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『ローカルシフト』vol.1 ”今、地方がオモシロイ!? 地方移住や地方暮らしが盛り上がるワケ!”イベントレポート

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最近、『地方移住』、『田舎暮らし』に関心のある方が、あなたの知り合いの中でも、多くなっているのを感じませんか?

数年前までの『地方移住』のイメージでは、いわゆるリタイア世代(50-60代)が、仕事を定年退職し、農業などをしながら田舎でゆっくり暮らそうとする人たちのイメージが強かったように思います。

近年、東日本大震災や原発事故のソーシャルインパクトを契機に、若者(20代後半〜40代)の間で、都心の電力不足や交通麻痺などの都市機能の脆弱性から感じる暮らしへの不安、原発事故の放射能から身の危険を感じた避難は、都会の人々に大きなインパクトを与えました。それに加えて、震災以前から存在していた顔の見えない「食」の安全性への不安や満員電車の通勤ラッシュや終電まで働く働き方など、都会の暮らしへの疑問や疲れを潜在的に感じていた人が多かったことも影響しています。

そんな若者が、都会の暮らしから、田舎の暮らしへの憧れを抱き、田舎の豊かさや、お裾分けの文化、生産者の顔が見える食、自然溢れる環境での子育てなどを求めて、地方への移住や移住の関心が高まっています。

そのような中で、“『ローカルシフト』〜地方移住・地方暮らしの今とリアルを考える〜”では、リアルな場を通じて、地方暮らしの実践者と、地方暮らしに関心がある参加者と一緒に、地方移住や地方暮らしの最前線のコトについて、一緒に考え、交流して行きたいと思います。

まずは、3回連続イベントの第1回目をご紹介します。

ローカルシフト1

まずは、アイスブレイクをした後に、イントロダクションで、ローカルシフトの主旨を説明します。

ローカルシフトは、「地方連携のエンジンの東京につくる」という目的で立上がりました。

東京一極集中ではなく、若い世代が地方の価値が再認識し、地方移住や地方プロジェクトの機運が高まっています。
そのような中で、「地方暮らし・地方プロジェクトを参加者と一緒に考える場を作っていきたい」、と泉山が説明しました。

ローカルシフトを主宰する“お茶の水スキマ大学”は、東京・千代田区・お茶の水という、多様な文化・歴史が息づく学生街で、街の”スキマ”を面白く、豊かに埋めていく、ソーシャル大学。地方出身者の集積地でもあり、地方連携のハブとしての東京のエンジンをつくることを目指しています。

そんな”お茶の水スキマ大学”と”ココロココ”が連携して、全国の地方移住や暮らしの実践者の方々と関心ある参加者の方々と一緒に、”ローカルシフト”を考えていきたいと思います。

 

ローカルシフト1

 

そして、ココロココ編集長の奈良さんより、”地方移住・交流WEBマガジン『ココロココ』の立ち上げの経緯や内容を説明していただきました。

 

“首都圏の地域プロモーション事業からスタートした(株)ココロマチ。東日本大震災をきっかけに東北被災地で取材スタートし、地方の課題を実感しました。地方の現状を目の当たりにして、何か出来ることは無いかと、首都圏と地方のご縁を結ぶWEBマガジン『ココロココ』を2013年12月にスタートしました。”

“『ココロココ』の目指すところは、「移住に興味がある層」と「移住した人」を繫ぎ交流することで、地方の活性化を促進すること。また、今回の『ローカルシフト』イベントのようなリアルなイベントを主催、紹介していきます。これを機に移住した人が記事などのコンテンツを提供する形も出てきています。WEBマガジンとリアルイベントや通信販売などを軸として展開していきたい。”

と説明いただきました。

ローカルシフト1

説明が終わり、ゲストプレゼンに入ります!
1人目は、須賀大介さん。

“島根、福岡の取り組みをしていて、スマートデザインアソシエーションというWEB制作会社を経営しています。実際移住してみてわかった、移住のリアルな現場状況を話していきたい。”

と語り始めます。

 

“12年前、web制作の会社を起業。7年前に茨城の同級生のITのエンジニアがいちご農家になった。一緒に下北沢でママンカ市場を始め、生産者と消費者を繋ぐマルシェを始めた。そこで、農家や地方を応援したいという気持ちが強くなった。
しかし東京ではリアルな現場が体験出来ず、本当の意味で自分は地方の問題を解っているのか?”

