まずは信濃町を知るところから!
イベントのコーディネーターを務めたのは、野尻湖畔にあるゲストハウスLAMPの支配人・堀田樹さん。堀田さんのほどよくゆるい司会で、和やかにイベントが進んでいきます。
主催者である信濃町役場総務課定住促進係の高橋さんからは、「すぐに移住、ということではなくても、まずは信濃町のことを知っていただくこと、そして風光明媚な信濃町の良さを4名のゲストの話から感じていただければ」との想いが伝えられました。
それぞれの強みや持ち味を活かして信濃町に関わる「信州女子」たち
今回のイベントに登場する4人の「信州女子」をご紹介。1人目はデザイナーの久野紗都美さん。長野県小布施町の出身で、小布施町のフリーペーパー「あいうえおぶせ」を個人的に作り始めたことをきっかけにフリーランスになり、最近では信濃町の2016年版観光パンフレットや移住パンフレットの制作も担当。デザインはもちろん、企画・編集も含め携わっているそうです。
長野県佐久市出身の中野瞳さん。学生時代を東京で過ごし、現在は長野県内にある株式会社地元カンパニーにて「書きまくるライター」として全国各地の農家へ取材に回る日々を送っています。
平日は会社の仕事として各地を飛び回る一方、休日は、「私の休日を提供」して地元の情報を発信しているとのこと。これはどういうことかというと、長野県内限定で読者から寄せられた「一緒にやってほしいこと、手伝ってほしいこと」を、中野さんが休日にお手伝いに行くというもの。報酬は「やったことを記事にさせてもらうこと」。この活動を通じて自分の住む近隣だけではなく、県内エリアを知り、広く発信しているのだそう。ちなみに、ブログで「日本酒が好き」と書いたところ、手土産に地域の日本酒をいただく機会が圧倒的に増えたそうです(笑)。
長野県佐久市出身の小松瑞季さんは大学進学を機に上京。現在は株式会社さとゆめに入社し、「プランタン銀座」内のセレクトショップ「SATOYUME GINZA」の総合プロデュースを手掛けながら、信濃町の地域資源発掘やプロモーション、販路開拓などに取り組んでいます。今回のイベント後半で登場した信濃町のブランド米「朝米・夜米」も、小松さんの会社で企画・商品化したものだそうです。
埼玉県で建築を学ぶ大学4年生、徳竹美月さんは長野県信濃町生まれ。大学で得た知識を活かして信濃町でかまくらを作るイベントを開催したときは、口コミやビラ配りで告知を行いながら100人以上の人が集合。4mを超えるサイズのかまくらが完成したそうです。そのほか、古民家のリノベーションや空き家を解体した際の廃材で遊具を作るなど精力的に活動しており、「大学生という立場でもこういった活動の場を与えてくれる、そこが信濃町のいいところ」と語ります。
シャイだけれど暖かい人たちが穏やかに暮らす、信州
続いて、信州女子4名のトークライブに入ります。テーマは「ローカルの楽しみ方」。長野県ならではの楽しみ方をそれぞれに語っていただきます。
徳竹さんは信濃町を出て埼玉で暮らす中で、「都心に比べて信濃町は自営業の家庭が多いので、自分たちで仕事を始める・作り出すという土台がある」町だと感じたと語ります。そして、とくに信濃町は人口に比べて自然の割合が非常に大きいためか、時間の流れ方がゆるやかとのこと。
中野さんは今も月2回ほど東京に行っているそうですが、「田舎の方が、面白い人が目立つ」と感じるそう。都心と比べての人口比率の違いなのか、「あの町は○○さんのところ」のように、長野県内の町々に対して、そこで面白い活動をしている人のイメージがつきやすいそう。
これには司会の堀田さんも同感なようで、自身が長野に来られた際にも翌日には多くの人に知れ渡っており、「長野に来てくれてありがとう!」と声をかけられたりしたのだとか。注目を集めてしまうことによって、ときには新しい取り組みになかなか地元の方がついてこられないというケースもあるそうですが、続けているうちに受け入れてもらえることもまた多いようで、「そのあたりはシャイな県民性が出ているような気がします」とのこと。
都心のように変化のスピードが早い環境ではない、穏やかな暮らしだからこそ、新しいものが馴染むまでに時間はかかるものの、ちゃんと価値のあるものは根付いていけるのでしょうね。
暖かく、柔らかさのある長野の県民性
小松さんも現在は埼玉で暮らしていますが、元々人とのふれあいが大好きとのことで「田舎と都会を比べると、やはり田舎のほうが人とのコミュニケーションが深い」と語ります。今でも地元に帰れば近所の人たちが「おかえり」と言ってくれる、自分の娘や孫のように感じながら接してくれる温度感がとても好きなのだそう。また、長野県内には数々のペンションや民宿があり、そういったところへ泊まりに行くのが楽しいそうです。ときにはスタッフの方が近くの森を案内してくれるなど、とても暖かい雰囲気のところが多いのだとか。
