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2016年6月22日 岩手移住計画

住田町って?活動する地区って?ローカルコーディネーターって??その疑問、お答えします!

現在、「ローカルコーディネーターチーム(地域おこし協力隊)を募集中の岩手県住田町。

どんな地区でどんな活動をするのか、より具体的な活動内容をローカルコーディネーターの活動拠点となる4地区(大股、下有住、上有住、五葉)の各公民館を訪ね、町のみなさんにお話を聞きました。

大股地区:交流人口拡大コーディネーター

木造校舎や空き家を活用し、文化・歴史豊かな地域とソトの若者をつなぐ

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住田町中心部から車で10分ほどの大股地区は、宮沢賢治が愛した「種山ヶ原」や郷土芸能「大股神楽」、製鉄の歴史を今に伝える「栗木鉄山」など、自然と歴史豊かな地域です。そのシンボルが廃校を使用した「大股地区公民館」。木造のぬくもりある建物は今も住民に親しまれています。

住田町は東日本大震災で大きな被害を受けた陸前高田市などの沿岸自治体に隣接しており、当時はボランティアが住田町を拠点に活動しました。大股地区公民館はその宿泊拠点だったことから、今も大学のボランティアサークルがここを拠点に活動したり、5年前に活動したボランティアが訪ねて来たりします。

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大股地区公民館で高齢者の人気者になっているのが、明るい笑顔が素敵なこの地区の集落支援員・紺野和美さん。この校舎に通った卒業生で盛岡市で働いた後、住田に戻ってきました。「自分が子どもの頃よりも人が少なくなっていて、なんとかしたいという思いで働いています。ローカルコーディネーターと一緒にこの公民館を活用して大股を元気にしたいですね」

地区では、郷土史を研究し本にまとめたり、途絶えてしまった例祭の復活をめざす取り組み、旧道を歩くツアーのガイド養成など、年配の住民による住民活動が活発です。一方で地区に大きなイベントや行事がなく、住民の集まる機会が少ないのが課題。「大股のローカルコーディネーターは何もないところから地域のイベントや交流人口を増やす企画などを考えてつくりあげていける。可能性は無限大です」と紺野さん。着地型観光から地域福祉まで幅広い活動ができそうです。

 

下有住地区:遊休農地活用コーディネーター

遊休農地を利用し「食」や「農」を通じて都市と地域をつなぐ

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東日本大震災後、町内で一番大きな仮設住宅団地ができたことで、開かれた地域になったのが下有住地区。震災をきっかけに生まれた地域行事には町の全地域から人が集まり、仮設住宅の住民や企業のボランティアと一緒にそばの種まきから収穫、そば打ちまでを行うなど、町内外の交流も盛んです。

この地域のコーディネーターは、遊休農地を活用した都市部との交流人口拡大がミッション。また住田のコメや野菜の地域外への販路の拡大など食材の流通の構築も期待されています。

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公民館長・金野純一さんは企業ボランティアとの交流の経験から「農家自身が楽しんで満足して暮らしながら、それをソトの人たちにもおすそ分けする。そんな仕組みがつくれたら」という思いがあります。「都会の消費者」の視点やアイデアをもとにした企画、情報発信の手法が必要とされています。

「交流人口を増やす仕組みをつくりながら、自分でも野菜を育て販売することもできる。食べるにはことかかないから、コーディネーターは子どもも一緒に家族で来ればいい」と語る金野さんに、「農業はもちろんのこと、それだけではなく世代を超えて交流することを楽しめる人であれば、性別や未婚既婚関係なく、すぐにとけこめますよ」と横から補足するのは公民館に常駐する集落支援員・松田美代子さん。息の合った二人は自分たちの野菜の天ぷらと手打ちそばを来客にふるまうこともあり、二人といると自然におもてなしの心が身につきそうです。

 

上有住地区:地域資源プロモーター

地域資源をヨソモノ目線で掘り起こし、町内外につなぐ

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上有住地区は、レトロで素敵な「住田町民俗資料館(旧上有住小学校)」や昭和初期のアーチ型の「葉山めがね橋」(写真上)、樹齢270年の「一本松」など、どこか懐かしい風景が随所で見られる地域。

