校舎」を見学!

南房総市の旧長尾幼稚園・小学校をリノベーションした多目的施設「シラハマ校舎」。
ここには、サテライトオフィス、宿泊施設、カフェ・シェアキッチンが併設されています。

「シラハマ校舎」外観

さらに、校庭には「株式会社良品計画」による「無印良品」ブランドの小屋、「MUJI HUT(仮称)」が“世界で初めて”設置されています。

施設の運営を行う「合同会社WOULD」の多田さんにお話を伺いました。

「合同会社WOULD」の多田さん

「都心部の人に来ていただくためにデザイン面など見せ方に工夫を凝らした。シェアオフィスは大学のサテライト授業や都内の企業の利用、宿泊施設は観光客の利用が比較的多く、近年増加しているロードバイクでも訪れることができるように施設には自転車ラックを設置している。」「南房総は東京からも近く、思い立ったら来ることができる場所。二地域居住にも適しているので気軽に来て欲しい」と南房総の魅力をアピール。

その後参加者は校舎内を見学。入居者や一般の利用も多いというレストラン「Bar Del Mar」やシェアオフィス、「MUJI HUT(仮称)」などを見て回りました。

「無印良品」ブランドの小屋「MUJI HUT(仮称)」を見学

今後はクリスマスイベントなど「シラハマ校舎」の地域への一般開放型の催し物も多く企画されるとのこと。今後の展開がとても楽しみです。

宿自慢の海鮮料理とともに交流会!

シラハマ校舎を出た後、バスは本日の宿である漁師民宿「まきの」に到着。「まきの」は房州の海の幸をふんだんに使った料理と目の前が太平洋というロケーションが自慢。

漁師民宿「まきの」

参加者と地域のメンバーとで夕食をとりながらの交流会を開催しました。交流会では、シャンソンを指導しているという参加者が歌って会場を盛り上げるという場面もあるなど、和やかな雰囲気の中、交流を深めていました。

交流会の様子

「南房総は穏やかな陽気で海岸沿いの地域は霜も降らないため過ごしやすい。野菜も魚も沢山採れて豊かな自然がある。移住をお待ちしています」と、宿のご主人からも一言。さらに漁や町のこともユーモアたっぷりにお話しいただきました。

宿のご主人

 

二日目のスタートは「日曜マルシェ」!

ツアー二日目は、「日曜マルシェ」からスタートです。「日曜マルシェ」は、県外から移住してきた若者を中心に2012年に結成されたグループ「南房総オーガニック」によって毎月第1日曜日に開催されているイベント。

野菜やお米がたくさん並ぶ「日曜マルシェ」

「南房総オーガニック」のメンバーが育てたお米や旬の野菜、ハーブなどがエリアいっぱいに並べられ、雰囲気はさながら外国のマルシェのよう。生産者ならではの食べ方や加工の仕方、商品についての詳しい情報を得ることができるとあって、毎回多くの人が訪れるそうです。

参加者も買い物を楽しんだ

ここでお話を伺ったのは、「南房総オーガニック」のメンバーで、南房総に移住してきた佐々木さん。ずっと都内で働いていたが自然に触れることで自分をリセットしたい、自分らしい生活をしたいと思い農業を始め、現在は農園「ハーブちくら」を経営されています。

佐々木さんの「好きなことを仕事にして、すごく充実している。」という言葉と笑顔が印象的でした。

その後、参加者は各メンバーに移住について農業について質問したり、旬の秋野菜を購入するなどして満喫していました。

デュアルライフを提案する「館山ミナトバラックス」を見学!

「MINATO BARRACKS TATEYAMA 3710(館山ミナトバラックス)」に到着です。官舎(公務員宿舎)として1979年に建てられた建物を、賃貸住居・ゲストルーム・DIYレンタルガレージ・カフェ等を併設した複合施設としてリノベーションした同施設。

「ミナトバラックス」の大家である漆原さん

大家である漆原さんからは、オープンまでのいきさつや、住民の集い「ミナ会」の様子などが紹介され、DIY自由・原状回復義務なしという賃貸の部屋もご案内いただきました。
参加者からは、家賃や生活環境などについて、漆原さんへの質問が絶えず、あらためてツアー参加者の移住に対しての積極さが垣間見える時間でもありました。

「ミナトバラックス」の見学の様子

見学の最後に、漆原さんがご自身の家族に「移住してよかったですか?」との質問に対して、ご家族が笑顔で頷く場面も。

「漁港食堂だいぼ」で昼食!

「漁港食堂だいぼ」での食事

「漁港食堂だいぼ」は、伊戸漁港の網元が”漁師の、漁師による、お魚好きのためのお店”のコンセプトで直営する海鮮食事処。鮮度抜群の野趣あふれるお刺身の舟盛りや、郷土料理のなめろう、さんが焼きや伊勢海老料理など、海の幸好きにはたまらないお店です。

「漁港食堂だいぼ」

店内のいけすから魚を捕り調理・販売するスタイルもこの店の見所。参加者はここで新鮮でボリューム満点の刺身定食をいただきました。

海の見えるスタジオでストレッチ!

