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2017年12月7日 ココロココ編集部

移住して、どう生きる?暮らし・ナリワイづくりを考える。~いばらきけんぽく地域移住セミナー~【イベントレポート】

日立市・常陸太田市・高萩市・北茨城市・常陸大宮市・大子町の6市町から成る茨城県北地域は、自然環境が豊かで都心から比較的に近いこともあり、移住先としても注目されています。今回のイベントでは、茨城県北地域を舞台に活動しているゲストをお呼びして、「仕事=ナリワイづくり」と「地域との関係性=コミュニティづくり」をテーマにトークイベント&交流会が行われました。その様子をレポートします!

県北地域でナリワイづくりに取り組む人が増加中!

まずは県北地域のご紹介。茨城県県北振興課の澤田さんから、県北地域で活躍する魅力的な経営者や起業家、新たな「ナリワイ」づくりに挑戦中の方々が紹介されました。IT企業やカフェ等の経営者やゲストハウス等のオーナー、デザイナーなど、県北を拠点にナリワイづくりに取り組む人たちの業種は様々。県北地域に根ざして活動する人たちの多様さに参加者も興味津々の様子でした。

澤田さん

「県北地域を舞台にナリワイづくりに挑む若い人が増えている。県北は人を惹きつける何かがある地域。首都圏からも気軽に行き来することができる距離なので、まずは足を運んでほしい。そこから地域と関係を持ち、一緒にまちづくりに参加していただければ」と澤田さん。

スペシャルトーク「それぞれの暮らし、ナリワイづくり」

スペシャルトークではゲスト3名が登壇。みつばち社代表・プランナー兼ライターの小林奈穂子さん、日立市在住・茨城移住計画代表の菅原広豊さん、常陸太田市在住・フォトグラファー兼ライターの山野井咲里さんです。

ゲスト

一人目のトークは菅原広豊さんから。菅原さんは、教育をテーマにしたコミュニティ「ヒタチモン大學」を設立。「家族で学べる場」をコンセプトに、地域に密着したイベントを開催しています。また今年、「スポーツ」をコンセプトにした茨城移住計画を立ち上げ、活動しています。

菅原広豊さん

「コミュニティづくりは、人に話しかけることが大事。そうすることで仲間が増えて行く」と話す菅原さんは、地域のリサーチや人と人とのマッチングも得意とのこと。その人に合ったコミュニティを紹介できる、と話す菅原さんの存在は移住者にとってとても心強いですね。立ち上がったばかりの“茨城移住計画”をはじめ、様々なイベントを企画中とのこと。これからもどんどん仲間が増えていきそうです。

菅原広豊さん

続いては山野井咲里さんです。山野井さんは、都内でフォトグラファーとして雑誌やライブ撮影などに従事していましたが、お父様の死をきっかけに地元・常陸太田市にUターン。現在はフォトグラファーとして活動するだけでなく、ライター業にも挑戦しています。県北地域で働くにあたり、「自分のスキルアップにつながる都会にない仕事ができるのが面白い。県北地域は自然や古い建物など魅力的な景色がたくさん。面白い、魅力的と思う場所があればそこに行くのが良い。」とアドバイス。ご自身が撮影した美しい風景写真とともに常陸太田市での生活も紹介してくれました。少し緊張しながらも地元のことをとても楽しそうに話している山野井さんの姿が印象的でした。

山野井咲里さん

三人目の小林奈穂子さんは「みつばち社」の代表として“small is beautiful”を掲げ、小規模な自治体や町工場などの魅力を引き出して伝えるコミュニケーションデザインに取り組んでいます。今回は、ご自身の著書『生きる場所を、もう一度選ぶ』の中で紹介されている移住者を紹介。 「楽をして移住している人はいない。チャレンジが必要。動いてみてから次の扉が開くことが多いですよ。」と語る小林さん。

▲生きる場所を、もう一度選ぶ/小林奈穂子さん 著書

「今いる場所がベストとは限らない。場所を変えるだけでハッピーになることもある。移住は人生の選択肢の一つ。選択肢を持てることは豊かなこと。」
様々な移住者の事例をご存じの小林さんだからこそのポジティブなお話に、頷く参加者も多かったです。

