記事検索
HOME > はたらく > 地域おこし >
2022年10月22日 北山公路

”日本のふるさと”岩手県遠野市で地域おこし協力隊員7名募集!~ Vol.1 「募集概要&情報発信分野」編 ~

四国4県と同じぐらいの広さを持つ岩手県ですが、ざっくりふたつのエリアで語られます。新幹線や高速道路が通り、首都圏をはじめとした全国との窓口となっている内陸部と、豊富な海産物とリアス式海岸が観光客に人気の沿岸部。その内陸部と沿岸部を結ぶ、藩政時代からの交通の要衝となっているのが遠野市です。東日本大震災の時にも、沿岸部への対応基地が作られ、支援の中心となってきました。新幹線の駅や空港がある花巻市とは釜石線で直結、震災復興事業により高規格の釜石道も通って便利になった遠野市では、今回7名の地域おこし協力隊員募集を行っています。その詳細について、分野別に3回に分けてお伝えします。

Vol.2 「観光分野」編
Vol.3 「 農業分野」編 

日本の原風景が残る民話の里、遠野

釜石線の遠野駅に降り立つと、レトロな石造りの駅舎がお出迎え。この風景が遠野のまちの雰囲気をよく表しています。駅周辺でも、蔵や古民家をはじめとした昔懐かしい風景が目に入ってきます。

JR「遠野」駅

北上山地の山々に四方を囲まれた遠野市は、人口約25,000人(2022年10月1日現在)。
盆地らしく寒暖の差が大きい気候で、特に冬は北国岩手の中でも寒さが厳しい地域です。
基幹産業は農業や林業で、特に農業は米が中心。約60年前から、寒暖の差が激しい気候に合ったホップ栽培が始まり、全国でもトップクラスの生産量となっています。

また、柳田國男による『遠野物語』の舞台としても知られ、「カッパ淵」など、ゆかりの地やレトロな町並み、昔ながらの自然豊かな風景を見に訪れる「遠野ファン」が増えていて、観光業も大いに期待されます。かつては馬が身近な暮らしで、馬とともに生活する南部曲り家という古民家も観光スポットとなっています。

カッパ淵。カッパのえさとなるキュウリが吊るされている。

遠野物語の世界や自然とともに生きる暮らしを求めて、ここ数年若い移住者も増えてきていて、イノベーションを図ろうとしている地元の若手とともに新しいコミュニティが形成され、新たな地域プロジェクト・ビジネスなども生まれてきています。

遠野醸造外観
若手移住者が起業してオープンした「遠野醸造 TAPROOM」では、遠野産ホップを使ったクラフトビールが飲める(→以前の取材記事

3つの分野で7つのミッションの地域おこし協力隊を募集!

地域おこし協力隊を担当する遠野市役所産業部産業企画課主事の澤村和希さんによると、今回の募集では、「農業分野」「観光分野」「情報発信分野」の3つの分野で、合計7つのミッションを担う方を求めているとのこと。それぞれのミッションの概要をご紹介しましょう。

地域おこし協力隊を担当する産業企画課の澤村さん

■観光分野
今後の遠野の観光やプロモーション、ツアーガイドの担い手を、下記の3つのプロジェクトで求めています。

・遠野市の観光施設磨き上げプロジェクト(遠野ふるさと商社)
・民話のふるさと遠野・観光コーディネーター(遠野市観光協会)
・遠野旅の産直プロジェクト(遠野山・里・暮らしネットワーク)

古民家が並び、懐かしい風景や文化をコンテンツとしている遠野ふるさと村や伝承園でのガイド&プランナー、グリーンツーリズムや移住・定住を進めるためのツアーガイド&コーディネーター、そして遠野観光全体のコンサルタント、コーディネート業務。それぞれの受入れ企業・団地にてミッションに取り組んでいただきます。

■農業分野
基幹産業である農業後継者として新規就農や生産者を目指す方々を、下記3つのプロジェクトで募集しています。

・ピーマン(ハウス)栽培の確立とかっぱの里発信プロジェクト(遠野こがらせ農産)
・わさびの品種選抜プロジェクト(遠野わさび公社)
・まごころワインプロジェクト(遠野まごころネット)

施設を使って効率的な生産を目指すピーマンのハウス栽培、特産のわさび生産を支える担い手、どぶろく特区やビールの里構想に続く遠野の新たなコンテンツとして、ぶどう栽培者やワインづくり担当者が求められています。基本的に、3年間の任期中にノウハウやスキルを身につけていただきます。

