穏やかな平野に育まれた食と伝統文化
松阪市・伊勢市に隣接する明和町は、のどかな平野部で育てられた良質なお米や農産物、黒海苔・ひじきなどの海産物の産地だ。櫛田川の伏流水を使用した地酒も絶品で、町内には明治創業の老舗酒造会社が、昔ながらの製法にこだわった酒造りを現在も続けている。 江戸時代に庶民のお洒落着として愛された「御糸(みいと)織物(松阪木綿)」も特産品として知られており、植物の藍で糸を染め、反物を織るという全国でも珍しい一貫体制で生産を行っている。
語り継がれる古代神話の里
明和町は、飛鳥時代から南北朝時代までの約660年間、天皇の代理として伊勢神宮に仕えた斎王が暮らした歴史的な地。古代から綿々と続く神話の世界が今も息づいている。 斎王は人と神との懸け橋として、祈りの日々を送ったという。斎宮は国の平安と繁栄を願う精神の象徴でもあったのだ。
長らく謎に包まれていた“幻の宮”、斎宮の規模や変遷が明らかになったきっかけは、1970年に始まった発掘調査。1979年には、斎王の宮殿や、役所・斎宮寮を中心に広大な面積が「斎宮跡」として国の史跡に認定され、今後も調査が続けられるという。 「斎宮歴史博物館」では、斎宮跡解明に繋がった出土品や資料や、斎王の儀礼や群行を再現した映像を展示。「さいくう平安の社」では、最も重要な儀式が行われた3棟の建物が実物大で復元されており、当時の歴史や古代建築の奥深さを肌で感じることができる。
日本遺産が息づく町
2015年には、斎宮にまつわる文化・伝統の物語、「祈る皇女斎王のみやこ 斎宮」が、「日本遺産」として文化庁に指定された。「日本遺産」は、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーを認定し、その物語にまつわる有形・無形文化財を地域が主体となって整備・活用、国内外に発信していくことにより、地域の活性化を図る新たな制度だ。
国の天然記念物の町花、ハナショウブが咲き乱れる毎年6月には、「2日間に渡って、「斎王まつり」が開催される。目玉は、都から斎宮御所へ向かう斎王と、総勢200人の従者による「斎王群行」。艶やかな衣装を身にまとった女性たちと、明和太鼓や雅楽などが祭りに花を添え、王朝絵巻の再現を一目見ようと、県内外から多くの来場者が訪れる。この他にも、五穀豊穣・家内安全を願う「算所の祇園際」や、稲の害虫駆除のための「虫送り」、盆に行われる「志貴の精霊相撲」など、様々な祭りが行われ、地域住民の交流の場としても親しまれている。
伊勢、松阪に並ぶ新たなブランドを作る
三重県の二大ブランドとも言える「伊勢神宮」と「松阪牛」。その伊勢市と松阪市に挟まれた明和町は、史跡「斎宮跡」がありながらも、観光客数が伸び悩んでいました。 「明和町も観光に力を入れ、『斎宮』を中心に歴史を重視した町づくりを進めています。しかし今は伊勢市と松阪市の通過地点になっているのが現状です。将来的には伊勢と松阪の橋渡し役になれればという思いがあります」 そう話すのは、明和町役場の朝倉さん。観光を含め、明和町ブランドを確立するための新たな特産品づくりプロジェクトを中心となって進めている。
産学官が協同で取り組む「日本酒プロジェクト」もそのひとつ。「大学オリジナルのお酒を作りたい」と企画していた皇學館大学と、「米どころなので、町の特産品となるようなお酒を作ってはどうか」と考えていた明和町の思いが重なりスタートしたプロジェクトだ。地産地消にこだわり、三重県が開発した酒米「神の穂」を明和町内で育て、明和町と伊勢市の酒造メーカーで醸造する。2016年5月に田植えをし、11月に収穫した酒米は、すでに仕込みが始まり、12月には最初のお酒が出来上がる見込みだ。
さらに新年度からは「伝統工芸プロジェクト」も始まる。江戸時代から伊勢神宮の祭りで使われていた天然の藍染め「御糸織物」と革製品に似せた特殊な紙「擬革紙(ぎかくし)」を使い、伝統の技を継承、発展させるためのモノづくりを、大学や地元の企業を連携しながら進めていく。 今回明和町では、「この2つのプロジェクトを柱に、町の特産品を作ることを目標」に、産学官のつなぎ役となってプロジェクトを推進していく人材を募集する。「新たな風というか、違う角度か見て、『もっとこういうアイデアが入ったらおもしろくなるんじゃないか』など、自由に発案していただきたい」と朝倉さんは期待を寄せる。
皇學館大學、地元企業と明和町、そして協力隊でつくる将来の可能性
明和町に取材に訪れた11月は、すでに稲の刈り入れは終わっていたが、夏には青々とした、秋には黄金色に輝く稲穂が続く風景はさぞ美しいものだろうと想像させた。自然を近くに感じながらも、大型スーパーやコンビニ、飲食店などもあり、車さえあればそれほど不便さはない。 内湾の穏やかな気候の影響からか、住んでいる人も穏やか。伊勢市、松阪市、津市のベッドタウンということもあり、都会的な感覚を持った人も多いという。
それでも、知らない土地に一人で行くのは不安なことだ。その不安を少しでも解消できればと、明和町では2名の地域おこし協力隊を募集。2人1組での活動を考えている。 「1人で来て活動するのは大変なことだと思います。私がその立場だったら不安で、帰りたいと思うかもしれない(笑)。必ずしもいつも一緒に行動するということではないですが、基本的には2人で相談しながら、地域づくりに2人1組で関わってほしい。これまでの経験も違うと思うので、1+1が2ではなく、それ以上の効果を出せるのではと期待しています」 新たに加わる1+1、そこに明和町の産学官の力が合わされば、可能性は大きく広がっていくことだろう。
