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2016年4月18日 ベリーマッチとちぎ

栃木の老舗企業で新たなプロジェクトに挑戦!地域活動にも積極的に参加 岩下食品・早川友里恵さん

街中を流れる巴波川(うずまがわ)の水運によって、商業の街として栄えてきた栃木市。今でも重厚な見世蔵や土蔵が数多く残り、「蔵の街」として知られている。

この栃木市で1899年に創業し、新生姜やらっきょうなどの食品を製造してきた「岩下食品」。宇都宮市出身で、大学時代をつくば市で過ごした早川友里恵さんは、2011年4月に岩下食品に入社。ウェブサイトのリニューアルや「岩下の新生姜ミュージアム」の立ち上げなど、新たなプロジェクトに携わってきた。また、栃木市の街中に誕生したシェアスペース「ぽたり」のイベントに参加するなど、地域活動にも積極的に取り組んでいる。

就職活動では都内の企業も受けたという早川さんに、栃木で働く魅力、暮らす楽しみについてうかがった。

のびやかな街の雰囲気にひかれて

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「就活を始めたばかりの頃は、東京で働きたい、栃木に戻りたいといった希望はまだ明確にはなくて、当時は就職氷河期だったので、興味のある企業を必死になって受けていました」

そう話す早川友里恵さんは、宇都宮市の出身。茨城県の筑波大学で学び、就職活動では東京や愛知などにある食品メーカーを中心に回った。「岩下食品」を受けたのは新生姜やらっきょうなどのファンで、普段からよく食べていたからだという。

だんだんと選考が進み、どの企業に就職するのか、これからどこで暮らしていきたいかを真剣に考えたとき、頭に浮かんできたのは栃木市の街並みだった。

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「岩下食品の面接の日に早く着いてしまって、蔵が残る巴波川沿いなど、栃木の街を歩いて回ってみたんです。そしたら、街の雰囲気がすごくゆったりしていて、荒物屋さんや駄菓子屋さんなどのレトロで懐かしいお店もあれば、おしゃれな飲食店などの新しいお店も充実している。とても暮らしやすそうな街だなって感じました。逆に、面接でよく訪れていた東京は、立ち並ぶビルの圧迫感などに疲れてしまうことが多くて。私には、実家にも近く、のびのびとした雰囲気のこの街が合っていると思ったんです」

また、岩下食品では、高校で美術部に入っていた頃から独学で覚えた、イラストレーターやフォトショップの技術をいかせそうだったことも、大きな決め手に。こうして早川さんは2011年4月に栃木にUターン。岩下食品で働き始めた。

 

“しんしょうがくん”のブログをきっかけに、新プロジェクトへ

入社後、商品企画部に配属になった早川さんは、プレゼン資料や商品のポップ、チラシの制作などを担当。商品PRを目的としたイベントの企画・運営なども手がけてきた。3年目からは、ウェブサイトの更新も行うようになり、大幅なリニューアルも担当した。

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「更新をタイムリーに、内容も自社で自由に作り替えられるように、というのが会社の方針で。主要なところだけを制作会社さんにお願いして、あとは“HTML”や“CSS”について勉強しながら、なんとか自分たちでリニューアルを行いました」

その後、ネット通販も担当。入社5年目の現在では、サイトの運営だけではなく、得意先に納品に出かけたり、集金を行ったり、注文を受けてから商品を届けるまでのあらゆる仕事に携わっている。

そんななか、入社2年目から若手の先輩社員たちと一緒に、自発的にスタートしたのが「ちょっとそこまで新生姜」というブログだ。

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「ブログの主人公は、私がフェルトで手づくりした“しんしょうがくん”というキャラクター。この“しんしょうがくん”と一緒に、岩下の商品を使ったメニューを提供してくれている飲食店へ出かけたり、イベント出店の様子をレポートしたり、栃木の街並みを紹介したり、私たち自身も楽しみながら200件以上の記事をアップしてきました。すると、『なんか面白いことをやっている若手がいる』と社長の目にとまり、新たにオープンするミュージアムのプロジェクトに参加させてもらえることになったんです」

 

小さな会社だからこそ、多くのことに挑戦できる

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ミュージアムとは、2015年6月に栃木市内にオープンした「岩下の新生姜ミュージアム」のことだ。館内には、商品に関する展示だけではなく、新生姜を使った料理が味わえるカフェや新生姜の被り物をかぶって記念撮影できるコーナーや、岩下漬けの体験コーナーなど、遊び心あふれるコンテンツが充実している。

「私は主に『新生姜の部屋』を担当しました。ここは人間サイズになった新生姜が暮らす部屋をイメージして、細部まで新生姜にまつわるネタを散りばめています。新生姜と恋人になった気分で、さまざまな写真が撮影できるフォトスポットです!」

このほかにも、新生姜の被り物の企画や館内にあるジンジャー神社のおみくじ、絵馬のデザインなどを担当。クリスマスなどのイベント時には、飾りつけなどもすべて自分たちで行っている。

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「ミュージアムに来てくれたお客さまに『あの展示がすごく面白かった!』『初めてこの商品を食べたけど、おいしかった!』などの声をいただくと、ますますやる気がわいてきます。岩下食品の魅力は、大きな会社ではないので、いろんな仕事に携われるところ。自発的に動くことで、さまざまなことに挑戦できます」

 

どんどん広がっていく、街の人たちとのつながり

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毎朝、自転車で会社に向かう早川さん。通勤時間はわずか10分ほど、渋滞や満員電車に悩まされることはない。一方、住まいから栃木市の中心部へは、歩いて10分ほど。休日には散歩がてら、雑貨店や飲食店などに出かけることも多いという。

「栃木市には、おいしい飲食店が多くて、先輩たちとよく通っている市内のリゾット屋さんがミュージアムの料理を監修してくれたり、ファンだった洋菓子店が新生姜のマカロンを提供してくれたり、暮らしと仕事がつながっているところが楽しいですね。仲良くなったお店の方と一緒に、イベントやライブに出かけることもあるんです」

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また、ここ数年で栃木市の街中には、シェアスペース「ぽたり」や古道具と雑貨の店「MORO craft(モロクラフト)」など、若い人たちが営むお店が次々と誕生している。早川さんも、ぽたりで開催されているライブやワークショップ、飲み会などに参加。ぽたりをきっかけに知り合った大工さんが開催する、木工教室のサポートも行っている。

「ここ1、2年で、地元の友達が本当にたくさん増えました。今、栃木市では、同世代の若い人たちが地域を盛り上げようとさまざまな活動をしていて、街に活気があふれています。私も、さらにつながりを広げていきたい。そして、ウェブなどの得意分野をいかして、地域の活動にも積極的に関わっていきたいです」

早川さんにとってこの栃木の街は、仕事に打ち込む場所であり、普段の暮らしを楽しむ場所。さらに今では、新たな出会いが広がっていく大好きな場所に。

取材先

岩下食品・早川友里恵さん

栃木県宇都宮市出身。筑波大学を卒業後、2011年4月に栃木市の岩下食品に入社。ウェブサイトのリニューアルや、2015年にオープンした「岩下の新生姜ミュージアム」の立ち上げなど、数々の新たなプロジェクトに携わる。栃木市の中心部に誕生したシェアスペース「ぽたり」で開催されるイベントやワークショップなどに参加。若手大工チーム「BAUM」の木工教室の運営を手伝うなど、地域活動にも積極的に参加している。

●岩下食品 http://www.iwashita.co.jp/

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