「忠犬ハチ公」の生まれ故郷・秋田県大館市とは
大館市は秋田県の北部に位置する人口約7.3万人の街。隣接する青森県や岩手県へアクセスしやすいのが特徴です。
特産品は、広大な土地でのびのびと育てられる「比内地鶏」や天然杉を使った「曲げわっぱ」など。忠犬ハチ公で知られる「秋田犬(あきたいぬ)」でも有名です。秋田犬は今、海外からも大人気なんだとか。
東北の地域らしく冬の寒さは厳しく、降雪量も多いですが、一方で山々に囲まれた盆地のため、夏は暑くなります。大館市での暮らしは、四季の移り変わりを全身に感じられるものになるでしょう。
大館市が誇る最先端教育『大館ふるさとキャリア教育』とは
冒頭でご紹介した通り、大館市は教育レベルが高いことで知られています。
その秘密は、大館市が誇る『大館ふるさとキャリア教育』にあるとのこと。では、大館ふるさとキャリア教育とは一体何なのでしょうか?
若者が地元・大館市で羽ばたくために
市の人口7.3万人うち、小中学生は4,700人ほど(※平成30年3月末時点)。特に若者の人口が減っており、このままでは2040年までに自治体としての機能が保てなく恐れがあると言われています(消滅可能性都市に該当)。
そうした現状をしっかりと受け止めた大館市は、早い段階から「地域・ふるさと」をテーマに教育に取り組んできました。地元の良さを伝えながらも、子どもたちの可能性を広げていく……。
その結果、確かに地元が好きな若者が増え、子どもたちのキャリア育成の面からも選択肢は増えました。しかし、それだけでは若者の流出を抑えること、つまり「自分でも大館でやれるんだ!」と心から感じてもらうところまでは至らなかったのです。
そこで、1人ひとりが確実に大館市を支えるキーパーソンになれるよう、2012年から『大館ふるさとキャリア教育』が始まりました。この教育方針は大館市の独自のもので、子どもたちの人生を支える学力だけではなく、社会を生き抜く力や人間としての社会性・道徳性など、就学前〜大学を通して一貫した方針で学んでいきます。
子どもたちの未来を広げる2つの教育プログラム
その中でも特徴的な取り組みは、次の2つ。
① 子どもハローワーク
② 百花繚乱作戦
「子どもハローワーク」とは、文字通り、大館市の小中学生を対象としたハローワーク(職業体験)です。実際の仕事のように掲示板で仕事を探し、土日や長期休暇を使って体験します。
体験できる職種は、「保育士」や「伝統工芸」、「イベントスタッフ」「大学の医学部見学」など様々。いろんな職業を、時間の許すかぎり好きなだけ体験することができると、子どもたちはもちろん親御さんからも好評です。
「百花繚乱作戦」とは、市内の小中学校がその地域の特色を活かして、独自で取り組む教育プログラムです。合唱発表会や大館市のCM制作、修学旅行先での大館PRなど、色とりどりの花(取り組み)が咲き乱れます。中には、国から賞をいただいた活動もあるそう(※下記にてご紹介します)。
「私が学生の頃にこんなのがあったらな…。」と多くの方が感じたのではないでしょうか?
「こうした取り組みを6年間続けてきたら、『大館で働きたい!』という気持ちや『伝統工芸への興味』を持つ子どもたちが増えてきた」と担当者は語ります。
「教育アテンダント」の仕事内容
それでは、今回大館市が募集する「教育アテンダント」とは、一体どんなお仕事をする人なのでしょうか? また、地域おこし協力隊としてどのような人に来てほしいのかなどを、教育委員会の山本多鶴子(やまもと・たづこ)教育監に伺いました。
山本さん「大館ふるさとキャリア教育の目的は、未来の大館を担う人材の育成ですが、根底にあるのは『大館市をこれからも存続させること』。小手先の移住・定住支援ではなく、市の教育事業を武器にして多くの人に大館市の“ファン”になってもらい、その結果として人口増(移住・定住)に繋げていきたいと考えています。
そのため、今回募集する教育アテンダントに期待するのは、“教育事業を通じて大館市のファン(=関係人口)を増やす”こと。具体的には、大きく次の3つのお仕事を担当していただきます。」
「教育アテンダント」の仕事内容
① 教育視察への対応
教育視察として、大館市には毎年全国から数百名が訪れます。アテンダントのひとつ目の役割は、視察に訪れる方々の送迎やガイド。非常に様々な方が視察に訪れるため、初対面でも自然にコミュニケーションが取れる方が理想です。
また、視察案内には車を使うことがほとんど。主要駅や空港までの送迎、現地案内など、問題なく車を運転できる必要もアリ(※車は貸与あり)。
② 教育ツーリズムツアーの企画・実行
大館市のファンを増やす手法のひとつとして、教育事業と大館の文化(食・伝統工芸・温泉など)を実際に体験してもらう教育ツーリズムにも力を入れており、その企画を行います。
