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2015年1月8日 ココロココ編集部

『第2回【東京×地域】Youth Action school ~トカイとイナカを結ぶ学生会議~』イベントレポート

近年、注目されることが多くなった地域活性化や地方移住。特に「移住してまちづくりに取り組む」とか「起業して地域で事業をする」等、若者が活躍する事例が全国各地で生まれている。

しかし、地域活性化やまちづくりに興味があっても、さすがにそこまでするのはハードルが高い…、と感じている人も多いのが実情だ。移住や地域起業ではない「行ったり来たりしながら地域に関わる」という方法を、地域へのアプローチや地方での活動に興味のある学生と一緒に考える「Youth Action School~トカイとイナカを結ぶ学生会議~」のイベントの様子と、学生たちの議論をレポートする。

渋谷のイベント会場には、20名以上の大学生らが集まった。首都圏以外の地方出身の学生が半分、出身が首都圏の学生が半分。参加した理由も「今やっている地域での活動をより発展させたい」と考えている学生や「今後、地域に入って何らかの取り組みを行いたい」という学生など様々だ。

最初に、ココロココ編集部から開催趣旨を伝えたのち、東京と地方を「行ったり来たり」しながら、地域でプロジェクト等を行っているゲストの学生2名がキーノートスピーチを行った。

一人目は、早稲田大学3年の大脇政人さん。地域活性化等の成功モデルとして全国的に注目されている島根県海士町の出身。中学3年時に、コミュニティデザイナーの山崎亮氏らと第4次海士町総合振興計画にメンバーとして参画。そこからまちづくりに興味を持ち、持続可能で住民主体のまちづくりを研究するために、大学に進学することを決意。偏差値39の高校から自己推薦入試で早稲田大学に合格。現在は岩手県の田野畑村を中心に活動。また地元海士町に、学生30人を呼び、高校で授業をするAMAワゴンをコーディネートしている。

大脇さん

大脇さんは、生まれ育った海士町の紹介から、中学・高校時代に地元で取り組んできた経験を話し、「海士町が大好きで、海士町に恩返しをしたい大学生」であると自己紹介しました。

その中で、2014年夏にコーディネートした海士町の住民と都市の大学生の交流事業である「AMAワゴン」の活動を紹介。地域の方との交流や、海士町で活躍するフロントランナーからの講義、地域の高校生とのキャリア教育を通じて、地元の方もAMAワゴンに参加した大学生も、お互いが学び合う場づくりを行った。

普段は東京で大学に通い、AMAワゴン等で海士町と行ったり来たりする中で、大脇さんは見えてきたものが2つあるという。

イベント・大脇さん

一つは「思考の変化」、もう一つは「成長と還元」というキーワードである。
「思考の変化」は、東京と海士町を行き来する中で、自分の役割や目標を見出してきたことだ。東京と海士町では、大切にされる考え方や価値が異なるので、行動も変わるという。

その中で、大脇さんは「成長と還元」というワードを出し、都会は成長する場所、海士町は恩を返すところ、と自分の「行ったり来たり」する中で見出した考えを伝えた。

 

二人目は、慶應義塾大学2年の藤原正賢さん。高校在学時、廃線になった私鉄を活用した「ワイントレイン」という企画に参画し、地域づくりの分野に興味を持つ。大学進学後「信州若者1000人会議」の立ち上げに携わったのをキッカケに2014年11月には「小布施若者会議2014」の実行委員長として運営に関わる。約100名の若者(35歳以下)を小布施町に集め、「新しい地方を創る」をテーマに2泊3日間のプログラムを行った。

藤原さん

藤原さんは、様々な人との出会いから、長野県内の魅力を探すようになる。県内で活躍する大人を訪ね歩き、ふるさとの印象が大きく変わったという。 大学進学後は、信州若者1000人会議の立ち上げに参画したことが縁で、小布施若者会議の3代目の実行委員長として、大きな企画を成功させた。

毎週のように東京と長野(小布施)を行ったり来たりする中で、

・地域は思考と実践の場であること。
・「べき」ではなく「やりたいこと」が重要であること。
・めんどくさいことの積み重ねが大切であること。
・「地方」といっても、様々な地域差を意識すること。
・志とコミット量によって、地域の未来はつくられるということ。

という5つの気づきを得たという。時にくじけそうになりながらも、現場に通い続けたからこそ出てくる言葉に、熱心にメモを取る参加者も多かった。

ディスカッション

二人のキーノートスピーチの後は、参加者も含めたディスカッションが行われ、自分なりの「行ったり来たりモデル」を構想したり、地域に関わる学生同士の想いや意見を交わしあったりしていた。

地域で活動することの共通の想いや悩みを持つ学生たちが集まった空間は、熱気を帯びて交流が長い時間続いていた。

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ココロココ編集部

ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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