はっきりと「仕事」をもって移住に挑む人がいる一方、何も考えずにその土地に飛び込んで行く人もいる。住む場所を選択することは人生を選ぶこと、その結果として「仕事」に出会う、というケースもあるので、単身での移住を考えているのならばありえない選択でもない。ただし、いくらかの蓄えと、「その場所で生きていく」という強い気持ちが必要かもしれない。パートナーや家族がいる場合には、こうはいかないだろう。生活を支えていくだけの基盤を考えることも必要だ。移住先での仕事について、いくつかの選択パターンに分けて考えてみよう。
【仕事探しのスタイル1】就職先をみつける
過疎がすすむ農村では就職先を見つけることは簡単ではないだろう。しかし、地方中核都市やその周辺部では一定数の求人が行われているのも事実。都会で勤めていた条件を一度リセットして、職種や賃金の条件を見直してみれば就職先は見つかる可能性はあるはず。都会とは違って車を使った通勤圏になると、思ったよりも選択の幅が広がる可能性もある。ハローワークや地元自治体の就業サポートも活用して探してみよう。ただし、タイミングは移住をする前に行っておきたい。まずは「住みたいな場所」での求人情報収集と、現地に足を運んでの仕事探しからスタートしてみよう。
●2年間は週末農業研修、会社員の職を辞して晴れて農家になったKさん
千葉県で農家の従業員として働くKさん。大学卒業後は会社員として勤めていたが、自分らしい生き方を探して体験農業研修に参加、農業を続けてみたいという思いを強くして、長期研修をさせてくれる農家を探したというアクティブな若者。週末の研修を2年続けた後に会社員をやめて農業の道へ。自分のやりたいことを見つけて、目標を実現させるためにしっかりと準備を重ねたお手本となる移住者だ。(TURNS3号)
●移住先で参加した勉強会のご縁で仕事も見つけたIさん
旅行で訪れた山形の街がとても大好きになり、知り合いになった友達のすすめもあって、5年後にとうとう移住してしまったIさん。転職サイトも探してみたがめぼしい仕事は見つからなかったので、頼りにしたのは地元のハローワーク。現地に住み始めてからも何度も通ったそう。最終的には町づくり勉強会のご縁で、伝統品や街の歴史を紹介する仕事に就くことになった。(TURNS2号)
●移住先で親しくなった友人から就職先を紹介してもらったYさん
田舎暮らしへの憧れを持ち続けていたYさんは、気に入った場所を見つけ、仕事のあてもなくまずは長野に移住してしまった。経験のある仕事は求人もなく、途方にくれかけていたときに地元で知り合った人から警備会社の仕事を紹介されて勤めることに。経験はなかったが、貴重な就職先を紹介してくれた人には感謝。これから移住する方には、仕事のめどをつけてから行動することをおすすめしますとアドバイスをくれた。