小林奈穂子さん

トークセッション「移住して、どう生きる?茨城県北地域の場合」

続いてはゲスト3名でのトークセッション。小林さんのファシリテートのもと、さらに話を掘り下げていきます。県北地域で働き始めた頃の話では、「最初は新しい仕事になじむのが大変だった(菅原さん)」、「生活するために何でも仕事を受けようと思った(山野井さん)」とのこと。「やってみるとできることも多い。一つできるとそれが実績になって声がかかることもある。複数の仕事を持ち収入を安定させるのも良い。」と小林さん。
続いて県北地域の暮らしやすさについては、「自然が身近で食べ物が美味しい。生活・子育て環境が良い。人間が生活するという基本的なものがある。(山野井さん)」、「海風が気持ちいい。時間がゆっくりと流れている。(菅原さん)」と、暮らしは充実している様子。小林さん曰く、お二人のように毎日の生活で感じる些細なことが生活においてすごく大事なことなのだそうです。

菅原広豊さん

最後に今後の活動についての質問には、「空き家が増えているがその古材を活用するリサイクルショップの立ち上げを行っている(菅原さん)」、「農業体験を通じて農業と一般の方をつなぐ動きが始まっている(山野井さん)」との回答。美しい自然に囲まれ暮らしやすく新しい動きも盛んな県北地域。トークセッションでは県北に住むお二人の生の声をお聞きすることができ、移住後は仕事や生き方にも選択肢がたくさんあることを学ぶことができました。

トークセッション

茨城県北6市町リレートーク!

トークセッションの後は、茨城県北6市町の担当者が「暮らし・ナリワイ」についてトーク!トップバッターは日立市です。ものづくりの街日立市では、日帰りでのお試し就業も可能なオーダーメイド型の就業体験プログラムや一般の方も参加可能なインターンシップ制度を実施中とのこと。このインターンシップ制度を利用して地元のIT企業に就職した移住例が紹介されました。さらに、日立市限定の「うまい棒」も振舞われました。

日立市

▲日立市限定のうまい棒でアピール

常陸太田市からは、地域産品の開発・販売や、情報発信、教育事業などを通じて地域づくりに取り組む会社「ポットラックフィールド里美」についてのお話がありました。この会社ではフィールドワークの場やお試し居住住宅の提供、シェアスペース運営も行っているとのこと。きれいで美味しい里美地区の水を使った「里美珈琲」の開発についてもお話がありました。

▲右が「里美珈琲」。パッケージデザインにも力を入れている。

高萩市からは、市が公募した地域創生のための事業プランコンテストで最優秀賞に選ばれた「花貫川清流の里づくり会」のご紹介です。花貫川周辺の美化活動や鮭の放流体験、整備したプールを利用したヤマメの養殖など、活性化を図る取り組みが紹介されました。

高萩市担当者

北茨城市からは、アーティストが利用出来るアトリエやギャラリー「富士ヶ丘 Favoratory」をご紹介。廃校になった「旧富士ヶ丘小学校」が生まれ変わった場所です。地域おこし協力隊として活動しつつ、「建築アイドル」という一面もある都築さんの活動場所でもあるそうです。

北茨城市担当者

続いて常陸大宮市は、テレビのバラエティ番組の企画で移住した方を始め、イチゴ農園をしたいという強い思いで移住した家族の例や、移住コンシェルジュとして活躍する人をご紹介。強い思いを持って移住することが幸せにつながること、市民団体の活動が活発で街全体が街づくり、移住者受け入れを進めていることをアピールしていました。

▲常陸大宮市を食やパンフレットでもアピール

最後は大子町です。地元で就農した「農ギャル」と呼ばれる女性の活動やウッドデザイン賞を受賞したデザイナーの例など、町で実際にナリワイづくりをしている方々の紹介や町の新たな取り組みについてお話がありました。

大子町担当者

各市町、ユニークで魅力的な取り組みや人、場所、モノがあることが分かりました。

交流会&暮らし・ナリワイ相談!名産品の試食・試飲も

交流会

最後はゲストのみなさん、6市町の担当者、参加者の皆さんで交流会です。会場では各市町ごとにブースが設けられてパンフレットや名産品の試食・試飲も楽しめました。参加者の中には、6市町担当者それぞれへ移住支援制度について具体的に質問する人も。6市町の情報を一度に手に入れられる貴重な機会となったのではないでしょうか。

交流会

移住は気になるけれど具体的ではない、自分らしい暮らしをいつか実現したいと漠然と考えている方でも、移住後の生活や仕事についてよりイメージできるイベントでした!

集合写真

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ココロココ編集部

ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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