と疑問を感じたそうです。

 

“西村佳哲さんの本に影響を受け、「スキル、手法、手段から、あり方」から、自分の人生を作り直したいと感じた。
そして、35人のスタッフに移住をすることを打ち明け、移住先、福岡県糸島を選んだ。
羽田から1時間半。中心地から電車で30分。透明度の高い海、夕日、海の表情が違う。こういうところで日々を送りたいと決意した。
移住して変わったこと。それは、家族を中心した生活、自然と農業に触れる日々だ。コドモの顔がいきいきと変わってきた。歩いて3分で海、家賃も安い。”

と福岡・糸島への移住の決意と移住の経験から得たことを語る須賀さん。

現在、4拠点福岡、沖縄、茨城、下北沢で働く、ご自身の働き方を定義しました。

 

“移住する前、会社は『タイタニック型』だった。大きな豪華客船のように、価値観を共有したり意思決定が遅い。
これからは「小型船団型」にしたい。それぞれの拠点や現場で意思決定可能な組織体制や働き方。
社長がいない職場環境で、半分社員も辞めていった。残った空間をシェアオフィス『the Association』に変えた。”

という。参加者の皆さんは、眼からウロコの働き方でした。

 

“現在移住して何をしているか?というと…
糸島、福岡、島根雲南のプロジェクトやweb designingで『ローカルクリエイティブのススメ』連載企画を取材するなどをしている。
糸島エリアの取材では、自分で取って、裁いて、食べる、そういう生活をしている女性・畠山千春ちゃん。築150年の古民家をシェアハウスに。段々畑に囲まれる場所。家賃15000円くらい。にわとりを殺して裁いて食べる。
東京に居るときより、地方に居る方が活動の幅が大きく広がっている。”

と、東京から地方にシフトして、活動やネットワークが広がり、地方の豊かさなどを感じる須賀さん。

また、福岡移住計画と島根県雲南市の取り組みについて、説明いただきました。

 

“地域を知るきっかけをつくる→福岡に来てもらう→移住者を暖かく見守る、サポートする。仕事を紹介したり、人を繋げたりなどを行っている。
3月の福岡市と福岡移住計画のイベントを行った。160席に対して300名の応募。興味ある人が多いと実感している。
ゲストに、移住者、アートディレクター、編集者、広告マンなどをお呼びした。
福岡のいいところは、経済的にも東京に近い。田舎暮らしと都会暮らしを両方体験出来る。
糸島では、移住者の短期滞在施設をスーパーを改装して作った。
島根県雲南市では、NPO、市役所、リビタなどと古民家にシェアハウス、シェアオフィスにするプロジェクトを行っている。”

最後に、

“東京生活よりも、地域に深く結びついてモノをつくるということを実感している。太い根っこが生える感覚がある。自分の仕事を作っているという感覚が強い。
いつでも返れる場所、居場所、フルサトが複数持てるのが今の生活の利点。これからの生き方に必要なのではないか。
今あるスキルや過去にとらわれなくても、新しい仕事を作り出せる余白がある。東京と地方、地方と地方を結びつけることで新しいことが生まれる。”

と、移住しての実感を総括してもらいました。

「太い根っこが生える感覚」というのは、須賀さんの独特の感覚かもしれませんが、その場所や地域に根ざして、暮らしや生活、食などが根付いている感覚かもしれないですね。実践されている須賀さんの言葉には「リアルさ」と「想い」がありました。

ローカルシフト1

続いて、2人目のゲストの、地域の魅力や人を取材されているライターの田尻(齋藤)めぐみさんです。

フリーライターで音楽の友社で働いた後、独立し、全国を取材しています。

“今日は、宮崎の事例を紹介する。
東京では宮崎県民のコミュニティが強くある。移住者が地域に入り込んだ成功事例。
宮崎県日南市、飫肥杉(オビスギ)のプロジェクト。地域、自治体、移住者など、東京にいる宮崎の県民者が関わっている。”


こちらの飫肥杉プロジェクトは、以前、ココロココでも田尻さんからご紹介いただきました。

 

“飫肥杉は、江戸時代から建材として有名だったが、海外の輸入材によってニーズが減り、林だけが残ってしまった。
そして、日南市役所が「飫肥杉課」を立ち上げる。地域として再生させたいという想いから生まれた。変わったのは、杉ではなく人だった。
杉をデザインするプロジェクトで、宮崎県民がUターンして再生に取り組む。クラウドファンディング「FAAVO」を使って、日本ではなく世界にアピールしていくプロジェクトを実施した。
世界展開するためのイベントを宮崎や東京で開催し、様々な人達がプロジェクトに賛同し波及した。保育園、小学校、女子高生、市長などまちぐるみでファンディングを達成した。
市民と林業の距離が近くなり、地域資源を住民が再発見できた。それによって、知名度があがり、林業が新しいブームになった。”