続いてやってきたのは館山の観光名所の一つ「北条海岸」。
この海岸に沿う「鏡ヶ浦通り」に面した「SEA DAYS COFFEE」はヘルシーな食事、海を眺めてくつろぎながらヘルシーな食事をいただけるカフェで、店の隣には「SEA DAYS」が手がける開放感のあるスタジオがあります。

「SEA DAYS COFFEE」とスタジオ

参加者はこのスタジオで、コンディショニングストレッチの体験教室を受講。
「土の環-tuchinowa-」代表でフィットネスインストラクターの土屋さんの指導の下、ゆっくりと体を動かし、海の見えるスタジオで運動を楽しみました。

館山への移住者である土屋さんは現在フィットネスと農業で心も体も健康に近づく体験を提案中。健康と暮らしを見つめ直すきっかけづくりを多くの人に提供したいとの思いから、自ら古民家を改装しながら空間づくりを進めています。

体験教室の様子

ここで、館山に移住を考えている人や仕事を探している人のお手伝いや、空き家バンク運営、イベント開催などを行っている「おせっ会」の八代さんにお話を伺いました。
「移住という選択肢を選ぶのは、今ある生活をより幸せにすることが理由。幸せの形は人それぞれで、自分にとって幸せの形とは何なのかを明確にして移住を進めることが必要」
「今までに移住の報告を受けた中で移住を辞めて帰ってしまったケースが8件。8件は少数に思えるかもしれないが、移住を失敗したという事の大きさはその人にとって重大。心が痛む」と移住の事例についてもご紹介いただきました。

館山の海でちょい投げ釣り体験!

「みなとオアシス”渚の駅”たてやま」に移動した一行はお土産などのショッピングを楽しんだ後、敷地内にある「館山夕日桟橋」に集合。ちょい投げ釣り体験が行われました。

「みなとオアシス”渚の駅”たてやま」

自然体験プログラムと環境保護活動を行っているNPO法人「たてやま・海辺の鑑定団」の皆さんから、竿やリールの使い方から丁寧に指導を受けます。

いよいよ釣りを開始!
10分…、20分となかなかアタリが来ないと悪戦苦闘する参加者が多い中、「ホウボウ」や「マダイ」を釣り上げる参加者も。

ちょい投げ釣り体験の様子

「自分で釣れるって嬉しいですね!」と喜ぶ女性参加者も見られ、館山の海・自然を満喫している様子でした。

「トゥクトゥク」に体験試乗!

バスが待つ駐車場に戻ると、ツアーに同行して下さった「ミナトバラックス」の漆原さんの発案で参加者の内の何名かが、東南アジアなどで普及している三輪自動車「トゥクトゥク」に体験試乗させてもらえることに。

「トゥクトゥク」に試乗する参加者と運転する漆原さん

館山の爽やかな空気を肌で感じることができる「トゥクトゥク」でのドライブ。参加者からは「楽しい!」、「スピード感がある!」などの感嘆の声もあり、漆原さんから送られた嬉しいサプライズに一同感動していました!

 

ツアーの最後はリノベーションしたカフェで。ツアーの振り返りも!

2日間のツアーの締めくくりは、「TRAYCLE Market & Coffee」です。
建物は、大正初期に銀行として建てられたもの。国の有形文化財に指定されたこともあり歴史を感じます。

「TRAYCLE Market & Coffee」外観

「TRAYCLE Market & Coffee」ではフェアトレードコーヒーや雑貨、心と体にやさしい手作りのおからマフィンを提供しています。フェアトレードとは、認証製品を購入することで開発途上国の生産者をサポートすることに繋がり、買った人と生産した人の人生が豊かになるという取引の仕組み。
参加者はお店が提供したコーヒーや紅茶、マフィンなどをいただきながらオーナーの知識さんのお話を伺いました。

お茶やお菓子をいただきながら話を聴く参加者

建物のリフォーム費用の一部を賄うために活用したクラウドファンディングがプロモーションツールの役割を果たしてくれたり、支援者の方々が店の常連客になって今も応援してくれているなど、起業や地域活動におけるクラウドファンディングの活用例を聞くことができました。

最後は今回のツアーについての意見交換会です。

ツアーの感想を話す参加者

参加者からは「現地の生の声が聞けて良かった。移住を検討したい。」、「どこでどのように暮らすかイメージすることが大事だと思った。南房総・館山は風土や気候が素晴らしい。」、「移住について漠然としたイメージだったが参加してはっきりとした。自分が何をしたいかもう一度考え直すきっかけになった。」など移住について前向きな感想や次のアクションにつながる言葉が多く交わされました。

今回ツアーでは、南房総・館山の人たちが生き生きと暮らす姿にたくさん出会うことができました。
現地で活動している人たちに会ってわかったのは、地域の人と小さな接点を作りゆっくりと時間をかけて交流を深め、移住を成功させていった例が多いこと。

移住は、毎日を充実して過ごしたい、心豊かな生活を送りたいなど、より良い幸せを見つける為の選択肢の一つです。移住を通じて私たち一人一人が幸せな暮らしを見つけることが、地域の活性化や地域全体の幸せにつながっていくのかもしれません。

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ココロココ編集部

ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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