KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭とは
風光明媚な海と山が織り成す豊かな自然に恵まれた茨城県北地域は、かつて岡倉天心や横山大観らが芸術創作活動の拠点とした五浦海岸、クリストのアンブレラ・プロジェクトで世界の注目を集めた里山をはじめ、独自の気候・風土や歴史、文化、食、地場産業など、多くの創造的な地域資源を有しています。
こうした資源の持つ潜在的な魅力をアートの力を介して引き出すことにより、新たな価値の発見と地域の活性化を図るため、日本最大規模となる広大な「KENPOKU」地域を舞台として、国際的な芸術祭を開催いたします。(県北芸術祭オフィシャルHPより)
出発地点は「常陸太田」駅
「常陸太田」駅から出発!駅を出ると感じたのは、空気がとっても美味しいことです!駅前の交差点を北へ進み、坂を登って、高台にある芸術祭の舞台・鯨ヶ丘地区へ向かいます!緩やかな登り坂を500mほど上ったところに、鯨の形をした盛り土のある「鯨が丘ふれあい広場」が見えてきます。
広場のところで道路が二手に分かれていて、右側を進むと「鯨ヶ丘商店街」へとつながる道です。左側を進むと芸術祭の舞台、常陸太田市郷土資料館「梅津会館」に到着。
▲「梅津会館」。外観は「サインズ オブ メモリー2016:鯨ケ丘のピンクの窓」(原高史)の一つとなっている
「梅津会館」は、1936(昭和11)年に当時の久慈郡太田村(現在の常陸太田市)出身の実業家、梅津福次郎による寄付で、「太田町役場」として建てられました。塔屋が付いた鉄筋コンクリートの近代的な建物は、当時「県下一の豪華庁舎」と評判だったそうです。建物の中には当時の役場の様子が再現されていました。
「梅津会館」では芸術祭の作品鑑賞パスポートが購入できました。パスポートは各会場に設置されたスタンプを押せるようになっていて、スタンプを30個以上集めると、県北地域の特産品が貰えるそうです!
パスポートをゲットして2F展示スペースに移動します。中には、カッターで建物部分をくりぬいた型紙のような巨大な茨城県の地図のアートが広がっていました。ニパン・オラニウェーさんの「イ/バ/ラ/キ」です。突如現れる白い地図の世界は圧巻でした!
▲「イ/バ/ラ/キ」(ニパン・オラニウェー)
鯨が丘地区をのんびり散策
「梅津会館」の外観や鯨ヶ丘地区の建物には、原高史さんのアートが施されていて、のんびりとお散歩するだけでも楽しいですね!鯨ヶ丘地区の街並みを眺めつつ商店街方面に移動します。
「リビングルーム」に到着です。このアートは、空き店舗に、地域の人たちが持ち寄った日用品を配置することで、街中にオープンな「居間」を出現させるというもの。かつて衣料品店だった「旧コウワ」が地域の協力のもと、創造的な空間に生まれ変わっています。文字通り「居間」ですので、ここで休憩もできちゃいますよ!
ちょっとお腹がすいてきたので、斜め向かいにある「くじら屋」で一休み。くじらの形をした人気のスイーツ「くじら焼き」を購入。味は小倉やクリームなどから選ぶことができてフワフワで美味しかったです!ついつい食べ過ぎちゃいそうです。
ここ鯨ヶ丘地区は高台にあり坂のある風景がとても美しい街!「木崎坂」「下井戸坂」「板谷坂」「塙坂」「東坂」「杉本坂」「十王坂」があり「太田七坂」と呼ばれていて絶景が楽しめます。鯨ヶ丘地区ではアートはもちろん、どこか懐かしい風景をのんびりと楽しむことができて大満足でした。
続いて常陸多賀エリアへ!
常陸太田市を後にしてバスで東へ約60分。茨城県北地域では海側にあたる日立市の常陸多賀エリアに到着しました。近くには美しい海岸線が広がる地域です。こちらのエリアではどんなアートに出会うことができるのでしょう。楽しみです!
駅前通りに沿って商店街が広がっています。商店街の中にある「多賀パルコ」は地域の人々の暮らしと賑わいを支えてきました。ここでは空き店舗や通りを活用したアートが街を彩っています。
▲「エレクトロニコス・ファンタスティコス! in 日立」(和田永)
最初に訪れたのは、古い電化製品を使ってオリジナルの楽器を生み出すアーティスト和田永(わだえい)さんの展示ブース。懐かしいブラウン管のテレビ画面をタッチすると音が出る不思議な楽器でした。大人も子どもも楽しそうに演奏していたのが印象的でした。
▲「スマイリー・バッグ・ポートレート」(青崎伸孝)
「多賀パルコ」には、レジ袋「スマイリーバッグ」に似顔絵を描いて仕上げた青崎伸孝さんのアートや、県北地域の土地の名前が書かれた懐かしい看板を使った中崎透さんのアートなどが盛りだくさん。
▲「看板屋なかざき」(中崎透)
「旧筑波銀行」ブース
次に訪れたのは、「旧筑波銀行」の建物跡を利用し展示しているブースです。
▲「ニット・インベーダー in 常陸多賀」(力石咲)
中に入ると、1階ではニットを利用した力石咲さんのアート、2階では廃ビニールやプラスチック素材を使った藤浩志さんのアートが所狭しと展示されていました。
▲「ポリプラネットカンパニー」(藤浩志)
その発想力とセンスには驚くばかり!私もアートの制作にチャレンジしてみようかなと思ってしまうほど、刺激的な場所です。
話題の「カドヤ」へ立ち寄り
駅に向かう帰りに、常陸多賀のシンボル的な建物「かどや」をリノベーションしたシェアオフィス(店舗)にショップがオープンしたと聞いて、立ち寄ってみました!「森のパン工房」と「café cream」の2店は、イートインもできる気軽に立ち寄れるオシャレな空間でした。
ホッと一息つける可愛らしいお店で、店内には懐かしいパン焼き機もありました。私は「白玉ぜんざい」と「メロンソーダ」を注文。心もお腹も大満足です。
11月20日(日)まで開催!
▲「常陸のおお田守る竜神」(國安孝昌)
今回まわったどの会場も、芸術祭のディレクター南條史生さんからのメッセージのとおり、海と山が織りなす豊かな自然や歴史と生活に彩られた町の中に「驚きと感動」を誘う最先端の芸術作品で満ち溢れていて、なんだかより茨城県北が身近に感じることができた1日でした!今回は一部をご紹介しましたが、「茨城県北芸術祭」では、他にも魅力的な作品がたくさん展示されています。今年は2016年11月20日(日)までが開催期間となっています。日々に忙殺されて、なかなかリフレッシュできないあなたも、少し足を延ばして美しい県北地域の風景と魅力的なアートの世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。