伝統が根付くまち、明和町が新たな一歩を踏み出す
伝統文化が根付くまち、明和町が新たな一歩を踏み出す 地域おこし協力隊の募集と並行して、更なる地域資源の発掘や住民の人材育成、観光客の受け入れ体制の充実にも取り組み始めた明和町。脈々と受け継がれてきた固有の風土が、これからどのように変化していくのか。歴史と自然と人の営みが織りなす新たな景色に期待が高まる。
【産学連携コーディネーター募集概要】
●雇用関係の有無
あり
●募集人材
産学連携コーディネーター:2名
●業務概要
(1)地方創生に関する事業・プロジェクトの伴走サポート
産学官連携で実施している日本酒づくりの継続的体制整備に向けた取り組み及びPR、ヘルスツーリズム導入に向けた取り組み
(2)特産品等を通じた観光・産業振興
産学連携で実施する伝統工芸品(御糸織や擬革紙等)の保存・継承や地域資源を活用した特産品開発などへの参画、新たな企画提案
(3)移住定住事業の推進
町の実施する移住定住事業の協力、移住者としてのアドバイス、PR活動
(4)その他、町の活性化に資するため必要な活動
観光、農水産業などの振興のため、情報発信のほか各種イベント行事に参加・協力
上記概要を中心に、明和町の抱える様々な課題を解決するため、地域振興施策(農業・商業・観光・教育・福祉・各種イベントなど)により町を活性化させることを目的としています。
特定の地域に入って活動するのではなく、明和町内全域の業務に携わり、産学官連携で進めている日本酒プロジェクトやその他の地方創生事業にも参画する中で、明和町のあらたな魅力を発見し、広げることも目指していただきます。
一人の移住者として、町民として、行政職員として、行政と連携した上で知識や技術を最大限活かし、あらゆる観点からの課題提起や提言、活動実施をお願いします。
●募集対象
① 平成29年4月1日時点で20歳以上の方
② 応募の時点で3大都市圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県及び奈良県の区域の全部をいう。)をはじめとする都市地域(過疎、山村、離島、半島等の対象地域又は指定地域を有していない市町村をいう。)等から生活拠点を町内へ移し、住民票を異動させることに了承する方(委嘱を受ける前に既に住民票を異動し、町内に定住・定着している者を除く。)
③ 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第16条に規定する欠格条項に該当せず、心身ともに健康で、誠実に業務を行うことができる方
④ 明和町の活性化のため活発に活動し、町の施策に協力できる方
⑤ 普通自動車運転免許を有する方
⑥ パソコン(ワード、エクセル、インターネット等)の一般的な操作のできる方
●募集人数
2人
●勤務地
三重県多気郡明和町内
●勤務時間
原則として1週間当たり38時間45分(月曜日~金曜日の午前8時30分~午後5時15分)とします。ただし、祝日及び年末年始(12月29日~翌年1月3日)は除きます。また、土日祝日等の勤務については振替対応とします
●雇用形態・期間
特別職の非常勤職員とします。活動期間は個別に相談しますが、年度末(各年の3月31日)までとします。ただし、活動に取り組む姿勢・成果等を考慮して、年度単位で更新することとし、最長で3年間まで延長することができます。
●報酬等
月額208,000円(この月額から社会保険料の本人負担部分等が控除されます。)
●待遇・福利厚生
① 社会保険(雇用保険、厚生年金、健康保険)に加入します。
② 住居手当、車両借上料、通信費等は別に定める額を報償費として支給します。
③ 住居について、不動産業者等の紹介は行いますが各自で手配をお願いします。引っ越し費用も個人負担となります。
④ 光熱水費等、生活に必要な費用は個人負担となります。
⑤ 職務に従事する間は原則として自家用車の利用となります。日常生活の移動手段として、自家用車は必要不可欠ですので各自で用意をお願いします。
⑥ 職務に従事する間に遭遇した事故・災害等については、三重県市町総合事務組合非常勤職員公務災害補償保険が適用されます。
⑦ 活動に必要な備品の購入費や研修参加費等は、予算の範囲内で町が負担します。
●応募方法
明和町地域おこし協力隊設置要綱に基づき、所定の様式及び添付書類を、下記の期間内に郵送または直接持参してください。
なお、添付書類については、履歴書(様式任意。顔写真付きのもの)、住民票(取得後3カ月以内のもの)、応募理由書(400字程度。様式任意)を添付するものとします
●申込受付期間・提出場所
随時受付
※ただし、予定数の採用が決定した場合には、その段階で受付を終了させていただくことがありますのでご了承ください。
明和町役場 防災企画課「地域おこし協力隊」係
〒515-0332 三重県多気郡明和町大字馬之上945番地
電 話:0596-52-7112 FAX:0596-52-7133
E-mail:bousai@town.mie-meiwa.lg.jp
●審査方法
【選考の流れ】
①1次選考
書類選考を行い、結果を応募者全員に文書で通知します。
②第2次選考
第1次選考合格者を対象に明和町役場で面接を行います。
日程等詳細については、第1次選考結果通知の際に合格者へお知らせします。
③最終選考結果の報告
第2次選考終了後、概ね7日程度で第2次選考者全員に文書で通知します。
●詳細
明和町HPもご覧ください
http://www.town.meiwa.mie.jp/main/gyousei/ijyu/1481687573072.html