と、プロジェクトの盛り上がりの状況を語る、田尻さん。

そこで、移住者が入ったメリットを語りました。

“東京から来た人は場づくり、情報発信力に長けている。田舎への劣等感がなく、むしろ可能性を感じている。地域の魅力を発見出来る。固定観念の打破、古いしきたりなどにとらわれない、ネットビジネスなどの知識、マーケットの知識などなど。
まちづくり成功の秘訣とは、移住者が「楽しむ」意識ではないか。多くの人を巻き込み、明確な目標をもつ。不憫さを楽しみ、地域にも必ず眠れる「宝」がある。”

最後に

“地域の持つ限りない可能性とコンテンツ、人の想いがマッチした時の強さ、誰でも地域の開拓者になれる。”

と、総括していただきました。

ローカルシフト1

続いて、ディスカッションです。
9つのキーワードを提示し、気になるキーワードについて、ディスカッションをしました。

まずは、「2地域居住」について。

田尻さん:新島と東京の事例がある。月から金曜日は東京で仕事。土日に新島で農業、デザインをする人がいる。ただ、体力が必要で、交通費もかかる。新島に行くことで、平日の東京の仕事にもいい影響。20人で毎週行っている。
泉山:私も昨年五島列島に行って感じたこととして、移住と行っても、集落や農村と、島では環境が違うと感じている。その辺は、分けて議論をした方が良いかもしれないですね。

>>五島列島のベントレポートはこちら
 五島列島・島デザイン若者会議(シマカイ)デザインサロン イベントレポート   https://cocolococo.jp/topics/goto-shimakai2014-salon-report

須賀:ボクは他地域居住。日常生活の95%が福岡にいる。ただ、東京に月1でもホテルに宿泊すれば家賃分くらいいってしまう。難しい面がある、東京にゲストハウスがあれば。
泉山:お茶の水スキマ大学でも議論しているが、神田の空きビルがたくさんあるので、ちょっとだけ泊まれるスキマ活用も考えている。実現したら、地方の人が東京に格安で泊まれ、助かりますよね。

ここで、参加者からの質疑を受け付けます。

参加者丸の内朝大学ニッポン移住クラスに通っている。移住がトレンドになってきている。三重、富山いろいろな地方でプロジェクトをしている。そこで、感じるのが、観光でいくだけでは、地域に繋がれていない現状があり、限界を感じている。もう一歩進めていくレベルが必要で、移住を目標にしないと本来の意味に繋がっていかない。地域のコアと移住者の間に、地域側に中立なキーマンがいるとうまくいくのではないか。
泉山:観光→移住になるというステップではあるが、観光に偏ったプロジェクトが多いということですよね。
須賀さん:観光も地域で力が分散しているところも感じている。形を変えていかないと、うまく回っていかない。

泉山:東京でいくつも似た移住イベントがあるが、その辺の状況はどうか?
須賀さん:移住に関心のあるイベントが多いことはいいことだと思う。いろんな視点、いろんな形で地方に目が向いていることはありがたいと思う。
参加者:なぜローカル志向なのか?自身は地方出身者で、若者がなぜ今、移住に関心があるのかを聞いてみたい。
田尻さん:一昔前、日本は追いつき追い越せという時代だった。現在は、田舎への劣等感なども薄れ、本質的に暮らしを考えている。東日本大震災があり、誰もが自分にとっての幸せを考えるタイミングがあった。
須賀さん:東京にいると経済の中にいる。売上だとか利益だとかそういうものが優先した。なぜ起業したという本来の、人と人を繋ぐものづくりをしたいという気持ちが見えなくってしまったところがあった。現在は地方に行って、給料が減ってしまったが、すごく暮らしに満足している。またその生活があるからこそ、エネルギーを得ている。

ローカルシフト1

移住ワークショップに入ります。

移住ワークショップという新しい試みを行います。
シャッフルされた4グループに分かれ、
①『地方移住や暮らしへの憧れ、関心について』
②『地方や田舎でやりたいこと、課題』
③『地方移住や暮らしに関して知りたいこと』
の3つについて、ディスカッションをしながら、議論を共有していきます!