有住小学校に隣接する上有住地区公民館は、午後3時を過ぎると、下校のバスを待つ児童たちの声でにぎやかに。ここの児童は授業の一環で、地元高校の生徒と一緒に川遊びをしたり、奥州平泉の黄金文化を支えた砂金を取る体験をしたりと、地域資源に触れながら育っているそう。

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「私たち地元の人間が発見できない地元のいいところを見つけてほしい」とコーディネーターへ期待を寄せるのは公民館長・村上繁喜さんです。穏やかな笑顔で「時代や流行の変化でこれまでは見向きもされなかったものが注目されることもありますよね。上有住にもそういうものが眠っているのかもしれませんね」。さらに「私も仕事で全国を歩きましたが、住田の良さはひとですかね。中でも上有住は結束力のある地域です」。

公民館には、集落支援員・佐々木忍さんほか3名の20~30代の女性が勤務していて、なごやかで明るい雰囲気の職場です。佐々木さんは「商店街に意外なおもしろいお店があったり、兼業農家でいろいろな野菜をつくっていたり、当たり前にあるものの中におもしろさがあるかもしれない。一緒に探していきたいですね」とコーディネーターが来るのを楽しみにしています。

 

五葉地区:観光資源プランナー

五葉山や滝観洞など大自然の魅力を発信し、全国そして世界につなぐ

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つつじやシャクナゲが美しい山として親しまれている「五葉山」の山すそにある五葉地区。五葉山のほかにも、洞内滝日本一の鍾乳洞「滝観洞(ろうかんどう)」など、アウトドアやレジャーのスポットが豊富な地域です。また、伊達藩を支えた火縄の原料が五葉山から採られていたことから、「五葉山火縄銃鉄砲隊」がイベントで演武を披露しており知名度も上がってきています。

近年、インスタグラムやフェイスブックなどのSNSを通じて、外国人旅行者が地方に残る日本の風景や郷土食を発信することで、インバウンド(外国人旅行)の人気スポットになる例もあることから、広い視野で観光に取り組むコーディネーターが求められています。

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この地区の集落支援員・紺野満さんは会社員時代、10年間東京での単身赴任生活なども経験したからこそ、地元住田町そして五葉地区の良さも見えたと言います。「今ここにある自然を生かしながらできることをコーディネーターと一緒に考えていくのが楽しみですね。よそから来る人だから見えるものもある。一緒に地域を回って住民の声も聞いていきたい」と心強い言葉。

公民館長・川村勝人さんは地区への思いが人一倍強い熱血漢で、ご自身は職人として仕事をしながら「地域のために」と館長も続けてきました。桜並木の整備や公民館での地域の写真展なども企画するアイデアマンでもあります。川村さんは「外国人観光客の動向など世の中を見据えてツアーを企画したり発信したりと、やりがいのある仕事。盆踊りなどの地域行事にも積極的に参加して地域になじんでいってほしい」と語っていました。

 

町内でつながりながら住田の魅力を発信!

今回、募集している4名のローカルコーディネーターはそれぞれの地区公民館に席を置き活動しますが、役場の若手職員(サポーター)とも連携をとりながら活動を進めていくことになります。

担当する住田町役場・佐々木祐未さんは「個人で活動するのではなく、地域のみなさんと、そしてほかのローカルコーディネーターと連携できる体制をつくっています。町内でつながりながら住田の魅力を発信してほしい」と期待を込めて語ってくれました。

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岩手移住計画

岩手移住計画岩手移住計画は、岩手にUターン・Iターンした人たちの暮らしをもっと楽しくするお手伝いをし、定住につなげていくために活動している任意団体です。県内各地で、「岩手移住(IJU)者交流会」と題したイベントを開催しているほか、岩手県などが主催するUIターンイベントにメンバーが参加し、移住希望者の相談にも対応しています。首都圏と岩手をつなぐ活動にも力を入れています。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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