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2017年4月12日 OSHULIFE

まちの観光産業を支える「くずまき高原牧場」。地域資源を活用した魅力向上を担う、新たな人材を募集。

岩手県葛巻町の人口は約6500人。若い世代の流出による人口減少が問題となっています。対策として町では​ 町民、民間企業、行政が一体となって、​観光産業を中心としたまちぐるみでの地域活性化を図る「くずまき型DMO」の取り組みを推進。
「くずまきデスティネーションプロジェクトチーム」として「くずまき型DMO」の一翼を担う6名の地域おこし協力隊を募集します。

盛岡市から車で約1時間。葛巻町の玄関口に位置する「くずまき高原牧場」。体験型観光施設や季節ごとのイベントにより、年間来場者数は33万人。葛巻町の代表的な観光スポットとなっています。昭和51年に開業以来、今年で設立41周年目。「くずまき高原牧場」ではある課題を感じています。

その課題を解決するために「高原牧場観光プロデューサー」と「高原牧場製品エバンジェリスト」を募集。「くずまき高原牧場」のおふたりに求められる役割をお伺いしました。

東北一の酪農郷。生産者と消費者を繋ぐ役割として

昭和51年に開業し、今年で設立41周年目を迎えた「くずまき高原牧場」。盛岡市から車で約1時間。葛巻町の玄関口、西部側の土谷川地区に位置します。

昭和50年、北上山系に大規模な畜産団地を開発するという国の施策により町内の未利用地を牧草地として開発。翌年、町内の酪農家の経営支援を目的として「一般社団法人葛巻町畜産開発公社(通称:くずまき高原牧場)」は設立されました。

くずまき高原牧場▲くずまき高原牧場のほか、町内にある牧場の総面積は1,524ha

専務理事を務める高宮晴彦さんは、設立当初からくずまき高原牧場に勤務しています。

「設立後は町内の酪農家から仔牛を預かり、妊娠牛に育成する事業を開始しました。それ​以来、育成した妊娠牛が良質だと評判になり町内のみならず県外からも牛を預かるようになったんです。現在、飼育する仔牛2,500頭のうち1,600頭は関東方面から預かっています」と高宮さん。牛の好む冷涼な気候など自然環境が適している上、くずまき高原牧場の丁寧な飼育が県内外からの高い評価に繋がりました。

専務理事を務める高宮晴彦さん▲高宮さんは設立当初から41年間、勤務し続けています

平成7年からは交流体験宿泊施設「くずまき交流館プラトー」をオープン。続けて乳製品の加工を体験できる「ミルクハウスくずまき」やパン工房「パンハウスくずまき」など体験型の施設や売店が作られ、観光施設も充実しました。

「くずまき高原牛乳」や「くずまき高原チーズ」など乳製品を中心とした独自の商品も開発。消費者との交流を図りながら、商品が作られている背景を知ってほしいと乳搾り体験やパン作り、バター作り体験など体験学習の受け入れも積極的に行っています。

「これまで見えづらかった乳製品の製造現場を消費者の方々に知ってもらいたいという想いで体験型施設の設置やイベントの企画を行いました」と高宮さんは話します。生産者や製造現場と消費者が交流を図る機会を作ってきました。

初夏には牧場で、秋には盛岡市の中津川原で行われる「くずまき高原牧場まつり」や「冬まつり」といった季節毎の企画も人気です。中でも平成22年から開催されている「森のようちえん」は定員がすぐに埋まってしまうほど。牧場での自然体験活動を通した子どもの生きる力を育む取り組みを行っています。

「設立当初は葛巻に観光施設をつくるという事自体、『人が来るのか』と疑問視されていた時期もあります。40年間以上続けてきて、やっと今の形ができてきました」と高宮さんは振り返ります。

7▲「森のようちえん」は、北欧から発祥し、全世界へ。くずまき高原牧場が岩手初開催

 