学校や地域住民と連携しながら、自分自身で企画を作り上げていくため、企画力や実行力が重要。また、市内の民間企業や地域の方とやりとりする機会も多いため、やはりコミュニケーション能力に自信のある方が適任です。
③ SNSや公式HPで「大館の教育」を全国発信
大館市の教育特徴をWeb上で発信し、①の視察や②の教育ツアーに繋げていきます。必ずしもWebに詳しい必須はありませんが、SNSなどを使った情報発信に抵抗がない方に依頼します。
全国発信の方法はWebに限らず、東京や大阪など全国で行われるイベントに参加するケースもあります。
「条件に合う方であれば、年齢や性別は問いません。」と山本さん。少しでも気になった方は、まずは気軽にご応募ください。
「大館ふるさとキャリア教育」に関わる人に聞きました
「大館ふるさとキャリア教育の生の声を聞きたい!」ということで、2名の方にお話を伺いました。
まず最初に訪れたのは、市内にある株式会社大館工芸社。大館市の伝統工芸品である曲げわっぱを作る老舗企業です。
「こんにちは!」と笑顔で迎えてくれたのは、入社5年目の斎藤千博(さいとう ちひろ)さん。斎藤さんは高校を卒業してすぐに入社したそうです。
どうして伝統工芸を選んだのか? 「曲げわっぱ」と大館ふるさとキャリア教育の関係とは? 23歳の彼女の想いを、聞いてきました。
きっかけは、最も身近な“ものづくり”
「今は、桜皮縫いと研磨を担当しています。」
曲げた木材を桜の皮で縫い止める“桜皮縫い”、そして専用のやすりで商品をツルツルに仕上げていく2つの工程が、彼女の役目だといいます。千博さんは高校生の頃に演劇をやっており、その活動の中でぼんやりと「ものづくりがしたい。」と思うようになったのだそう。大館市外の就職も検討する中で、今の会社を選んだ決め手は、“地元への想い”でした。
「就職先を探しているとき、担任の先生から『曲げわっぱはどう?』って聞かれて。ものづくりだし、小さい頃からずっと家の中にある身近なものだったので、興味を持ちました。そしてなにより、地元(大館)の役に立てるのかな…って思ったんです。」
そう語る彼女は、少し照れた顔をしながらも、製作工程や家庭にある曲げわっぱの話などをしてくれました。彼女によれば、今の市内の小学生は自分で作った曲げわっぱで給食を食べているのだそう!
「私たちのときはなかったので、いいなぁ……って感じですね(笑)。曲げわっぱはもちろん、小さい頃からいろんな伝統にたくさん触れてほしいなと思います。」
無意識の中にあった「曲げわっぱ」が、若者の新しく進む道になっていく。それを「自分の経験から子どもたちに伝えていきたい。」という姿勢を、斎藤さんから強く感じました。
最後に、斎藤さんの「大館の好きなところ」を聞いてみました。
「そうですね……、何もないところが好きですね。あとはやっぱり、自然が豊かなところでしょうか。」
曲げわっぱには樹齢150年程の天然杉を使うといいます。23歳の彼女が言う「何もない」とは、決して自虐的な意味ではありません。むしろ、伝統や自然を守るために積み重ねてきた“物質的ではない豊かさ”を、彼女は肌で感じているのかもしれませんね。
地域住民と一体で取り組む体験型教育プロジェクト
続いてお話を伺ったのは、大館市内にある釈迦内(しゃかない)小学校の三浦栄一(みうら えいいち)校長。先ほどご紹介した、百花繚乱作戦で文科省や経産省から賞をもらったという「釈迦内サンフラワープロジェクト(以下:釈迦内SP)」について聞かせていただきました。
「釈迦内SPでは、子どもたちがひまわりを栽培し、そこから採れるひまわり油を販売しています。出た利益はすべて子どもたちの教育に還元し、今年はそのお金で修学旅行を1日延長しました。」
「種まきから販売まで、つまり子どもたちだけで6次産業化するというのがこのプロジェクト。延長した修学旅行も、大館市内では体験が難しい漁業と畜産の体験に充てました。」
そう語る三浦校長は、「このプロジェクトは学校と地域の人々が一蓮托生になって取り組んでいる。」といいます。“学校と地域の連携”という言葉をよく“学校側”から聞きますが、そもそも地域が衰退すれば学校はなくなってしまいます。地域住民たちも含めみんなが自分事として取り組んでいることが、このプロジェクトのキーなのだそう。
つづいて、ひまわりをプロジェクトに選んだ理由を聞いてみました。
「この釈迦内小学校は、1874年に地域の教育施設として開校されました。そのときの名前が『向陽学校』、『向陽=ひまわり』なんです。元々のルーツを活かすことで長続きしますし、子どもたちにも自然と誇りが芽生えました。」
大館ふるさとキャリア教育は、「知る」ではなく「創る」教育。三浦校長は、最後にこう締めくくってくださいました。
「ないものに気がついたとき、それがダメだとは思わない。なければ創ればいい。そう思ってもらえる風土が、この大館にはあります。」
あなたからのご応募をお待ちしています!