久野さんは元々京都にも興味があり、2016年の5月からは京都に住んでいるそう。今の京都の暮らしも楽しみつつ、「やはり離れてみてから長野の良さに気付く部分もありますね」と言います。京都での移動は基本的に電車やバスがメインになりますが、長野の生活は「車社会」。その分、ひとりになれる時間が作りやすいというメリットもあります。また、県民性の違いにも触れつつ、京都出身の堀田さんからも「京都に比べたら、長野の人はシャイな部分もあるが受け入れ体制が柔らかい」との意見が出ました。それまでずっと否定していた人であっても、こちらがちゃんと想いを伝えれば「やってごらん」と受け入れてくれる。そういった柔らかさを長野の人に感じるそうです。
信濃町は子どもも大人ものびのびと過ごせる自然豊かなところ
続いてのテーマは、さらに信濃町にフォーカスして「信濃町の良いところ」。とくに信濃町に関わりの深い久野さん、徳竹さんにお話を伺いました。
信濃町のパンフレットも制作している久野さんからは「自然が豊かで、写真がとても映える町。長野県内の自分の出身地と比べても、美しい景色だなと感じます」とデザイナーならではの視点から魅力を語ります。また、パンフレットを制作していく過程で「本当は魅力的なことがたくさんあるのに、地元の人たちはなかなかそれに気付いていない。それをうまく引き出すことができたら」と感じているそう。
徳竹さんからは、教育の環境について。周囲の小中学校が統合し、小中一貫の学校ができたことで、6歳から15歳までの子どもたちが同じ環境で過ごしているのだそうです。子ども同士でも年齢差がある中で過ごすことで、大人の輪にも入りやすくなるようで「子どもを連れて移住される方にとっても、良い環境なのではないか」とのことでした。子どもたちも自主的に雪像作りを企画したり、大人たちもそれを見守ったりと、のびのび活動できる環境があるのはいい経験になりそうです。
堀田さんからも信濃町ならではのローカルの楽しみ方が紹介されました。一番の魅力はアウトドアで遊べる環境が充実していること。ゲストハウスLAMPのある野尻湖はもちろん、信濃町からであれば30分くらいでどこかのスキー場にはたどり着ける、1時間ほどで新潟へも行けるので、スキーやスノボをやる人にはとても楽しめる環境。地元に住む人たちも大抵はスキー・スノボアイテムをいろいろ持っているので、仲良くなれば「古いので良ければ」と譲ってもらえることもあるようです。
食を通じて信州を感じよう!「信州一問一答」
続いては体感イベント「信州一問一答」! 信州に関する食材を使ったクイズに、実際にその食材を味わいながら答えていきます。
1問目はお米対決。2種類のお米を食べ比べて、信州のお米「朝米」がどちらかを当てます。
2問目は野菜対決。信州産の野菜は非常に甘くなるのが特徴。そこで2つのきゅうりを食べ比べてどちらが信州産なのかを当てます。
そして3問目はルバーブ対決。長野県外の人には馴染みの薄い「ルバーブ」。ルバーブのジャムを食べてみて、写真からどちらがルバーブかを当てます。
ルバーブジャムの正解は写真のB。信州の子どもたちにとっては「その辺の畑のルバーブを下校中につまむ」ほど身近な存在なのだそう。そのままではかなり酸味が強いので、砂糖で煮込んでジャムとして使用することが多いそうです。
野菜対決では多くの方が正解するなど、信州産にははっきりとしたうま味があるようです。それでも正解発表があるまでは皆さんドキドキしているようで、正解が出るたび大きな歓声が上がります。
全問正解された方には、信州のお米「朝米」または「夜米」とルバーブジャムがプレゼントされました!
信州の食材を楽しみながらの交流会
交流会では、信州の郷土料理「やたら」や信濃町産のお米「朝米」「夜米」、「信州ナスの南蛮味噌炒り」など信州産の食材づくし! 野菜のうま味と香味が絶妙な「やたら」はご飯のお供にぴったりです。「朝米」は後味のさっぱりした甘味を感じるあきたこまち。「夜米」は味の強いおかずにも負けないしっかりした味わいのこしひかり。
食材を実際に味わうということで、その地域の気候やそこで暮らす農家の生活についてもイメージがしやすくなります。「信州、信濃町はこんな雰囲気なのかな」と思わせるような温かなムードの中、参加者の皆さんも次々と料理を味わい信州や信濃町の話題に花を咲かせていました。
信濃町を舞台に、地方や農業への関わりを考えるツアーも!
信濃町では、8月6〜7日の2日間で「信州野菜マルシェ〜みんなで作る新しい「農活」〜」というツアーも企画しています。都会で生活しているとなかなか実際に農業に関わる機会が得られません。そこで実際に信濃町へ赴き、収穫体験や現地でのバーベキュー、マルシェでの販売を体験し、さらに「都会へ戻ったあと、どのように『農』と関わることができるか」を考えるワークショップです。体験のみならず、「その先の関わり方」まで見据えて取り組むことができるので、「地方や農業に興味はあるけれど、都会からどう関わっていいかわからない」という人にはいいきっかけになりそうなイベントですね!