新たな人材による、新たな視点

観光施設やイベントを通じて現在の年間来場者数は33万人。葛巻町の代表的な観光施設となりました。一方で、交流・製造部を担当する前原信人さんは長年続けてきたからこその課題もあると話します。

「ここ10年間は主にイベントの企画や発信、製品の開発に携わってきました。しかし、今後その役割を担う職員の育成が十分ではありません。新たなアイデアを出してくれるような人材を育成することが当面の課題です」と前原さん。

そのような課題を抱える中、平成29年1月に​「くずまき型DMO検討部会」の若手検討部会がくずまき高原牧場の魅力を活かしたイベントを企画。1泊2日のグランピングツアーが実施されました。グランピングツアーでは、雪が積もった牧草地でのスノーシュー体験や、かまくらでつくられた「アイスバー」など冬の「くずまき高原牧場」だからこそ体験できるイベントが行われました。

前原さんはそのグランピングツアーによって新たな可能性を感じることができたと話します。

「今まで行ったことのないイベントを若手検討部会の方々に企画していただきました。参加者の方たち自身が、これまで私達が気づかなかった遊び方で楽しんでくれていて。新たな視点からの企画がとても新鮮でした。」

かまくらの中のアイスバー▲グランピングツアーで、かまくらの中につくられたアイスバー

このツアーのように地域資源を活かし、魅力をさらに引き出していく新たな人材として、「高原牧場観光プロデューサー」と「高原牧場製品エバンジェリスト」の2名を募集します。

 

くずまき高原牧場の魅力を活用した企画・情報発信

「どちらの方も最初は牧場の業務を一通り経験していただきます。宿泊施設や、パン工房などそれぞれがどんなことをしているのか、また今まで何をしてきたかを感じてもらいたいです」と前原さん。1年目はその後の活動に活かせるよう牧場や製造業務も経験します。

また、役割について前原さんは「高原牧場観光プロデューサーには、宿泊型・体験型の新しい観光商品づくりを行っていただきます。移動に時間のかかる葛巻の魅力は、日帰りでは伝えきれません。宿泊をして、豊かな自然環境と製造現場の体験施設を活かした観光商品を企画していただきたいです」と話します。従来まで行われてきたイベントの実施を経験しながら、新たな視点での企画づくりが期待されています。

高原牧場製品エバンジェリストについては「牛乳やチーズといった牧場製品の認知度を高めるためのブランディングや情報発信を行っていただきます。今まで牧場の製品はお土産品として知られてきました。これからは町内の方たちにも身近な商品として販売していきたいです。町外へのアプローチも必要ですが、町内への発信も重要だと感じています」と前原さん。

両者とも任期終了後は、任期中の活動を継続し「くずまき高原牧場」の職員としての活躍や牧場とタイアップした起業家としての活躍​が期待されています。

高原牧場観光プロデューサー前原さん▲高原牧場観光プロデューサー、高原牧場製品エバンジェリストが着任後、業務をともにする前原さん

求める人物像について、前原さんは「高原牧場観光プロデューサーには、既存の資源を活用した取り組みを行っていただきたいと思っています。積極性と協調性のバランスを取りながら仕事をしていただきたいです。もちろん新しいアイデアを出す企画力も重要ですね。高原牧場製品エバンジェリストの方は、町外のみならず、顔の見える町内の方々への発信を行っていただきたいと考えています。前向きで明るい、人と接するのが得意な方がいいですね。今まで接客業などの経験があるとそのスキルを活かせるのかなと思います」と話します。

葛巻町の観光産業を支える「くずまき高原牧場」の重要な役割を担う「高原牧場観光プロデューサー」と「高原牧場製品エバンジェリスト」。

宿泊型・体験型観光商品の企画、製品のブランディングに​興味がある方は、下記募集要項の『高原牧場観光プロデューサー/高原牧場製品エバンジェリスト』をご覧ください。

葛巻町の星空

取材先

くずまき高原牧場

住所:岩手県岩手郡葛巻町葛巻40-57-176

http://kuzumaki.jp/

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