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2017年10月18日 ココロココ編集部

Meet Up和歌山#1 自然とともに生きる-ナリワイと暮らしの受け継ぎ方【イベントレポート】

10月1日(日)、東京・有楽町「東京交通会館」内にある「NPO法人ふるさと回帰支援センター」にて、『Meet Up和歌山#1』が開催されました。

豊かな自然に囲まれた土地、和歌山。そこでの暮らしは、自然を始め、人々、食べ物、気候、ナリワイ…様々なものと共に営まれています。このイベントでは、実際に和歌山に移住したゲストをお招きし、その生活のリアルをお聞きしました。
当日は和歌山県紀美野町・田辺市・那智勝浦町・湯浅町の4自治体の方も参加。今回はそのイベントの様子をレポートします。

本編前のアイスブレイク

まずは参加者同士で自己紹介タイム。当日は約20名の方が会場に足を運んでくださいました。自己紹介シートを参考にしつつ、参加理由などで話が盛り上がります。

自己紹介の様子

机の上には和歌山らしく、スタッフお手製のみかんオブジェが。みなさんの緊張も少しほぐれたようです。

みかんオブジェ

 

いろんな人がためせる場所を―大越元さん

自己紹介のあとはいよいよゲストによるトークコーナー。1人目のゲストは、和歌山・奈良・三重県の求人情報サイト「紀伊半島の住まい 仕事 遊びkii」を運営する大越元さんです。

まず最初に画面に映されたのは、大越さんが和歌山めぐりをした際に出会った、和歌山に暮らす人々の日常の様子をダイジェストでまとめた映像。海でのエビ捕り、農家での生活、人々との会話…。 参加者の目がぐっと引き付けられます。

画面の様子

以前は東京でライターとして働いていた大越さん。現在住んでいる那智勝浦町との出会いは、仕事の取材で訪問した時でした。何度も足を運ぶうちに地域の方との関係が広がり、2014年には仕事を辞めて和歌山へ。

移住した大越さんが感じたのは「ぼくには農業はできない」ということ。移住先でもライターの仕事を続け、和歌山に身を置くうちに、だんだんと土地に魅せられていきます。そのうち、「いろんな人が訪れては何かをして、帰っていって、また戻ってきて…という一つの循環を紀伊半島で作れないだろうか」と考えるように。地方にも人がいて、暮らしがあって、仕事がある。外には地方で何かしてみたいと思っている人たちがいる。その両者のマッチングの手助けができないだろうかと始めたのが、「kii」なのです。

大越さん

そんな大越さんの和歌山での暮らしですが、家には上下水道も空調もwifiもないのだそう。 あまりの湿度の高さにズボンにベルト、カメラのレンズにまでカビが生えるのだとか!これには参加者のみなさん驚いていました。

「ためした人が損するような社会はもったいないと思うんです。だから僕はkiiを通して、いろんな人がためしてみようと思える場所、ためせる場所をつくれたらいいなと思っています。」

スローライフじゃない―計良容子さん

続いては2人目のゲスト、藍染をナリワイとする計良容子さん。以前は都内のレコード会社に勤めていた計良さんですが、現在和歌山で生活するに至った経緯とは…?

計良さん

計良さんはおっしゃいます。東京には東京のよさがあるけれど、「人が一生住む場所じゃないなと思いました」。

自分に適した移住先を探し求め、様々な土地に足を運ぶ中、京都・大原で出会ったのが藍染。「田舎に住むならこの仕事だ!」と思った計良さんは30歳で仕事を辞め、7年間修業を積みました。そうして手に職をつけた計良さんの移住先が決まったのは、何気なく聴いていたカーラジオのお国自慢コーナーがきっかけ。和歌山県田辺市にある「アトリエ龍神の家」の住人募集の広告が耳に入り、即応募、選考を経て入居します。

現在、地域の方々とのローカルなつながりを大切にしながら楽しく生活しているように見える計良さん。しかし、地方で暮らしていると言っても「ぜんぜんスローライフじゃない」のだそう。

藍染で生計を立てられるようになるまでの道のりは簡単ではありませんでした。 地方に移住したからと言って働かずに済むわけではない。その地でも何らかのナリワイを持ち、生計を立てるために働くことが必要になってくる。藍染というナリワイを手にしながら、苦労を重ねて今に至る計良さんの言葉は、参加者のみなさんにもリアルに響いたようです。