ローカルシフト1

『仕事はどうするのか?』
『家探しってどうするの?』
『田舎のスローな時間って憧れるよね』
など、各テーブルから、様々な地方移住への憧れ、課題、知りたいことなどが聞こえてきます!

ローカルシフト1

そして、グループプレゼンです!
各グループで議論をしてもらったことを発表してもらいました!

 

ローカルシフト1

 

“「知りたいこと」は、月の収入が気になる、地方に移住するとどんな生活が待っているのか?
都会生活との比較、どういう水準になっているのか、豊かな基準として、「まちの基準」「自然の基準」があるのではないか。人間本来の基準が存在すると思う、ということ。

「課題」として、移住して戻ってしまう人もいる。移住先とがマッチしていなかったのが問題だったのでは?

「やりたいこと」は、農業。農業といっても農協に預けるのではなく、自分たちでブランドを立ち上げるというすべてをやっていく必要がある。

「地方の憧れ」は、移住先でのビジネスチャンスは?地域の資源と、自分の得意分野を掛け合わせていくべきではないか。”

という発表でした。

ローカルシフト1

 

“地方移住についての「憧れ」は、戻る場所があるということ。自分が居る場所が他にもできること。気持ちの余裕ができる。
通勤が楽、時間的な余裕。車に乗って通勤することも気持ちに余裕ができる。
また、人との距離感が近い。東京は人が多いけど、人の繋がりが薄い。地方は一人一人の存在感が大きいのではないか。そういうものが生活の質を上げていけるのでは。

「やりたいこと」は、メダカの養殖。田んぼでメダカを飼う。地域の中で循環できる、仕事のシステムを作りたい。

「課題」として、雇用の問題。仕事は何でもいいのか?地元の人の仕事を奪ってしまうのはダメ。新しい仕事を作ることで地元にも貢献出来るのではないか。
田舎暮らしでもガスなど基本的な部分はかかる。現実的なコストを知りたい。どうやって移住先を見つけるかも課題。”

ローカルシフト1

 

“震災があったことが大きい。「憧れ」というより、地方に何かしたいという気持ちが多くなってきたのではないか。
地元の人や移住の人でも、面白い人が多い。そういう部分が関心に繋がっている。

「課題」は、移住をサポートする体系がないこと。
知らないことがもったいない。地方の人が東京に出てくる感覚のように、東京の人が地方にいくという感覚になっていくといいと思う。東京にいて、知らなかったということを最近思っている。”

ローカルシフト1

 

“人間との関わリ方や表現、その地域らしさがあることが魅力。

「やりたいこと」は、都会に居る人は地方にあるリアルについてそもそも頭に浮かばない。その情報を発信することが重要。

「課題」は、仕事や子どもの子育てが課題。仕事は手に職を付けている人が多い。サラリーマンなどの人はどう移住すればいいのか。”

4グループのプレゼンの中で、若者の間で地方移住について、なぜ関心が高まっているのか。少しだけ分かったような気がします。何より、参加者の皆さんが、楽しそうに地方移住などについて、話す姿が印象的でした。

ローカルシフト1

そして、ここから、green drinksお茶の水【LOCAL】ということで、おいしい食事とお酒を飲みながら、ゲスト、参加者問わず、交流します。

ローカルシフト1

食事を準備していただいたのは、神保町バルBILBIさん。装飾としてのタケノコを置くセンスや食事を風景のように飾るフードスケープが素晴らしく、見る者を見た目でも魅了させます。

ローカルシフト1

そして、ドリンクは、ビールや宮崎の「黒霧島」など、参加者もゲストも交わり、楽しく交流しました。各自の地方移住についての憧れや悩み、これから移住しようと思っているマイプランなどを楽しそうに語る姿は印象的です。それぞれの想いなどを各自がワークショップよりも吐き出し、非常に盛り上がりました。

ローカルシフト1

最後に、参加者が一堂に輪になり、今日の全体の感想や印象、地方移住やライフスタイルへの想いなどを全体で共有しました。地方移住について具体的に考えている人も、いつか移住したいというような、ゆるく移住について考えている人も、それぞれつながり、フラットに想いを共有する場は、green drinksお茶の水ならではかもしれないですね。

今回初めて行われた、green drinksお茶の水【LOCAL】は、これまでの学生中心のコミュニティとは違い、20-40代の移住に関心のある若い社会人が多く、東京に地方連携や地方移住に関心のあるコミュニティやエンジンを作っていきたいですね。

ココロココ編集部
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ココロココ編集部

ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

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