■情報発信分野
遠野地域全体の魅力発見、発信の仕事の担い手を求めています。

・地域の魅力を創出するコンテンツコーディネーター

遠野が持つ魅力を外から目線で掘り起こし、ケーブルテレビで紹介しつつ市民に情報発信してもらいます。こちらも任期中から遠野テレビで即戦力として活躍してもらい、任期終了後もそのままスタッフとしての勤務となります。

今回の募集は基本的に、それぞれ3年間の任期終了後はそのまま受け入れ企業や団体への雇用となったり、新規就農の道筋をつけられる「就職型」。任期後の進路までを見据えた採用となりますので、将来の生活設計も考えやすそうです。

また、7つの受入れ先で1名ずつの勤務となりますが、地域おこし協力隊としての同期7名、そしてすでに地域おこし協力隊として活動している先輩や協力隊OB移住者の方なども多くおり、定期的な交流の場もありますので、移住や仕事の悩みを仲間と共有しやすい環境も整っています。

地域の魅力を創出するコンテンツコーディネーター(株式会社遠野テレビ)

今回はまず最初に、情報発信分野のミッションについて詳しくご紹介します。
受け入れ先は、「株式会社遠野テレビ」です。

スタジオで収録をしている様子

同社は社員20名、平成12年設立の株式会社ですが、主な株主は遠野市や商工会、森林組合、JAなどで、ほぼ公的な企業といえます。設立当初からインターネットのプロバイダも担い、昨年度には遠野市内全域の光化が済んでいるそうです。
カバーするエリアは、遠野市全域と隣接の住田町全域。山に囲まれている地域なのでテレビ難視聴地域も多く、加入率は遠野市が85%、住田町は99%と、かなりの割合の世帯をカバーしています。
チャンネルは地上波にBS、CSを含めて38チャンネル。遠野テレビ独自番組用に2チャンネル持っています。

今回募集する地域おこし協力隊員には、その地域チャンネル番組制作を担っていただきます。主な仕事は地域密着の情報を拾ってきての発信。ネタ探し、原稿作成から撮影、編集まで一通りお願いする予定とのこと。

カメラを持って撮影に。遠野テレビではネタ探しから撮影、編集までを一人で担当することも多いそう

ネタの拾い方や原稿の書き方、カメラの操作、編集操作など、もちろん経験者だとスムーズに業務に入っていけるとは思いますが、
「一番重要なのは地域に興味を持ってもらえるかということです」と、サポート役になる報道制作グループサブマネージャーの菊池裕さんが語ってくれました。

今回の地域おこし協力隊受入れを担当する報道制作グループサブマネージャー菊池裕さん

「それと、やはり住民の中に飛び込んでの取材となりますので、コミュニケーション能力も重要ですね。」

遠野テレビとして地域おこし協力隊を受け入れるのは初めてですが、現在も、別ミッションを持った協力隊が2名、アナウンサー業務を手伝っているとのこと。
自らアナウンサーとなって画面に映ることにより、住民に顔を覚えてもらい、地域活動がしやすくなっているのだそう。

地域に飛び込んで、移住者ならではの外から目線で、地域の魅力を掘り起こしてくれる方が求められています。

3年間の任期後は遠野テレビのスタッフとしてそのまま仕事を続けてもらう予定だそうです。何にでも興味を持ち、ポジティブに、フットワーク良く地域の中に入っていける方。様々な立場や年代の方々と幅広く交友を拡げていける方。遠野地方の歴史や文化、農村の生活に興味を持てる方。そういう方なら機械の操作スキルや取材ノウハウもすぐに身につけられると思います。

地域密着のメディアの世界に飛び込んでみませんか?

募集詳細・エントリー

募集の詳細、応募条件等は下記をご確認ください。

募集は締め切りました

<応募に関するお問い合わせ>
一般社団法人遠野市観光協会
住所:〒028‐0522 岩手県遠野市新穀町5-8
E-mail:cooperation-team@tonojikan.jp
電話:0198-62-1333
担当:千田

北山公路
記事一覧へ
私が紹介しました

北山公路

北山公路出版プロデューサー、ディレクター、編集者 合同会社オフィス風屋代表、有限責任事業組合machi R&E組合員 1960年岩手県花巻市生まれ、在住。印刷会社役員を経て2015年Office風屋設立。出版社などの書籍や雑誌のプロデュース&編集のほか、地元自治体のプロモーションツールなど制作。2017年「マルカン大食堂の奇跡」(双葉社)執筆。2017年4月より花巻まち散歩マガジンMachicoco発行。日本ペンクラブ会員。

人と風土の
物語を編む

 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

人と風土の物語を編む