棕櫚箒に魅せられて―西尾香織さん

3人目のゲストは、伝統工芸品である棕櫚箒職人の西尾香織さんです。広島生まれ広島育ちの西尾さんは、大学卒業後グラフィックデザイナーとして働き始めました。しかし、忙しさでのあまり体調が崩れたのをきっかけに、別な土地で暮らすことを考え始めます。

「どうしたら自分は心地よい暮らしができるのかな」自分に問いかけ、悩みながら、移住先候補の和歌山県について図書館で調べている時に、運命の出会い。棕櫚箒という伝統工芸と、その名匠の存在を知ります。

西尾さん

「そのあともグラフィックデザイナーの仕事を続けていたんですけど、棕櫚箒がなぜか頭から離れなかった。ずっと残ってたんです。」当時の自分を思い出して西尾さん、涙。会場にもその思いの深さが伝わります。そうして強まっていた棕櫚箒への思いとともに、念願の弟子入り。今では職人として独立し「棕櫚箒製作舎」を自身のナリワイにしています。日々の暮らしでは「つくれるものは自分で」を合言葉に、建築士の旦那さんと協力しながら農業にも挑戦しているそうです。

参加者のみなさんは、西尾さん持参の棕櫚箒を手にしながら、ストーリーに思いを馳せて感慨深い様子でした。

おみやげをほおばりながら休憩

ゲストトーク後、一度休憩タイム。和歌山ならではのおみやげを準備していただきました。

・西尾さん特製のお茶葉を使用した日本茶・田辺市にあるカフェ「梅樹庵(メイジュアン)」のパウンドケーキ・和歌山県の特産柿を使った柿チップ

温かいお茶とお菓子でみなさんほっこり。

ゲスト×自治体×参加者でラウンドテーブル

休憩後は参加者がゲストや自治体の方に気軽に質問できるよう、交流タイム。当日の会場は机で3つの島ができている空間。ここでは、参加者のみなさんがゲストのお話をより近い距離感で聞けるよう、ゲスト1名につき1つのグループに入ってもらいます。会場内で3つに分かれている各テーブルにゲスト1名と自治体の方が座り、全ゲストのお話を聞けるよう、参加者が20分ごとにテーブルをめぐっていきます。

その際、自治体の方は地域の写真とともにお国自慢。美しい風景やおいしい特産物、地域の方々の暮らしの様子など、自治体の方の目線からみた和歌山の魅力を伝えていただきました。

お国自慢

もちろんゲストへの質問タイムも。この日参加者のみなさんには、ゲストトークの際、気になることや質問を付箋に書いてもらっていました。その付箋を参考にしつつ話を掘り下げていきます。

質問付箋

どうやって地域に馴染んでいったのですか?といった質問から、なかなか聞けない収入やお金の話まで盛りだくさん。参加者のみなさんは常に興味津々の様子。あっという間の20分×3回のラウンドテーブルでした。

 

ラウンドテーブルの様子

 

ワンストップパーソンとは?

最後に各自治体の方から改めて地域をPRしていただきました。実は和歌山県、各市町村に1人ずつ移住相談窓口となる「ワンストップパーソン」がいる、全国でも珍しい県なのです。丁寧なサポートが受けられますので、移住をお考えの方はぜひお気軽にご連絡してみてはいかがでしょうか。

 

地域のPR

 

自分のライフスタイルに照らしてみる

和歌山県で移住生活を送るゲスト3人を迎えての開催となった『Meet Up和歌山#1』。首都圏とは大きく環境の違う和歌山という土地で生活を送る方々との交流は、移住するしないに関わらず、自分の日常を比較し、客観的に振り返ってみる機会になったのではないでしょうか。

そして今回の第1回に続き、10月29日(日)にはMeet Up和歌山#2を開催予定。さらに11月2日(木)にはMeetUp和歌山#3、12月2日(土)にはMeetUp和歌山#4と、続々開催予定!こちらもぜひお楽しみに!

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ココロココ編集部

ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

人と風土の
物語を編む

 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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