「当たり前のことが当たり前にできている。」
大館市に視察に訪れた方は、皆さん口を揃えてこう言うそうです。
かくいう筆者も「秋田は学力テスト全国1位」と聞いた際は、予備校のようなカリスマ教師陣が揃っているのか、はたまたITをフル活用した新しい学習法を実践しているのか、などと考えていました。しかしそこにあったのは、もっと根底から始まった地元民としての誇りや姿勢。
顔を見て挨拶をする、人の話をきちんと聞く、相手のことを想いやる——。大館市が提供し、子どもたちが実践しているのは「え?そんなこと?」と思ってしまうほど基本的なことです。しかし、それこそ現代の教育の現場に最も必要なことなのかもしれません。
大館市が実践する「大館ふるさとキャリア教育」の教育アテンダントとして、ぜひあなたの経験を活かしてくれませんか? 大館市を中心に、日本の教育を変えたいという熱い想いを持つ方からのご応募をお待ちしています!
募集要項
募集職種
「大館ふるさとキャリア教育」に携わる以下の地域おこし協力隊
―教育アテンダンド(1名)
任用開始日
任用開始日から ※採用後順次
雇用形態
嘱託職員(非常勤の特別職員)
任用開始日~平成31年3月31日
給与
月額166,600円
※当業務に有効な資格や専門的なスキルを有する場合は、208,000円/月とする場合があります。
福利厚生
1. 社会保険等(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)加入
2. 年次有給休暇・忌引休暇制度あり
3. 通勤および業務用車両、業務用パソコンを貸与
4. 住居費および車両費は市が負担
※これ以外の経費、大館市までの交通費や引越費用、生活用品、水道光熱費などはご負担願います。
仕事内容
大館市の教育を全国に発信し、教育交流・教育視察の企画・運営・および受け入れを行い、大館市の教育や大館市の魅力を伝え、大館市への移住へとつなげる。
【主たる業務】
1. 教育交流・教育視察等のメニューを企画し、募集、受け入れ、アフターフォローを行う
2. 行政視察、派遣依頼、研究授業等の調整、受け入れ、送り出しを行う
3. ウェブサイト等での情報発信、ホームページ作成
4. 教育機関の誘致活動、企業などの訪問活動
勤務地
大館市教育委員会 学校教育課
〒018-3595 秋田県大館市早口字上野43-1
勤務時間
月~金までの週5日間
8:30~17:00(休憩1時間、実働7時間30分)
応募資格
次の1.~7.までの応募資格をすべて満たす方(※年齢・性別不問)。
1. 3大都市圏の都市地域または地方都市(総務省が定める条件不利地域以外)に在住で、活動期間中大館市に住民票を異動できる方
2. 教育に関心のある方
3. 明るい人柄で、人と接する仕事が好きな方
4. 普通自動車免許を有しており、日常の運転に支障のない方
5. パソコンによる情報発信ができる方
6. 心身ともに健康な方
7. 地方公務員法第16条に規定する職員の欠格条項に該当しない方
選考方法
・一次試験:書類選考
「履歴書」を郵送またはメール(PDF)にてお送りください(送付先:下記参照)。
・二次試験:面接
応募・問い合わせ
本採用は「株式会社SAGOJO」が採用の窓口を担当しています。まずはお気軽にご連絡ください(相談のみも可)。
株式会社SAGOJO
大館市地域おこし協力隊採用窓口
info@sagojo.link
東京都渋谷区桜丘町30-4渋谷アジアマンション202
■直接ご応募いただく場合は、下記まで履歴書をお送りください(メールまたは郵送)。
<メールの場合>
株式会社SAGOJO
大館市地域おこし協力隊採用窓口
info@sagojo.link
<郵送の場合>
〒018-3595
秋田県大館市早口字上野43-1
大館市教育委員会 学校教育課
TEL: 0186-43-7112
FAX: 0186-54-6100
Mail: gakuji@city.odate.lg.jp